リザとキツネと恋する死者たち/ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ監督

ワンシーンごとには監督の才能を感じますが、長編としては単調で起伏が足らず、トミー谷は丸?

名古屋には二番館(今はこういう言い方はしないかも?)が二館あります。キノシタホールと三越映画劇場です。

そのひとつキノシタホールへ初めて行きました。きれいなホールです。

映画は「リザとキツネと恋する死者たち」、映画案内サイトを見ていて、ふっと目が止まり、何やら面白そうだと感じ、見に行きました。

ハンガリー映画です。監督は、CMディレクターで、映画は短編を10本ほど、この映画が長編デビューとのことです。

1970年代のブダペスト。元日本大使未亡人の看護人として住み込みで働くリザの心のよりどころは、日本の恋愛小説とリザにしか見えないユーレイの日本人歌手トミー谷。リザは日本の小説にあるような甘い恋に出会うべく、30歳の誕生日に未亡人に外出許可をもらう。だが、その間に未亡人が何者かに殺害され、さらに彼女が恋した人は“死者”となる奇怪な殺人事件が次々と起こる・・・。(公式サイト

もっと明るい話かと思っていきましたら、かなりブラックでした。笑えるところも結構多いのですが、もうひとつ突き抜けられなかったです。

でも、音楽や日本語など日本に関わるつくりに違和感がないのは好感が持てます。

トミー谷が歌う曲は、うまく歌謡曲やグループサウンズエッセンスを取り入れていますし、かなり訛ってはいますが、日本語もわれわれが話す英語はこんな感じに聞こえるんだろうなあ程度には(?)問題ないですし、そもそも「トニー谷」さんをどこで知ったんでしょう?

そのトミー谷役のデヴィッド・サクライさん、父親が日本人とのことで顔立ちはほぼ日本人で、18歳から10年位日本でバーテンダーをしながら俳優修業をしたらしいです。日本で俳優の道は開けなかったんでしょうか、キャラとしてはいい感じですので残念ですね。

映画は、CMディレクターらしい作りで、ワンシーンごとは面白いですし、いろいろギャグも入れつつ作られてはいるのですが、単調で起伏に欠け飽きてきます。

「九尾の狐」が映画の軸なんでしょうが、あまり生きていなく、やや説明的すぎてドラマになっていない感じです。

でも、監督の才能は、それが映画的であるかどうかは別にして、かなり期待はできるのではと感じました。