「ジェントルメン」ネタバレレビュー・あらすじ:ガイ・リッチー監督のクライム・アクション・コメディ

マシュー・マコノヒーさん目当てで見た映画ですが、「ビーチ・バム まじめに不真面目」にしたほうがよかったかも(笑)。

 

ジェントルメン

ジェントルメン / 監督:ガイ・リッチー

 

 

いきなりネタバレしますが… 

気にしなくていいと思います。クライムものではありますが、サスペンスではありませんので、むしろすべて知って見たほうが楽しめるのではないかと思います。ジャンルとしてはコメディと言ったほうがいいかもしれません。

 

ハラハラドキドキしている暇はありません。矢継ぎ早に放たれる人物相関を頭の中で整理していくのが大変です。ただわかってみれば物語自体は単純な裏世界の抗争ですし、それを編集と見せ方のアイデアで混乱させているだけです。

 

まず、物語は二重、いや三重構造になっています。全体をくるんでいるのは「ゲスな私立探偵」フレッチャー(ヒュー・グラント)がミッキー(マシュー・マコノヒー)らの抗争をネタにしたシナリオを書き、ミッキーの右腕レイ(チャーリー・ハナム)から金をせしめようとする話です。ですので、すべて映画は回想になります。

 

そのフレッチャーがレイにシナリオの内容を話すことで映画は進んでいきます。映画が始まってしばらくはフレッチャーが早口で喋りまくるシーンが続きますので、なんじゃ、これ? と(私は)やや引き気味になります。でもまあ、それを乗り越えますとテンポもありますし、入り組んでいるかのような人物相関も主要人物は3人くらいとわかってきますので楽しめなくはありません。

 

で、映画のもうひとつの層は、そのフレッチャーのシナリオに創作が入っており、実はこうだったといったことが随所に、そしてラストにはオチ的に入ります。

 

抗争の人物相関は、

  • ミッキー(マシュー・マコノヒー)……ロンドンのマリファナ王
  • マシュー(ジェレミー・ストロング)……ミッキーがマリファナビジネスを売ろうするユダヤ人大富豪、買いたたこうと策略をめぐらす
  • ドライ・アイ(ヘンリー・ゴールディング)……若手チャイニーズマフィア、親分ジョージ卿を裏切り、マシューにつく

この3人だけで、

 

 

そこに

  • レイ(チャーリー・ハナム)……ミッキーの頼もしい右腕
  • コーチ(コリン・ファレル)……ボクシングジム経営

この2人(左のふたり)がミッキーの実働部隊のように暴力行為や殺しの役割を担います。


そして、その抗争の物語を語るのが(右のひとり)、

  • フレッチャー(ヒュー・グラント)……ゲスな私立探偵

ということになります。

 

言っちゃなんですが、他は妻を含め、映画的にはいなくっちゃいけない人物ですが、物語的にはおまけです。

 

ネタバレあらすじとちょいツッコミ

ファーストシーンはあたかもミッキーが撃たれたかもしれないというシーンです。当然、これからここに至る経緯を話すよということになります。

 

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そしてタイトルバック、ここの音楽が結構かっこよく、画にもよく合っていました。これですね。デヴィッド・ローリングスの「Cumberland Gap」という曲です。

 


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ことの経緯を話すのは私立探偵のフレッチャー。ある日の夜、ミッキーの右腕レイの屋敷に忍び込み、ミッキーとレイの悪事を調べ上げ映画のシナリオに書き上げたので2000万ポンド(30億円?)で買わないかと持ちかけます。

 

しばらくはこのフレッチャーがなぜ自分がミッキーを調べることになったのかとか、ミッキーの生い立ちやら悪事を喋りまくり、それに合わせて画が入るようなつくりになっており、字幕を読みながらではかなり疲れます。

 

この映画、(多分)台詞にギャグっぽくみえたり、差別的(に感じられるよう)な言葉がかなり入っているようで、そうしたことも含め、耳から入ってくる言葉と映像を同時に理解できるネイティブスピーカーじゃないと本当の面白さはわからないのではないかと思います。

 

とにかく、フレッチャーは、まずは前段として、ミッキーがロンドンのマリファナビジネスを取り仕切ることになった経緯やら、それがばれないのは没落貴族を利用しているからであることや、そして今ミッキーはそのビジネスから手を引こうとユダヤ人大富豪のマシューに4億ポンド(600億円?)で売却を持ちかけていることなどを矢継ぎ早に話します。また、自分がミッキーを調べ始めたのは、ゴシップ誌の編集長ビッグ・デイブが、あるパーティーでミッキーに侮辱(握手拒否)されたことを根に持ち、ミッキーとある貴族の関係を調べるようにと依頼してきたからだと言います。

 

