「ジョジョ・ラビット」(ネタバレ感想)ヒトラーが吹っ飛ぶ寓話的なヒューマンドラマ

ナチスを題材にしてコメディ映画を撮るとすれば、それがいいことかどうかは別にしますとヒトラーを茶化すことが一番に思いつきそうですし、そんな映画があったようにも思います。しかし、この「ジョジョ・ラビット」は、そうしたシニカルな手法をとらず、主…

「フォードvsフェラーリ」(ネタバレ)ハリウッドにしてはメリハリ不足。実話にとらわれ過ぎ?

なぜ今この題材? という感じがする「フォード vs フェラーリ」です。 結局映画は、1966年のル・マン24時間レースにおいてフォードがフェラーリに一矢報いるという内容でなんですが、そのどちらも現在はル・マン24からは撤退していますし、題材自体に現代性…

「ラストレター」(ネタバレ)岩井俊二監督らしい叙情的感傷映画…でいいのか?

構成力はさすがです。 見る前にどんな話かと公式サイトのあらすじを読んでみましたら、読み方もよくわからない役名が並び、過去と現在を同じ俳優の二役で配役したりとなんだかややこしい話だなあと思ったのですが、実際に見てみれば、現在と過去の行き来も自…

「フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて」(ネタバレ)実話ベースの音楽ものはテッパン!

実話ベースのサクセスストーリーで音楽ものとくれば鉄板でしょう。 イギリス、ポート・アイザックの漁師たちのバンド「フィッシャーマンズ・フレンズ」がメジャーデビューし、全英チャートトップ10入りを果たすまでの物語です。2010年に発売されたこのCDがそ…

「冬時間のパリ」(ネタバレ)オリヴィエ・アサイヤスが描く大人のフランス人のノンフィクション(みたいな話)

先日見た「パリの恋人たち」もそうですが、フランス映画には叙情的な邦題をつければ客が増える法則でもあるのでしょうか(笑)。もちろん客が入らなければ映画も見られなくなるわけですからそうした努力なんだろうとは思いますが、それにしてもこの「冬時間…

「パラサイト 半地下の家族」(ネタバレ)階級社会ではなく格差社会の悲哀と悲劇

昨年2019年のカンヌパルムドール受賞作です。 このところの映画界(特に日本?)では、「格差社会」という言葉がこの時代を写すキーワードのように語られていますが、この映画こそはまさにそのものズバリの映画です。 それは、現代が「階級社会」ではなく「…

「サイゴン・クチュール」(ネタバレ)ベトナムの活力を感じる映画

こういう映画が作られるということはその国に活力があるということでしょう。 予告編をみていましたら「1969年 サイゴン、アオザイ屋の娘ニュイはサイゴンいちのファッションリーダー!」などと始まります。 え!? 1969年? ベトナム戦争は…? と、一瞬声を…

「残されたもの 北の極地」(ネタバレ)マッツ・ミケルセンを生かせず単調に終わる

これはそもそもの企画が無理なんじゃないでしょうか。 登場人物は実質的にひとりです。北極圏のどこかに小型飛行機で不時着した男が救助を求めるが救助のヘリも強風で墜落、やむなく生存者の女性パイロットを連れて自力での生還を試みるという物語で、その女…

「人魚の眠る家」(DVD)篠原涼子ってスゴイね。

面白かったです。DVD鑑賞ながら結構集中して見られました。 人の「生」と「死」の境界線という個々の局面では永久に結論のでないテーマがドラマというフィクションの世界にうまく落とし込まれています。まあこれは原作のものでしょうが、映画としては特に篠…

「ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋」(ネタバレ)下ネタ好きにはオススメ、シャーリーズ・セロンファンにもオススメ

下ネタも臆することなくやれば下品さも薄まるかどうかという映画です(笑)。 正直薄まっちゃいませんが、まあ、シャーリーズ・セロンだから許しましょ、というところでしょうか。 ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋 / 監督:ジョナサン・レヴィン …

「パリの恋人たち」(ネタバレ)ルイ・ガレル、映画で戯れる

ルイ・ガレルさん、無茶苦茶楽しんで映画つくってます。 公式サイトにある「フランス映画界きってのサラブレッド」という枕詞(的な)がフランスでも言われていることかどうかはわかりませんが、こういう(映画の)センスには二世、三世という環境が大きく影…

「泣き虫しょったんの奇跡」(DVD)サラリーマンから将棋のプロへ

将棋の世界のことなどまったくわかりませんが、こういう映画を見ますと藤井聡太くんは超超天才なんだということがわかります。 プロの棋士になるためには、奨励会に入り26歳までに三段リーグ戦で上位ふたりに入らなくてはいけないらしいのですが、この映画の…

「2人のローマ教皇」(ネタバレ)二人の教皇が互いに赦しを請い、そして与える

Netflix オリジナルの映画はネット配信の1週間前にイオンシネマで劇場公開するパターン(契約?)が定着しているようです。この映画もそうで、ネット配信は12月20日からされており、その1週間前からイオンシネマで公開されていました。 このパターンはこれ…

「私のちいさなお葬式」(ネタバレ)解凍された鯉とザ・ピーナッツ「恋のバカンス」?

