そんなには褒めないよ。映画評

ミニシアター系映画レビュー*沈黙する言葉

映画タイトルの50音順メニュー作りました!

おすすめ映画直近の4作品

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「パティ・ケイク$」

監督:ジェレミー・ジャスパー

(ネタバレ)青春音楽物語。貧困、差別、女性の自立が主たるテーマじゃないよ

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ナチュラル・ウーマン

監督:セバスティアン・レリオ

(ネタバレ)ロッカーの中にあったもの、それはマリーナがマリーナであるためのもの

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花咲くころ

監督:ナナ・エクフティミシュヴィリ、ジモン・グロス

(ほぼネタバレ)1992年トビリシ、14歳エカとナティアの二人は確かにその時そこで生きていたという映画

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ソニータ

監督:ロクサレ・ガエム・マガミ

(ネタバレ)ドキュメンタリーとしての問題提起も含めオススメです

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今夜、列車は走る

なんだろう? 何かが足りない、そう感じさせる映画だった。

ニコラス・トゥオッツォ監督は、70年生まれというから38歳、初の長編(クレジットは2004年制作)とのことだが、かなり丁寧に、しっかりつくられている。それぞれのカットやシーンで何を撮ろうとしているのかもはっきりしている。

映像も美しい。美しいというとやや語弊があるかもしれないが、南米系(スペイン語圏系?)映画独特の色彩感、空気が違うのだろうか、クリアすぎて切なくなるというか、どのシーンもカードにしたくなるような、ラテン系音楽の持つ哀愁のような、あの雰囲気が漂っている。

ケン・ローチの後継などという言葉が使われているが、テーマはシリアスで、鉄道が廃線になり、職を失った鉄道マンたちのその後の苦悩を描いている。誰もが明日をも知れず、路頭に迷うという言葉が浮かんでくる有様だ。

秀作の条件はそろっている。なのに何かが足りない。

なんだろう? 多分、多分なのだが、私は、観念的につくられ過ぎているのではないか、と思う。

映画は結構入り組んだつくりになっている。失業した男や家族たちを描いている時間軸とラストシーンに続くTVのインタビューに答える男の時間軸、そして、もうひとつが、やや次元を変えて、父を自殺で失った男の子アベル、14,5歳の設定だと思うが、彼のナレーションという、おおむね3層構造でつくられている。

監督は、自らの思いを、たとえば「鉄道員にとって、鉄道がなくなることは、絶望に等しい」などと、インタビューに答える男に言葉で語らせている。そして、もう一方、未来を「運命は変えられるのか?」「出口は、きっとある」などとアベルのナレーションで語らせている(語っている)のだ。

映画とは何か? それは、永遠の問いにも等しいのだが、この映画でもっとも大切な、失業した男や家族たちのシーンが、言葉ではなく、映画そのものとして、何かを語りかけてきていれば、「第三世代のケン・ローチ」と言えるのかもしれない。