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この貴族の件はラストのオチ的に使われています。貴族の娘はヘロイン中毒で仲間たちとある場所(南ロンドン?治安が悪い?)にたむろしており、レイがそこから連れ出そうと乗り込んだ際に若者ひとりが窓から墜落して死亡します。その若者がロシアンマフィア(だったかな?)の息子だったことから最後にミッキーやレイが狙われるというものです。

 

後のあらすじは簡潔に、それによく理解できていないところもあります。

  • チャイニーズマフィアのドライ・アイがミッキーのビジネスを買いたいと乗り込んできますが、ミッキーは鼻であしらいます。

  • ミッキーのマリファナ工場は貴族の広大な土地の地下で運営されています。ある工場が若者たち(ラッパーのように見えるボクサーたち)に襲われ、その動画がYoutubeに上げられミッキーは損害を蒙ります。

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  • そのボクサーたちが通うジムのコーチは、マリファナ工場がミッキーのものだと知っていますのでボクサーたちの行為を知り驚きます。コーチはレイの元を訪れ謝罪し償いに何でもすると申し出ます。

  • マリファナ工場の場所は取引の際にミッキーがマシューに見せたものですが、ただ、コーチによれば、若者たちはドライ・アイの部下からの情報だと言います。

  • ミッキーはチャイニーズマフィア(ヘロインビジネス?)のボス、ジョージ卿がからんでいると考えジョージ卿に会います。しかし、ジョージ卿の知ることではなく、ドライ・アイの単独行動とわかり、ジョージ卿はドライ・アイを問いただしますが、逆にジョージ卿は殺されてしまいます。

  • 一方、ミッキーは貴族からヘロイン中毒の娘を連れ戻してほしいと依頼され、レイに実行を命じます。レイはそのアジトへ乗り込み娘を連れ戻しますが、その際にひとりの若者(娘の恋人?のロシア人)が墜落して死亡してしまいます。物語に直接からんできませんが、その後、娘も過剰摂取(だと思う)で死亡します。

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  • マリファナ工場襲撃の経緯がわかってきます。実はドライ・アイは密かにマシューと組んでおり、ミッキーのビジネス価値を下げるためにボクサーたちをそそのかし襲わせたということです。

  • ドライ・アイはミッキーを片付けようとミッキーと妻を襲います。ファーストシーンでミッキーが撃たれたとみえたのはこの場面で、実際は差し向けられた殺し屋をレイが撃ち殺したということでした。また、ミッキーの妻を襲ったドライ・アイはまさにレイプしようとしたその瞬間駆けつけたミッキーに撃ち殺されます。

  • マシューがミッキーにビジネスの価値が下がったので買値は1億3000万ポンド(200億円?)だと言います。しかしミッキーはドライ・アイの死体を見せ、逆に差額の2億7000万ポンドを支払わなければドライ・アイと同じことになると脅します。


この時、金とともに1ポンドの肉という「ベニスの商人」からの引用が使われています。マシューがユダヤ人だからということなんでしょう。おそらく、気づかないこうした引用やギャグなどがかなり入っているのだと思います。ルーカスだったかスピルバーグの話もあったように思います。

 

そしてオチです。フレッチャーが、これまで語った内容はこのシナリオには書かれているとレイに金を要求します。しかしレイは、そんな事はすべてお見通しで、フレッチャーをずっと尾行しており証拠のデータはここにあると見せます。フレッチャーも慌てずそのための保険は掛けてあると言いレイのもとを去っていきます。

 

保険とは証拠を何箇所かに隠すことです。しかし、それらはボクシングジムのコーチの手ですべて回収されています。ただひとつ、そのひとつがロシアンマフィアの手に渡って息子がミッキーとレイの手によって殺され(事故っぽいけど)たことが知られたことが誤算です。

 

ミッキーがロシアンマフィアの手に落ちます。そこに現れたのは機関銃を手にしたボクサーたち、ロシアンマフィアの殺し屋たちを撃ち殺します。

 

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ということで、ミッキーもレイも無事、そしてマリファナビジネスも安泰ということになり、最後に、フレッチャーがミラマックス(この映画の製作会社)にシナリオを売りに行くというおまけがついています。 

 

ガイ・リッチー監督 

ガイ・リッチー監督は、私の中では必ず「マドンナの元夫」の枕詞がついてしまう人で、実際、見ている映画も代表作と言われる「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「スナッチ」などではなく「コードネーム U.N.C.L.E.」という、それもテレビドラマ「ナポレオン・ソロ」のリメイクということで見ただけというあまりよく知らない監督です。

 

そのうえで、またこの映画を見て感じることは、面白い映画を撮りたいという意欲が強い人のようです。ただ、ちょっとやりすぎている感が強く、もう少しシンプルにしてくれれば他言語圏でも受けるような気がします。この映画だけかもしれません。

 

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」はイギリスの悪ガキの話のようで面白そうですので見てみようかな。なんとなく監督本人もその風貌から(元)悪ガキ(ペコリ)っぽい感じを受けますね。

 

スナッチ (字幕版)

スナッチ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video