そんなには褒めないよ。映画評

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「父の秘密/マイケル・フランコ監督」この映画はとてつもない傑作かとんでもない愚作かどちらかです(笑)

実は、今日は、この映画と「消えたシモン・ヴェルネール」の二本立てで行こうと思っていたのですが、この映画のあまりのインパクトに二本目は挫折してしまいました。

予告編は何度か見ているのですが、それ以外の事前情報なしで見たものですから、父の秘密とは、母の事故死にまつわる何かだろうと思っていました。

こんなタイトルつけないで欲しいですね(笑)。原題は、宮台氏によると「DESPUES DE LUCIA」「ルシアの死後」、ルシアは「光」という意味らしく、それにかけて「光が消えた後」とのことです。

結論から言いますと、母ルシアを事故で亡くした後の、父ロベルト(ヘルナン・メンドーサ)と娘アレハンドラ(テッサ・イア)の悲劇的(的確な言葉じゃないですね…)な時間が、全く悲劇的にではなく描かれています。

とにかく初っ端から驚かされます。父ロベルトは、修理工場から車を引き取り運転していくのですが、突然何かに我慢できなくなったらしく、いきなり停まったかと思ったら、キーを引き抜き、ダッシュボードにキーを投げ捨て、車を路上に乗り捨ててしまうのです。

さらに驚かされるのは、この映画の特徴的なことなのですが、その父親の行為は全く説明されません。むしろ、意図的にそうした説明的になりそうなシーン、あるいは感情の発露のようなシーンはカットされているのです。

そうした不可解さは他にもいくつかあり、しっくりこない感覚は最後まで続きます。映画がどこに行こうとしているのか全く分かりません。

私は、あまり映画のネタバレを気にしない方ですが、さすがにこの映画はラストシーンを書く気にはなれません。別にどんでん返しがあるわけではありません。でも、我慢してラストシーンまでたどり着かないとこの映画は何も分かりません。

この映画は、とてつもない傑作かとんでもない愚作(駄作?)かどちらかです(笑)。

ちなみに、この映画には「父の秘密」も「娘の秘密」もありません。むしろ、「秘密」があろうがなかろうが、所詮人の心の中など分かろうはずはないということでしょう。