そんなには褒めないよ。映画評

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「アリー スター誕生」(ネタバレ)自然体のガガさんがいいですし、とにかく音楽がいいです。

レディー・ガガさんって、どちらかといいますと、(大して知らなかったので)音楽よりもビジュアル先行の歌手という印象だったのですが、歌唱力半端ないですね。それに俳優としても存在感があります。

 

アリー スター誕生

公式サイト / 監督:ブラッドリー・クーパー

 

「A STAR IS BORN スター誕生」1937年の映画の3度目のリメイクだったんですね。

 

などとググっていたんですが、ああそう言えば、1976年の2度めのリメイク、バーブラ・ストライサンドの「スター誕生」見ているかも知れないと思い始めました。ただ、映画の内容がよみがえってきませんので、「愛のテーマ」のヒットのせいで見た気になっているだけかもしれません。

 

どうでもいいことですが、ガガさん、バーブラさんに似ていますね。

 

で、映画ですが、これはドルビー・アトモスで見たほうがいいです。通常音響でしか見られなかったんですが、しばらく前にドルビー・アトモスで見た「ボヘミアン・ラプソディー」に比べますと音響的には雲泥の差です。

 

「ボヘミアン・ラプソディー」よりもこちらのほうがもっと音楽映画ですので、きっと(音楽による)感動も随分違うのではないかと思います。

 

この映画、キャンペーンがすごいですので耳についてしまっている曲「Shallow」がかなり早い段階で歌われます。クライマックスでも歌われるのかと思っていましたら、一度だけでした。


Lady Gaga, Bradley Cooper - Shallow (A Star Is Born)

 

監督、主演のブラッドリー・クーパーさん、生歌なんでしょうか?

 

冒頭、ジャック(ブラッドリー・クーパー)のライブシーンから入りますが、ギターの扱いも板についたもので、やや声に艶がないのが気になった程度で、やっぱりハリウッドはこういうところがすごいですね。日本映画なんて世界的カリスマロックスターが歌わないんですからね(涙)。

 

物語は、オリジナルやリメイク2作目の俳優版から、リメイク3作めと同様の音楽版に変更されてつくられていますが、ウィキペディアなどを読みますと、基本的なことはほぼ踏襲しているようで、スターを夢見る(ちょっと違うけど)アリー(レディー・ガガ)がひょんなことから有名ロックミュージシャンのジャクソン・メイン(ジャック)に出会い、その才能を開花させスターの座に駆け上ります。一方のジャックは、ここがこの映画の主要なドラマなのでいろいろあるわけですが、酒に溺れて立ち直れず、最後は自殺してしまいます。

そしてラスト、その追悼コンサートでアリーがジャックの遺作ともいえる曲を歌い上げて終わります。

 

この映画、何をおいても光るのはガガさんの真面目さが感じられるところです。

 

アリーは、(多分)ホテルのホール係として働いています。歌の道でやっていきたいと思っていても、(本人が語るに)その容姿のせいでチャンスに恵まれず、せいぜい週一程度、知り合いのクラブで歌わせてもらうくらいです。

その日、たまたまコンサートを終えたジャックがそのクラブにやってきます。

 

で、アリーのステージになるのですが、私はここであの「Shallow」の元歌のような歌が歌われ、それを聞いたジャックがその歌唱力に驚き云々といった展開になるのかと予想していましたら、何と! 歌われたのは、ラビアンローズでした!

