そんなには褒めないよ。映画評

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「未来を生きる君たちへ/スサンネ・ビア監督」ハリウッドは人をダメにする?

スサンネ・ビア監督、一体どうしてしまったんでしょう?!

何だかとてもつくりものくさく、それもアメリカくさい正義のドラマ仕立てでやりきれません。アメリカ市場をターゲットにした資金稼ぎなら許しますが…。

アントンの「右の頬を打たれたら左の頬...」ばりのシーン、ケガをしたビッグマンが難民キャンプに担ぎ込まれて以降の展開、クリスチャンの復讐に加わったエリアスが、巻き込まれそうになった親子を救うシーン、その後皆が許し合う展開、全てが安易です。

もちろん、それらの考えや意図されているテーマを否定するつもりはありませんが、(私が思う)スサンネ・ビア監督の良さは、それらの答えの出ない問題に苦悩する人間をじっと見つめることで何かしらドラマが生まれるところにあると思うからです。こんなに大上段に誰も否定できないドラマを語られてもちょっと引いてしまします。

さらに、少しばかり気になったことがあります。

上にもあげたアントンが左の頬を差し出すシーン、アントンは子供たちに暴力の無意味さを諭そうと、殴られた相手をわざわざ挑発し、さらに殴らせ、子供たちに「あの男は馬鹿だから殴ることしかできない」と侮辱します。アントンに挑発され、殴ることしか能がないと言われる男は、油にまみれて働く自動車修理工です。片や、アントンは、アフリカの難民キャンプで働く医師、金銭的に恵まれているかどうかは分かりませんが、明らかにエリートでしょう。さらに、クリスチャンの父クラウスも、ロンドンとデンマークを頻繁に行き来するエリートビジネスマンのようです。

どうなんでしょう、この人物設定…? ひねくれ者の危惧であることを願います。