「走れロム」ネタバレレビュー・あらすじ:ベトナムのストリートチルドレン走る

ベトナム映画です。

ベトナム公式の宝くじに便乗しておこなわれている(らしい)違法ギャンブル「sốđề」という闇くじを生活の糧にしているストリートチルドレンを描いています。

 

走れロム

走れロム / 監督:チャン・タン・フイ監督

 

 

短編映画「16:30」

この映画は、2019年の釜山国際映画祭で New Currents Award 受賞、モントリオールでおこなわれている2020年のファンタジア国際映画祭で New Flesh Award for Best First Feature を受賞しています。いずれも新人賞っぽいニュアンスの賞ですので将来が期待されるということだと思います。

 

監督はチャン・タン・フイさん、日本の公式サイトによれば「1990年生まれ。2005年から映画作りを始める。2012年、ホーチミン市映画演劇大学を首席で卒業」とあり、現在31歳くらいの方です。

 

この映画は、2012年(ごろ)に制作された短編「16:30」がベースになっているとのことで、ググりましたらその短編がネットにありました。

 

 

これを見ますと、映画のつくりがずいぶん違いますね。短編の「16:30」の方はつくりがドラマとしてオーソドックスですが、この「走れロム」はちょっとばかり表現しにくいつくりになっています。

 

何をやろうとしているのかよくわからない 

編集がぐちゃぐちゃです。見ていても物語として構築できません。カットがむちゃくちゃランダムに編集されている感じです。その手法自体は否定しませんが、この映画に限って言えば混乱以上のものが感じられません。

 

とにかくやろうとしていることがよくわかりません。

 

公式サイトにチャン・タン・フイ監督のメッセージがあります。ロムというのは主人公の少年の名前です。

 

私はこのロムについての物語を、ブラック・コメディ風のドキュメンタリー形式のアプローチを用いて語りたかったのです。(略)

私はこの少年の物語を通じて、力強く、騒がしく、慌ただしい印象を与えたかった。映画の中の現実でさえ、迅速かつ緊急に起こります。私は手持ちカメラでこの現実を再現しようとしました。映像は焦点が合わず、ぶれ、ショットはルールを破って予想屋の世界の狂気を最大限に強調しました。 

 

「16:30」は闇くじを題材にしてストリートチルドレンをドラマとして撮ったけれども、「走れロム」ではもっと生々しい現実感のある画を取りたくてドキュメンタリータッチでロムを追い続ける手法で撮ったということなんでしょう。

 

力不足ということだと思います。

 

翻訳ですので間違っていたら申し訳ないのですが、そもそも手持ちカメラで「力強く、騒がしく、慌ただしい印象を与え」ようというのは無理でしょう。手持ちカメラだろうがなんだろうが、真に撮りたいものがなければ力強さも生まれませんし、騒がしさや慌ただしさとごちゃごちゃは違います。

 

ネタバレあらすじ

ストーリーはあるにしても見ていてもわかりません。

 

ストリートチルドレンのロムとフックは闇くじの予想屋(公式サイトによれば)で競い合っているようです。そのふたりが町中を走りまわる(それほどでもないけど)映画です。

 

そもそも闇くじのシステムがよくわかりません。公式の宝くじの発表は16:30にあるらしく、その下二桁を当てることが闇くじになっているようです。短編の「16:30」では、ロムたちは発表された当たり番号をいち早く配ってお金を手にしていましたが、この映画では予想屋として競い合っているとの設定です。

 

ただ、その予想を売ってお金を手にしているような画もなかったような…あったのかなあ(笑)。

 

闇くじをはずして首を吊るおばあさんやはずれたからといって怒る人々やヤクザ(チンピラ)のような男や元締めのようなダフ屋のような女の人や…といろいろ出てきますが、それらが物語の中にうまく収まらずにだらだらと進む感じです。 

 

そしてラストでは、町ごと燃えていたような…誰かが燃やしていたような…、とにかくすべてがはっきりしません。

 

混乱もカオスに向かわず… 

とにかく、短編の「16:30」を見る限り、自分の持ち味ではないことを試みてしまい失敗したということだと思います。

 

混乱がまさしく映画のつくりの混乱にとどまり、内容のカオスには向かわなかったということでしょう。

 

正統派のドラマ向きの監督だと思います。

 

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