かなり意表をついた選曲ですよね。その日、その店はドラァグクイーンの日という設定でしたので、それにより違和感をなくすとともに、普通女性は歌わせてもらえないけれどもアリーは特別といった、アリーのキャラクター作りを考えた上のことでしょう。

 

この場面のジャックの微妙な表情が面白かったです。いくら歌唱力があるとはいえ、カントリー系ロックミュージシャンのジャックがラビアンローズに感動してというのもありえなく、それにアリーのステージはセクシーさを強調しており、あのままジャックがアリーに近づけば、普通に考えれば一夜のアバンチュール(笑)を求めてとなってしまいます。

 

正直、そうとしか見えなかったんですが(笑)、その後飲みに行ったバーで絡んできた客をアリーが殴るというトラブルを起こしてうまく乗り切っていました。二人はアリーの腫れた手を冷やす氷を買うためにスーパーマーケットへ向かいます。

だだっ広い深夜の駐車場、身の上話を語り合い、互いに愛を感じ始めるには絶好のロケーションです。ここで、アリーが曲を書いていると言い、「Shallow」をアカペラで歌います。

 

ここで一回泣いておきましょう(笑)。

 

このシーンで、二人の背景遠くにジャックの車とそれに寄りかかるドライバーをシルエットで見せているんですよ。これ、よかったですね。ジャックには専属ドライバーがいて、冒頭のコンサート後のシーン、疲れたジャックがぼそぼそとドライバーに話しかけるも、そのドライバーのカットはなく、その会話もごくシンプルなやり取りだったんですが、妙に印象に残り、ジャックがクラブやバーで飲んでいる時もずっと車の中で待っているのかなあとずっと気になっていたことが、そこにシーンとして実にしっくりとおさまっていたということです。

 

すでに夜が明けています。アリーを家まで送りますと、家の前の路上には(多分)高級車がずらりとならんでいます。ジャックも尋ねていましたが、アリーは父が運転手をやているからとさらりと答えただけで、家には父親とともに2,3人の同年代の男たちがいて、朝から日本の競馬を見てあれこれ騒いでいるという、あれ、何? どういう人たち? 残念ながら最後まで説明されませんでした。

でも、みんないい人たちでした(笑)。アリーが世に出てその動画がネット上に流れたときには、視聴回数が何万回だの何十万回だとの盛り上がっていました。

 

翌日(だったかな?)、アリーが仕事に行こうと家を出ますと、例のドライバーが、アリーをコンサートに連れてくるようにいわれているから来てくれと待っています。もちろん、はい行きますというわけには進みませんが、一旦職場に行き、上司に遅刻だとなじられたことをきっかけに、じゃあ辞めてやると、ジャックが差し向けたプライベートジェットでコンサート会場に向かいます。 

 

ジャックのコンサートのクライマックス、アリーが舞台袖に到着したとき、突然ジャックが、ある女性を紹介しよう、今からその女性が書いた曲を歌うとアナウンスします。当然アリーは、はい歌いますとはいかず、しばらくは歌い始めたジャックをじっと見つめているだけですが、やがておもむろにステージに歩き始め、そして歌い始めます。

 

で、上の動画の「Shallow」です。ここでも泣いてください(笑)。突然ハイトーンになるサビがすごいです。

 

で、その後はトントン拍子に進み、ほぼ前半でアリーはスターダムに駆け上がっていきます。と同時に、二人は愛し合うようになりやがて結婚します。

 

ということで、前半はほぼガガさんとジャックの音楽映画ですが、後半はガラリと変わって、ジャックのドラマとなります。

 

何かのあらすじを読んだのか、こうしたドラマのパターンから思ったことなのかはっきりしませんが、後半の悲劇的なドラマの契機は、アリーが自分を見失っていく、つまり天狗になっていくことかと思っていましたら、全く違っており、アリーはジャックに対して極めて献身的で誠意ある対し方をしており、悲劇はジャックの自滅型の展開でした。

 

ジャックには親子間、兄弟間の確執があり、父親はすでに亡くなっているのですが、ジャックの酒も音楽も父親の影響を受けてのことであり、その思いが憎みながらも消えない屈折した思いとして残っています。また、母親違いの兄は父ほども年が離れており、前半ではちらちらと語られるだけでしたが、中程になり、ジャックのマネージャー的な存在のボビー(サム・エリオット)が兄だと明かされます。はっきりとは語られませんでしたが、兄もミュージシャンの道を目指していたのですが、弟ジャックのために、そのサポートの道を選んだのか、選ばざるを得なかったのか、そんなところです。ジャックがボビーに対して、才能がなかったからだと言い放ち、ボビーがジャックの元を去っていくシーンがありました。

