そんなには褒めないよ。映画評

ミニシアター系映画レビュー*沈黙する言葉

映画タイトルの50音順メニュー作りました!

当サイトおすすめ映画直近の4作品

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汚れたダイヤモンド

監督:アルチュール・アラリ

(完全ネタバレ)ラスト10分のピエールの描き方が見事

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あさがくるまえに

監督:カテル・キレヴェレ

(ネタバレしても問題ない)のでよく知って見るべし。シンプルなのに情感豊か。

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ブランカとギター弾き

監督:長谷井宏紀

(ネタバレ)映画はシンプルなのに物語は深い

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残像

監督:アンジェイ・ワイダ

アンジェイ・ワイダ監督の遺作、心に残る映画です!

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最新記事

映画「きっと、いい日が待っている」(ほぼネタバレ)50年前、デンマークの話であっても、今の日本に思いを馳せる

何だか嫌な映画ですね…、といっても、嫌でも直視しなくてはいけないという意味の嫌ですので誤解なきよう。

1967年頃、今から50年くらい前ですね、デンマークはコペンハーゲンの養護施設で実際にあった話をもとに作られた映画だそうです。

何が嫌かって、子どもたちへのあらゆる暴力、肉体的暴力、精神的暴力、そして性的暴力が養護施設の教師たちによって子どもたちに加えられます。それも、何の迷いもなくです。

でも、(映画では)子どもたちはしっかり生き抜くんですよ。

 

監督:イェスパ・W・ネルスン

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1967年当時のデンマーク、コペンハーゲンのゴズハウン少年養育施設で実際に起きた事件を基にしたヒューマンドラマ。13歳のエリックと10歳のエルマーは児童養護施設に預けられたことをきっかけに、平穏な人生を一瞬のうちに奪われてしまう。独裁的で閉鎖された施設の中でも、夢と希望を持ち続け、反旗を翻そうとするひたむきな少年たちの姿が感動を呼ぶ。

 

母子家庭の二人、エリックとエルマーの兄弟は、母親が癌で入院したために養護施設に送られます。この養護施設では、校長(ラース・ミケルセン)以下教師たちが、子どもたちの教育のためと称して肉体労働を強要し、反抗したりする者には容赦なく肉体的暴力を加え、日々言葉の暴力で子どもたちを服従させています。仲間であるべき子どもたちからのいじめもあります。

 

あまりの酷さに二人は入所早々施設から逃げ出しますが、あっけなく戻されてしまいます。再び施設に戻された二人を待っていたのは、さらなる悪夢で、教師たちだけではなく、教師から連帯責任だと焚き付けられた子どもたちによる暴力です。

 

この二人、エリックのアルバト・ルズベク・リンハートくんとエルマーのハーラル・カイサー・ヘアマンくん、むちゃくちゃうまいんですが、そんなことより、映画とはいえ、こういうのって大丈夫なんですかね? 暴力シーンも実際にやっているわけではないでしょうが、疑似体験することで何らかの影響ってないのでしょうか? ましてや、エルマーや他の幼い子供が、ひとりの教師から性的虐待を受けるのです。本当に嫌になります。

 

こういう映画に出演させること自体が虐待にならないかと心配になります。

 

とにかく話を進めますと、反抗心をおさえられなかった二人も、15歳になれば施設を出られる道を選び、服従の仮面をかぶるようになります。

さらに、新任の女性の教師ハマーショイ先生(ソフィー・グローベル)は、多少なりとも二人の味方になってくれます。

 

このハマーショイ先生との間には特筆すべきエピソードがあります。

 

二人は、入院している母親が退院すれば施設から出られると楽しみにしていたのですが、母親は亡くなってしまいます。

しばらくして、おじさん(母親の弟?兄?)が二人に会いにやってきます。おじさんは定職がなく二人を引き取ることが出来ません。それでも二人の求めに応じて施設から逃げる手助けをする約束をして帰っていきます。

そしてその時間、おじさんは約束を守れないとハマーショイ先生に電話をしてきます。二人は今まさに逃げようとしている時間、先生は駆けつけますが、校長に見つかり事情を話してしまいます。

当然、二人は体罰を受けることになり、その後事情を知ったエルマーがハマーショイ先生に詰め寄ると抑えきれなくなった先生は思わずエルマーの頬を叩いてしまいます。

 

ある種暴力行為の一面を描いている場面ですが、それはともかく、ハマーショイ先生は施設を去っていきます。

 

そして、クライマックス、エリックは15歳となり、校長にエルマーも一緒に施設を出たいと申し出ます。それに対し校長は、エルマーどころかエリック自身も施設から出られないことになったと告げます。

 

抑えてきたきた感情が爆発したエリックは、校長の目の前で校長の車を傷つけてしまいます。この場面の暴力シーンありませんが、エリックは意識不明に陥ります。

 

意を決したエルマーは、外出許可を申し出てハマーショイ先生を訪ね、行政の担当調査員に実情を通告しようとします。残念ながら直接会うことは出来ませんでしたが、その後、その調査員が施設に駆けつけ、校長以下教師が調査対象になるだろうというところで終わります。

 

こうした物語の映画は泣かせようとするものが多いのですが、この映画に好感が持てるのは、そうした意識がおそらくないだろうと思えることです。

 

とは言っても映画的なクライマックスはもうけられています。話は遡りますが、時はちょうどアポロ11号が月面着陸を果たす頃、エルマーは宇宙飛行士に憧れ、また知識もそこそこあり、その上想像力も豊かで、それゆえ仲間の子どもたちからも慕われたりするのですが、ラスト、兄は昏睡状態、調査官には会えずに抗議の意味も含んだ絶望的な行為として、自ら作った宇宙服らしきものを身にまとい、屋外の貯水タンクの塔に上り、月に向かっての宇宙遊泳を思い浮かべながら空に飛び出します。

 

つまり、大人の目からすれば自殺を試みます。

 

結局、エルマーは軽傷ですみ、エリックも意識を取り戻し、ハマーショイ先生に引き取られる形で施設を出ていくシーンで映画は終わります。

 

あらら、そんなつもりもなかったのに、書き始めましたら粗筋を書いてしまいました!

 

映画の内容はおよそ50年も前、それもデンマークの話となれば、いくら酷いことであるとは言え、今現在に直接どうこうなるというものではありませんが、ただ、こうした自国の歴史上の暗部をきちんと映画化できるということはそれはそれ凄いことだと思います。

 

未だ日本では、戦争映画と言えば、特攻隊だの、焼け野原の戦中戦後だの、被害者的映画ばかりで、加害者としての戦争映画はほとんどありません(知らないだけかも?)。

先日も東京都の小池知事が関東大震災時の朝鮮人虐殺に対する追悼文をやめたりするというとんでもないことが起きているわけで、日本の映画会社もこうした史実を正面から見つめた映画を撮るべきだということが、この映画を見てまず思ったことです。

 

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