喜望峰の風に乗せて

これはもったいない映画だ…、如何ようにも描けるのに。

こんな映画だったのかい!? 

邦題から感じる印象とは真逆の映画でした。

喜望峰の風に乗せて

喜望峰の風に乗せて / 監督:ジェームズ・マーシュ

配給の狙いをどうこう言っても始まりませんのでどうでもいいのですが(笑)、成功物語かと思って見ていましたら、なんと挫折物語でした。それも究極の挫折でした。

実話がベースとのことで、時代は1968年、世界で初めて開催された単独無寄港世界一周ヨットレースのゴールデン・グローブ・レースに参加したドナルド・クローハーストさんの物語です。

ドナルド・クローハースト – Wikipedia

ウィキペディアを読みますとかなり有名な話のようで、映画、テレビ番組、舞台、小説、詩、それに音楽の題材にもなっているらしいです。 

なぜそんなにもいろいろなジャンルの人が創作意欲を駆り立てられるかは、その悲劇的な挫折物語にあることは間違いないでしょう。

映画はそのあたりをほとんど描いていません(ペコリ)ので、詳しくはウィキペディアや「ドナルド・クローハースト」でググってもらったほうが早いのですが、簡単に書きますと、ドナルドは、そのレースに参加したものの、ヨットの不備と経験不足のために喜望峰を回ることさえ出来ず、南大西洋あたりを漂いながら航海日誌を捏造し、あたかも南半球を一周してきたかのように装ってゴールしようとしたものの、その罪悪感もあったのか「徐々に正気を失い狂気に蝕まれて(ウィキペディア)」(おそらく)自殺したのではないかと言われているのです。

ヨットは無人のまま発見され、そこには捏造された航海日誌や捏造とわかる記録簿などが残されていたということです。

こんなにも映画化に適した物語をなぜこんなにもつまらない映画にしたのだ!?

という映画です。

誰がどう考えても、物語のポイントは航海中のドナルド・クローハーストの孤独でしょう。なのに、この映画はやたらドナルドと家族の関係を持ち出してベタな感動物語にしようとしています。いやいやそこまでもいっていません。ただストーリーをなぞっているだけです。

監督のジェームズ・マーシュさん、見ている映画はありませんが、「マン・オン・ワイヤー」や「博士と彼女のセオリー」のタイトルは記憶しています。それに「マン・オン・ワイヤー」はドキュメンタリーで、アカデミー賞始めたくさんの賞を受賞しているではありませんか。

残念ながら、この映画を見る限り、ドキュメンタリー作家らしさは感じられません。

コリン・ファース、レイチェル・ワイズなんていういい俳優を使いながらもったいない映画でした。

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