「エマ、愛の罠」ネタバレレビュー・あらすじ:ガエルくんがワナワナワナ

パブロ・ラライン監督ですね。

前作の「ネルーダ 大いなる愛の逃亡者」は難しい映画でした。この「エマ、愛の罠」は内容は難しくないのですが、映画のつくりに特徴があって、そちらはなかなか意図が分かりづらい映画です。

 

エマ、愛の罠

エマ、愛の罠 / 監督:パブロ・ラライン

 

まずあらすじです。

ダンサーのエマと振付家の夫ガストンがいます。子どもが出来なく10歳くらいの男の子ポロと養子縁組したのですが、ポロのいたずらか何か(はっきりしないが)で火事騒ぎになりエマの姉妹がやけどをする事故があり、(ガストンがかな?)ポロを施設に戻してしまいます。その後、ポロは他の夫婦に引き取られています。

 

映画はここから始まり、エマがその夫婦からポロを取り戻す話です。ですが、その過程と結末がかなりのもので(笑)なるほどね、となります。

 

エマがポロを取り戻そうとしていることはかなり早い段階にわかりますが、その方法は、まず自分の離婚訴訟と称して新しい里親である弁護士の妻ラケルに近づきセックスを伴う関係を持ち、次に消防士の夫アニバルに近づきこちらも関係を持ち妊娠します。

ポロの通う学校にダンスの先生として入り込みポロを連れ出します。ここから次へはカットされているのかつながりはあまりよくなく、あるいはしばらくポロと一緒に暮らしたのかも知れません。

エマとガストンはポロを連れてラケルとアニバル夫婦と対面し、エマが全てを告白し、自分は妊娠していると告げます。もちろんアニバルの子です。

後日、すでに子どもは生まれています。ポロが赤ちゃんを抱いています。4人とポロがひとつテーブルで食事をしようとするところで終わります。

 

ん? もうワンシーン、エマがガソリンを買うシーンがあったかな…。ということであれば、このアナーキーな人間関係をもっと広めていこうということでしょうか。ちなみにアナーキーは批判語ではありません。

 

という物語がまったく物語らしくなく描かれていく映画です。感情表現はほとんどありません。演技もタイト、カメラワークもタイト、編集もタイトですのでかなり掴みづらいです。

 

そりゃそうですよね、これをマジでやったら修羅場ですわね。公式サイトのストーリーなんかを読んで面白そうなんて思って見に行ったらコケますよ(笑)。

 

じゃあ映画は何で引っ張っていこうとしているのか?

 

ダンスですかね…。私としてはあまりダンスが効果的だったとは思いませんので懐疑的な言い回しになっていますが、エマたちが踊るレゲトンのキレはいいです。

ただし前半はコンテンポラリー系のダンスです。ガストン(ガエル・ガルシア・ベルナル)はコンテンポラリーの振付家で、最初のシーンはエマたちダンサーが踊る群舞で始まります。これもあまりかっこよくはなかったです(ペコリ)。それにガエルくんが振付家っぽくないです。

 

まあそれはそれとして、エマたち6人(だったと思う)はそうしたガストンのダサいダンスから決別してレゲトン・ファイアーダンサーズ(笑)を結成します。

ファイアーダンサーズと書いたのは、これもよくわからないのですが、6人のうちの誰かが考案しエマが火炎放射器で街なかの車や信号機(これ冒頭のカット)やあれこれに火を放って燃やすんです。直接的な理由としては消防士のアニバルと近づくためなんでしょうが、多分画づらがいいですので視覚的な効果を狙っているのだと思います。

 


エネルギーを昇華したダンスに釘付け!! 映画『エマ、愛の罠』パブロ・ラライン監督自ら撮影したミュージックビデオ映像を解禁!

 

ファイアーシーンはこのMVの中にもあります。ダンスシーンもありますが、映画ではこんなにはカッコよくはないです。

 

エマを演じているマリアーナ·ディ·ジローラモさん、かなりクールです。すでに書いたように演技もクールです。

クールさは当然演出ですが、かなりアナーキーな演出で、失ったポロを取り戻すために新しい里親の夫婦の両方と性的関係を持ち妊娠しようとする、通常そうした行動に考えられるような熱いエネルギーはまったく感じられず息をするように(ダンスするようにかな?)行動していきます。

 

そのクールさを強調するように多くのカットが、たとえばふたりの会話シーンでもそれぞれを正面からのアップの切り返しでみせたり、単独のシーンでもとにかく真正面からのフィックスが多用されています。

 

後半にはセックスシーンも多くなりますがエロさはありません。これも物語上必要というよりも視覚効果的で入れているのでしょう。たとえば、エマと妻の方のラケルとの関係も確かにラケルはエマと離れられないようなことを言っていますが、そうした濃密な関係が描かれているわけではありません。

 

結局、物語は補助的と考えたほうがいいのかも知れません。アナーキーな夫婦関係や家族関係をレゲトン・ダンスとともに描きたかったのだと思います。

 

パブロ・ラライン監督、監督作品としては「NO」と「ネルーダ 大いなる愛の逃亡者」を見ていますが、今のところどういう志向を持った監督なのかよくわかりません。むしろプロデューサーとしてセバスティアン・レリオ監督の「ナチュラルウーマン」や「グロリアの青春」を送り出していることに注目してしまいます。

 

ちなみにセバスティアン・レリオ監督の「グロリア・ベル(原題)」という新作が今年の冬に公開予定となっています。ジュリアン・ムーアさん主演です。

 

グロリア・ベル(原題) : 作品情報 - 映画.com

 

ネルーダ 大いなる愛の逃亡者(字幕版)

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  • 発売日: 2018/07/12
  • メディア: Prime Video