ヒトラーの忘れもの

第二次大戦のちょっと違った視点ものだけど、意図的にタイトルにヒトラーを入れるのはやめて!

マーチン・サントフリート監督が「本作で描かれているのは、デンマーク人のほとんどが目を背けてきて知られていない史実です。」と語っているように、少年兵であったかどうかは分かりませんが、捕虜のドイツ兵に地雷除去をさせたのは事実のようです。

多分、ジュネーブ条約違反ですね。

俘虜の待遇に関する条約」の危険な労働に当たるんじゃないでしょうか。

監督:マーチン・サントフリート

1945年5月、ドイツによる占領から解放されたデンマーク。ドイツ軍が海岸線に埋めた無数の地雷を除去するため、捕虜のドイツ兵が駆り出された。彼らを監督するラスムスン軍曹は、全員があどけない少年であることに驚くが、容赦ない暴力と罵声を浴びせる。這いつくばりながら地雷を見つけ、信管を抜き取る作業は死と背中合わせだった。少年たちは飢えや体調不良に苦しみ、地雷の暴発によってひとりまたひとりと命を落としていく。(公式サイト

最後に、確か「2000人の捕虜が地雷除去に従事し半数が死亡または負傷」と字幕が出ていました。

確かにひどい話ですし、実話ベースとすれば、こんな言い方もなんですが、映画としては出来が悪いです。

何といっても流れが単調過ぎます。単調なら単調でぴーんと張り詰めた緊張感で持たせるとか何か手が必要なんですが、結局やっていることは、地雷の信管を抜く場面の緊張感であるとか、デンマーク軍の軍曹が少年たちを罵倒しながらも同情し始めるとか、そうしたありきたりの手ばかりです。

信管を抜く場面にしても、結局、これはドラマなんですから、いつか失敗して爆発するんだろうと想像できるわけで、2カット、3カットと続けば、次だな、次だなと待ってしまうわけです。

少年兵たちを監督する軍曹の心の揺れみたいなものも、描かれ方は上っ面ばかりで、なんだかよく分かりませんね。

やたら怒鳴りまくったり、それに、あれ、捕虜たちは一切食事なしですかね? それはないにしても、なんだか適当なつくりです。

もし、このことがデンマークで知られていないことであるなら、それを知らせる意味ではデンマーク国内には意味のあることだと思いますが、日本で、というより私は、この映画を見て感じることはほとんどありません。あえて言えば、日本軍は、捕虜に対してもっと酷いことをやったんだろうなあと考えながら見ていたくらいです。

ただ、こうした映画、自国の過去の汚点をきちんと見つめ直す(ところまではいっていないが…)映画が作られるということはすごいことだと思います。日本の戦争ものの劇映画は、真珠湾、特攻隊、空襲、そういうものばかりです。