また、ジャックは片耳が難聴で聞こえにくいという病を抱えています。それが次第に悪化し始め、耳鳴りに悩まされるようになります。 

 

といった、ジャック自身の抱える心の病のようなものが、アリーの成功とともに悪化してゆき、ますます酒の力に頼る日々が続き、ドラッグにも手を出すようになります。

アリーとの言い争いも多くなり、売り言葉に買い言葉的に、アリーが、あなたは私に嫉妬していると言ったりします。ただ醜い争いになることはありません。

 

そうこうしているうちに、アリーがグラミー賞の新人賞にノミネートされます。ジャックとともにその瞬間を迎えたいと願うアリーですが、ジャックは酔いつぶれた状態で現れ、受賞のスピーチのステージで醜態をさらけ出してひんしゅくを買うことになります。

 

ジャックはアルコール依存症の治療施設に入ります。アリーが見舞いにやってきます。このシーン、映画的には結構重要な会話があります。アリーが「ここを出たら、家に戻るの?」と尋ねます。アリーの気持ちとしては、自分といることがジャックにマイナスになっていると考えての言葉なんですが、ジャックにしてみれば、崖から突き落とされるくらい衝撃的な言葉です。

このアリーの台詞がごく普通に発せられているだけに、私も、え? どういうこと? と思ったくらいで、そこには俳優的ないかなる演技も入っておらず、逆にそれがあまりにもリアルに響いていたのです。

 

何が言いたいかと言いますと、ガガさんの演技がそういうことなんです。いわゆる体当たりでこのアリー役に臨んでいるということです。アリーではなく、ガガさんがそこにいるということです。

 

ジャックは施設を退所しアリーのもとに戻ります。アリーがコンサートの日、その後予定されているヨーロッパツアーをキャンセルしたから今日が最後のコンサート、これからずっと一緒にいられるわと、(どうやらこれは嘘だったらしく、後に後悔していると語るわけですが)言い残して出掛けていきます。

ジャックのもとにアリーのマネージャーがやってきます。お前がいるとアリーがダメになる、今飲んでいるそれ(水?)もいずれ酒に変わるだろうと(映画的に)追い打ちをかけていきます。

 

アリーのコンサート会場は最高潮、クライマックスをむかえています。シーン変わって、家のガレージ、カメラはジャックの胸から膝くらいを横からとらえています。カウボーイハットがすーと机の上に置かれます。カントリー系ロックミュージシャンのジャックにとって、それは自分自身ということでしょう。

画はありませんが、首をつって自殺します。

すでにその振りは、映画の中ほどで、子供の頃にベルトで自殺しようとしたが掛けた天井のファンが壊れて云々などと、かなり直接的にされています。

 

ラストシーンは、ジャックの追悼コンサートで、アリーがジャックの遺作となる「I'll Never Love Again」を歌います。


Lady Gaga, Bradley Cooper - I'll Never Love Again (A Star Is Born)

 

前半は音楽パート、後半はドラマパートと、ややはっきりし過ぎているきらいはありますが、ガガさんは、歌は当然としても俳優としてもその存在感も存分に発揮していますし、ブラッドリー・クーパーさんの方は、ハリウッド系の映画をほとんど見ませんので初めてかと思っていましたら、「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」を見ていながら印象はほとんどなく、かえってそれが功を奏したのか、この俳優さん、ミュージシャン? と思ったくらい実にはまっていました。

 

リメイク4作目ともなれば、さほど期待値も高くなかったのではと思いますが、結構うまく仕上がった映画だと思います。

 

なんにしても音楽映画に失敗はありません。これはサントラ買ってもいいかもね。

 

スター誕生(字幕版)

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アリー/スター誕生 サウンドトラック

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