そんなには褒めないよ。映画評

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「ブルーアワーにぶっ飛ばす」ブルーアワーも見られず、ぶっ飛ばしてもおらず

TSUTAYA CREATORS'PROGRAM(TCP)」の2016年審査員特別賞受賞作の映画化です。

TCPのリンク先を見てみますと、今年から企画、監督、脚本と3部門に別れたとありますので、この作品の頃は企画だけなのか、脚本付きなのか、どちらにしても部門なしの審査だったのでしょう。グランプリが1作品、準グランプリが2作品、そしてこの審査員特別賞の4作品が受賞しています。準グランプリの「ゴーストマスター」も今年12月に公開されるようです。

受賞すると5000万円超の製作費で映画が撮れるとあります。

 

ブルーアワーにぶっ飛ばす

ブルーアワーにぶっ飛ばす / 監督:箱田優子

 

率直に言って、5000万円あればこれくらいの映画は撮れて当然でしょう。

 

もう少し正確に言いますと、夏帆さんやシム・ウンギョンさんといった俳優をキャスティングでき、撮影に近藤龍人さんらのスタッフで撮れるのであれば放っておいても(は言いすぎだけど)この程度にはなるということです。

 

で、後は映画として成立しているかどうかですが、この映画、やっていることはわかるのですが、何をやろうとしているのかがさっぱりわかりません。

 

まず何をおいても、ブルーアワーが見られなかったんですがそんなシーンありました? 公式サイトによればブルーアワーとは「一日の始まりと終わりのあいだに 一瞬だけおとずれて、空が青色に染まる静寂の時間」とのこと、そんなシーンありました?

 

それに「ぶっ飛ばす」って、全然ぶっ飛ばしていません。ただ砂田夕佳(夏帆)がぶうたれているだけにしか見えなかったです。

 

何をやろうとしていたんだろうと公式サイトのストーリーを読んでみましたら、

30歳の自称売れっ子CMディレクター・砂田は、東京で日々仕事に明け暮れながらも、理解ある優しい夫もいて満ち足りた日々を送っている…ようにみえるが、口 をひらけば悪態をつき、なにかあれば毒づいてばかりで心は完全に荒みきっている。
ある日、病気の祖母を見舞うため、砂田は彼女のコンプレックスの根源である大嫌いな故郷に帰ることに。 ついて来たのは、自由で天真爛漫な秘密の友だち清浦。砂田は幼い頃、夜明け前に清浦と出会い、砂田が困った時には必ず清浦が現れてそばにいてくれた。しかし、故郷で2人を待ち受けていたのは、愛想は良いが愚痴っぽい母、骨董マニアで自分勝手な父、引きこもりがちで不気味な兄…再会した家族の前では、都会で身に着けた砂田の理論武装は全く通用しない…
やがて全てを剥がされた時、見ようとしなかった本当の自分が顔を出す―。そして夕暮れに差し掛かる時間、清浦との別れが迫っていた…。 こんにちは、本当の自分。さようなら、なりたかったもう 一人の私―。

 

えー!? こんな映画じゃなかったんですが(笑)。

 

ということは、これが企画書の内容で、それをもとに出来上がったのがこの映画ということなのかも知れません。

 

まあ、映画であれ何であれ、結局のところ完成物から判断すればいいことですので、それから言えば、この映画はロードムービーであり、バディムービーということかと思います。

 

ロードムービーという点から言えば、砂田(夏帆)と清浦(シム・ウンギョン)が砂田の実家である茨城へ向かうわけですが、そもそも茨城へ行く理由がよくわかりません。別にただ何となくでもいいのですが、映画ですからその何となくを何となくと見せなければ映画になりません。

 

この映画がやっていることはただ段取りとして茨城に行かなくてはいけないから行くための台詞を言わせているだけです。

 

バディムービーという点で言えば、ふたりの関係がまったく見えてきません。ふたりがいつどこで知り合い、今どういう付き合い方をしているのかまったく見えてきません。言葉づかいはタメ口でもふたりの関係がタメに見えません。砂田は清浦に興味を持っていませんし、清浦は砂田のことをよく知らないように見えます。

ですので、ふたりの関係は最初から最後までまったく変化しません。何やら鬱憤が溜まっているような砂田にただただおどけてみせる清浦、最初から最後までその関係のままです。

 

砂田の回想として子ども時代のシーンが幾度も挿入されますが、なぜあの子どもにブルーアワー(があるとすれば)を見せないのでしょう? 撮れなかったんでしょうかね?

 

結局、最後まで砂田はぶうたれているだけで、なぜぶうたれているかもわからず終わってしまった映画でした。シナリオができていないということでしょう。

 

で、TCPのサイトを見ていましたら、ん? ルームロンダリング? それ見てますということで、忘れていましたが「ルームロンダリング」もこれと同じTCPからの映画でした。あまりはっきり記憶していませんが、それなりにうまくできていた印象はあります。

 

ルームロンダリング

ルームロンダリング