「ブラックバード 家族が家族であるうちに」ネタバレレビュー・あらすじ:俳優は豪華だが映画は作りものくさい

ビレ・アウグスト監督の2014年の映画「サイレント・ハート」のリメイクとのこと、その映画は日本では2016年の「トーキョーノーザンライツフェスティバル」で上映されています。劇場未公開です。

 

ブラックバード 家族が家族であるうちに

ブラックバード 家族が家族であるうちに / 監督:ロジャー・ミッシェル

 

 

シチュエーション・ドラマ 

母親が尊厳死を決断し、その日の直前に家族が集まり季節はずれのクリスマスパーティーを開くという話で、その間にそれぞれの人物の秘密(のようなもの)が顕になっていくという物語です。

 

一見シリアスに思えますが、尊厳死そのものへコミットしている映画ではなく、それが間もなくやってくるという緊張感や緊迫感から残されるであろう家族のテンションが上がって思わぬことが起きてしまうということです。

 

その意味ではシチュエーション・ドラマのつくりで、言い方を変えますととても作りものくさい映画です。

 

俳優は豪華(だと思う)

家庭劇ですので登場人物は8人だけです。

 

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ALSを発症し尊厳死を決断したリリー(スーザン・サランドン)。親友のリズとともにウッドストック世代で、それが人生の拠り所だったかのようによく口にします。

 

リリーの夫で医師のポール(サム・ニール)。リリーの決断はポールの診断によっています。つまり、今は手足がやや不自由なだけだが、数週間後には動けなくなり、何ヶ月後には云々といった診断をくだしており、リリーはそんな生き方は嫌だと自ら薬を飲むことで死を選択しているということです。

 

長女のジェニファー(ケイト・ウィンスレット)。堅実に生きることがいいことと信じているようです。リリーの尊厳死についてはずいぶん話し合い、理解しているとしています。

 

ジェニファーの夫のマイケル(レイン・ウィルソン)。リリーへのプレゼントにソルト&ペッパーミルを用意するというちょっとずれたところのある人物です。

 

二人の息子のジョナサン(アンソン・ブーン)。皆が集まる理由を知らずに来ていますが、ポールからその訳を聞き、違法だよねという役回りになっています。それに対してポールが、ヨーロッパじゃ合法の国もあるし、アメリカでも州によると言い訳をいい、リリーが薬を飲んだら散歩に出て、戻ったら睡眠薬を飲んでいたと言うと言っていました。

 

これ、無理だと思いますけどね。

 

次女のアナ(ミア・ワシコウスカ)。やややさぐれた雰囲気を持っており過去になにかあったらしく、これがこの映画のひとつ目のポイントになっています。

 

アナのレズビアンのパートナーのクリス(ベックス・テイラー=クラウス)。家族間のすれ違いを第三者的な立場からほぐしていく役回りになっています。

 

リリーの若い頃からの親友リズ(リンゼイ・ダンカン)。リリーとは10代(多分)から行動をともにしてきている親友ゆえにこの場に来ています。映画のふたつ目のポイントになる人物です。

 

ネタバレあらすじとちょいツッコミ

週末の朝、リリーが目覚め起きようとしますが片方の腕が自由に動かせないようです。起きたことに気づいたポールがやってきますと自分でできると強い口調で言います。

 

ジェニファー一家がやってきます。ジェニファーはかなり神経質になっています。

 

ケイト・ウィンスレットさんの演技、これがシリアスドラマであればうまいなあのひとことだったんですが、この映画では全体のバランスとしてひとり力が入りすぎている感じで浮いています。「アンモナイトの目覚め」もそうでしたが、メリハリなく突き進む感じが強すぎます。演出もありますので俳優のせいというわけでもありませんが。

 

リズがやってきます。ジェニファーは家族でもないのにと不満そうです。

 

アナがパートナーのクリスを連れてやってきます。ジェニファーとの間になにかわだかまりがあるような素振りを見せています。

 

リリーの決断はすでに家族で話し合ったことらしいのですが、このアナがそれに参加していたのかどうかがかなり曖昧です。警察に通報するつもりだとクリスに話すのですが、本気で止めるつもりならいろいろ方法はありそうですし、この場に来たなら来たでもっとはっきり反対すればいいんじゃないのと思います。

 

それじゃドラマにならないってことでしょう。

 

上の人物紹介で書いたように、なぜ皆が集まったかはポールがジョナサンに説明することで明かされるようになっています。

 

とにかくあまりシナリオがうまくなく、そもそも不自然なドラマ設定ということもありますが、ドラマの運びが説明的すぎます。

 

母と娘ふたり

そして季節はずれのクリスマスパーティーとなり、リリーからそれぞれに贈り物があり、ジョナサンが自作の歌(ラップ)を披露します。そしてジョナサンは将来の夢は俳優になることだと宣言します。弁護士になるものと思っていたジェニファーは驚きます。

 

このシーンの前にリリーとジョナサンのシーンがあり、すでにそこでジョナサンは告白していますので、それをこの場で言わせるためのリリーの思いやりということでしょう。

 

そして、映画のひとつ目のヤマ、アナが過去に1ヶ月砂漠へ行っていたというのは嘘で手首を切って入院していたと告白します。どうやらアナはかなり不安定な思春期を過ごしたらしく、そのときにも母親リリーから自由に生きなさい、強く生きなさいと言われていたのが重荷になっており、また姉ジェニファーの堅実さも少なからずプレッシャーになっていたと言います。

 

この問題がどう解決したのか記憶がありませんが、ぶっちゃけたことですっきりしたようでもあり、クリスが間に入って収まったようでもありました。

 

リリー、ポール夫婦とリズ

映画のもう一つのヤマです。パーティーの夜、ジェニファーは父ポールとリズが熱いキスを交わしている場に遭遇します。

 

翌朝、ジェニファーはアナに、父親とリズが母リリーを殺そうとしているとぶちまけ安楽死を止めようと言い出します。

 

全員が集まっています。ジェニファーがことの次第をぶちまけます。それに対してリリーがそれは違う、私がそうするように頼んだと言います。

 

アメリカ人はこういうドラマが好きなんですかね? この展開で映画のレベルが一段階も二段階も下がってしまっています。あれこれ言うこともないような下世話な展開ですが、もしこれをやるのであれば、リリーは何のためにそんなことを考えたのか、ポールはなぜそれに応えたのか、それをきちんを描かないとまずいでしょう。結婚する前にポールとリズは付き合っていたとか、言い訳(映画の)のように入っていました。

 

まあとにかく、すべてがまるく収まり、リリーの両脇にジェニファーとアナが付き添い、ポールが薬を渡し、リリーはそれを飲み安らかな気持ちで去っていきました。

 

そして、住まいをとらえた引きの画、リズが去り、アナたちが去り、ジェニファーたちも去り、ポールがひとり残って終わります。

 

尊厳死を描いた映画ではない

くどいようですが、この映画は尊厳死を描いた映画ではありません。

 

作られたドラマの映画ですのでマジにどうこう言っても仕方ありませんが、もし安楽死を決断したのであれば、わざわざその日に残していく子どもたちを呼ぶようなことをしちゃいけません。

 

それは身勝手な行いです。もちろん呼んだことがであり、尊厳死のことではありません。

 

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