ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅/アレクサンダー・ペイン監督

高齢化と肥満体型のニートで描くアメリカの田舎町の非生産的な描写にはちょっとびっくり

公開以来ずっと気になっていたのですが、結局最終日になってしまいました。結構遅い時間の上映でしたのでガラガラだろうと思って行ったところ、以外にも入っていましたのでビックリ、さらに、遅れて入ってくるは、ごそごそ何か食べてる(か?)は、携帯をブルブルさせて液晶点灯させるは、エンドロールになったらさっさと帰っていくは、と、この客、本当にこの映画をわざわざ最終日のこの時間に見に来たの?という年齢不詳(暗いので)のカップルがいてビックリでした。

まあ、映画は、そんな客がいても気にならないくらいリラックスでき、楽しめるものでした。

70歳代の設定でしょうか、ウディ(ブルース・ダーン)は、100万ドルが当たったというインチキの手紙を受取り、ネブラスカまで徒歩ででも行こうとしています。その手紙を信じ込んでいるのか、あるいは噓と分かっていても意固地になっているのか、はたまた認知症なのか、このあたり煙に巻くような曖昧さがとてもいい感じで、カンヌで男優賞を受賞したのもうなずけます。

さらに、妻のケイト(ジューン・スキッブ)もとても味のあるキャラクターで、前半は当然ながら大反対、というかウディを相手にもしていないような乱暴さで、随分悪妻キャラだなあと見ていましたら、ウディの実家で合流する後半以降、昔話のあっけらかんさも相まって、その毒舌さが愛嬌へと変貌していき、ついには、ウディへの深い愛情が根底にあるのだと感じさせる見事な演技でした。

アレクサンダー・ペイン監督というのは、キャラクターづくりがうまい監督ですね。息子のデイビッド(ウィル・フォーテ)もそうですが、ウディの実家の家族や町の人々も、一人一人うまくつくってあります。

それにしても、高齢化と肥満体型のニートで描くアメリカの田舎町の非生産的な描写にはちょっとびっくりしました。アメリカ人はこれをどう見るのでしょう? 車、特に栄光のアメ車へのこだわりも皮肉っぽく描いていましたね。