「僕が跳びはねる理由」言いたいことが言えない生活を想像できますか?

つい先日見た「旅立つ息子へ」が自閉スペクトラム症の青年と父親の映画でした。その際いくつか自閉スペクトラム症に関連するサイトを読んだことがこの映画を見たきっかけです。

 

僕が跳びはねる理由

僕が跳びはねる理由 / 監督:ジェリー・ロスウェル

 

 

東田直樹さん 

この映画はドキュメンタリーではあるのですが、そのベースとなっている本があります。「会話の出来ない重度の自閉症」である東田直樹さんが13歳の時に書いた『自閉症の僕が跳びはねる理由』という本で、現在では30カ国以上で翻訳出版されているそうです。

 

 

1992年生まれとありますので、現在28歳か29歳の方です。オフィシャルサイトの「本の紹介」を見ますとすごい出版数です。

 

この本です。『自閉症の僕が跳びはねる理由』、私もポチッとしました。映画の中でもたくさん引用されています。

 

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

  • 作者:東田 直樹
  • 発売日: 2016/06/18
  • メディア: Kindle版
 

 

で、映画です。イギリス製作の映画で、監督はジェリー・ロスウェルさんです。

 

本の翻訳者であり映画にも出演しているデイヴィッド・ミッチェルさん、プロフィールを見ていましたら「クラウド・アトラス」の文字が飛び込んできました。映画化されており見ているじゃないですか! このサイトにも映画の記事がありますが、いいこと書いていません(ペコリ)。あくまでも映画の感想です。

 

ミッチェルさん本人が映画の中でも語っていましたが、翻訳のきっかけはお子さんのひとりが自閉症とのことで、子どものことが理解できず悩んでいた時にこの本に出会い翻訳を決心したということです。

 

自閉症者の見る世界を映像化しようとしているようだが… 

映画は、4カ国5人の自閉症の子どもたちの日常映像を中心に構成されており、おおむねインドのアムリットさん、イギリスのジョスさん、アメリカのベンさんとエマさん、そしてシエラレオネのジェスティナさんと順に移っていき、最後はその5人の印象的なカットでまとめてあり、それら全体を13歳と思しき少年が空想の世界(のような)を自由に動き回るようなイメージ映像で包み込む構成になっています。少年には東田直樹さんがイメージされているのでしょう。

 

そして、そこに本から引用されたナレーションが各所に入ります。トレーラーにもありますが、最初は「言いたいことが言えない生活を想像できますか?」だったと思います。

 

日本語版のナレーターは声優の河西健吾さんです。また、何シーンか翻訳者のミッチェルさんの語りも入ります。

 

で、この映画の特徴は映像と音楽のモンタージュかと思います。トレーラーでもその一端を確認できると思いますが、たとえば「世界をどう見ているのか、僕の場合はまず部分が飛び込んでくる」とナレーションが入りますと、鉛筆だけにピントがあったカットになったり、その言葉にあった映像がモンタージュされます。

 

 

それぞれの自閉症者を追った映像もそうしたモンタージュの一部として使われたりします。上のトレーラーの1分くらいにシエラレオネのジェスティナさんが母親と車で移動するシーンがあります。ジェスティナさんが母親と話していたかと思いますと突然窓の外を見(たようにみえ)ます。すると映像は過ぎ去る風景や走り去るバイクに変わります。効果音もシュー!といったすれ違いの音が入ります。それが数回繰り返されます。

 

この映画はそうした手法を使って自閉症者が見ている(かも知れない)世界を我々に感じさせようとつくられています。

 

ラストシーンではイメージシーンの少年がラビリンスに迷い込んだような映像もあります。ただ表情は楽しんでいるかのようです。

 

 

受け取り方にもよりますので何とも言えませんが、私は逆になんだか映画との間に膜が張ったかのように感じ、映画の思いがこちらまで届いてこないような感じを受けます。

 

たとえば、例にあげた「部分が飛び込んでくる」というのはあの鉛筆のカットのような意味なんだろうかとか、ジェスティナさんは窓の方を向いたときにあの風景を見たんだろうかとかと考えてしまうということです。

 

13歳の東田さんを想起させる少年のシーンをただひとり夕暮れの海岸でたわむれたり森の中をさまよったり、またラストで迷宮に迷い込んだかのような映像のイメージシーンとしているのも、さらにそこに流れる音楽も含めて感傷的なイメージフィルム然とまとめていることも効果的な手法なのかと疑問を感じます。

 

いずれにしても、まず東田さんの『自閉症の僕が跳びはねる理由』を読んでみようと思います。

 

5人の自閉症の子どもたち

インドのアムリットさんは絵を描くことに才能を発揮して展覧会(多分)を開いています。

 


イギリスのジョスさんは、両親がプロデューサーということもあり多くのホームビデオが使われています。

 

 

アメリカのベンさんとエマさんは「文字盤ポインティング」を使ってコミュニケーションをとっています。

 


そして、シエラレオネのジェスティナさんは、未だ自閉症の子どもは川に捨ててきたほうがいいと言われるような社会の中で、母親とともに自閉症の子どもたちを集めてワークショップを開いています(多分)。

 

 

で、「僕が跳びはねる理由」は? 

 

トランポリンでジョスさん(だったと思う)が跳びはねるシーンがありました。が、映画からはその直接的な理由はわかりませんでした。

 

本を読むしかないでしょう。

 

跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること

跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること

  • 作者:東田直樹
  • 発売日: 2014/09/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)