「73歳、年金暮らし。それはあまりにも突然の余命宣告・・・。自分の<お葬式計画>に奮闘するエレーナの笑って泣けるやさしさに包まれる物語!!(公式サイト)」といったいわゆる終活ものというよりも母と息子の再生物語のような映画です。 私のちいさなお…

「愛の小さな歴史 誰でもない恋人たちの風景vol.1」撮りたいものがわからない

「愛の小さな歴史」ってタイトル、中川龍太郎監督の2015年の映画にありますが、知らないということはないでしょうから、わかってやっているんでしょう。それに副題が「誰でもない恋人たちの風景vol.1」ということですので連作として撮っていくということかと…

「ある女優の不在」(ネタバレ)イラン社会の3人の女性、過去、現在、未来(となるか?)

それにしても「ある女優の不在」とは無茶苦茶な邦題をつけたものです。 原題は「Se rokh」、Google翻訳で調べてみたんですが、何語なのかもわかりません。映画の言語はペルシャ語、アゼルバイジャン語、トルコ語となっており、そのいずれかとは思いますが変…

「家族を想うとき」(ネタバレ)労働者よ、もっと怒れ!とケン・ローチ監督は言っている

ケン・ローチ監督はもともと策を弄するような映画は撮らない直球勝負の監督ですが、前作の「わたしは、ダニエル・ブレイク」からさらにその傾向が強まり、この映画では行くところまで行っている感じがします。 言い方を変えますと、ケン・ローチ監督、前作に…

「カツベン!」(ネタバレ)エンタメ映画の王道でシリーズ化をねらう?

特に何かを期待して見るような映画ではなく(批判ではない)、映画の楽しみ方のひとつとしてはありかなという映画です。 笑いの要素がやや不足してはいますが、全体としては楽しめます。個々の俳優を見る映画でもあります。 カツベン! / 監督:周防正行 と…

「夕陽のあと」(ネタバレ)前半の完成度は高い、特に山田真歩さんがすばらしい。

前半は賞をとってもいいレベルでした。 後半もダメというわけではないのですが、おそらく企画の性格上やむを得ないのでしょう、説明的なシーンが多くなりますし、話を前向きにまとめようという意図があからさまになってきます。 夕陽のあと / 監督:越川道…

「読まれなかった小説」(ネタバレ)父と息子の軋轢と邂逅ではなく男たちの諦観の物語

189分、およそ3時間の映画です。前作の「雪の轍」が196分ですので、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督にはこの長さがないと語りきれないということなんでしょう。 前作では人の業のようなものを延々語ったものの、最後は割と簡単に人と人がわかり会えるような結…

「あなたを、想う」(ネタバレ)導入よし、画よし、俳優よし、なのに…なぜ?

(シルヴィア・チャン監督の2015年の映画です。シルヴィア・チャン監督の映画は、昨年2018年に「妻の愛、娘の時」を初めて見たのですが、その一作前が今公開されたようです。 公式サイトによりますと、「台湾で活躍する日本人俳優・蔭山征彦が温めていた3つ…

「テルアビブ・オン・ファイア」(ネタバレ)痛々しい。サラームがパレスチナの今だとしたら…

パレスチナが舞台の映画は、製作国や監督など、その映画がどのような背景のもとで作られたかをみないと、映画のもつ意味を理解するのは難しいです。 この「テルアビブ・オン・ファイア」のサメフ・ゾアビ監督は、(多分)イスラエル国籍のパレスチナ人で、テ…

「マリッジ・ストーリー」(ネタバレ)結婚、そして離婚、でも生きている Being Alive

Netflix 製作、配信は12月6日からですが、11月29日から先行劇場公開されています。 「イカとクジラ」「フランシス・ハ」「ヤング・アダルト・ニューヨーク」のノア・バームバック監督、主演は下の画像のようにスカーレット・ヨハンソンさんとアダム・ドライ…

「i 新聞記者ドキュメント」(ネタバレ)森達也監督らしくない中途半端さ

映画の宣伝コピーが「森達也 vs 望月衣塑子」となっており、おそらく、映画の意図としては、森監督が望月さんの新聞記者としての活動を追うことによって、ジャーナリズムの本質的なことを前景化しようということなんだろうと思います。 それが間違っていなけ…

「ライフ・イットセルフ 未来に続く物語」(ネタバレ)感動するか、あまりの作り込みに引くか、あなたはどちら?

こういう映画は苦手だなあ…(笑)。 なにがって、全編、ストーリーを説明されているような映画ですし、それに、なんだか壇上から教訓話を聞かされているような窮屈さを感じません? ライフ・イットセルフ 未来に続く物語 / 監督:ダン・フォーゲルマン それ…

「盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲」予測不能なブラックコメディーと言われても(コラ!)

インド映画と言いますと「歌って、踊って」がすぐに浮かんでしまい、およそ想像がついてしまいますのでほとんど見ないのですが、「踊らないのに大ヒット!」「予測不能なブラックコメディー」の宣伝コピーにつられ見てしまいました(笑)。 盲目のメロディ …

「失くした体」(ネタバレ)音楽とエスプリの効いた会話でみせるアニメーション

ふと見た予告編に惹きつけられたアニメーション、本編81分も惹きつけられっぱなしでした。 今年2019年のカンヌ国際映画祭批評家週間でグランプリを受賞したらしく、また、この部門でアニメーションがグランプリを受賞したのは初めてとのことです。 失くした…

「ゾンビランド ダブルタップ」(ネタバレ)笑いと差別は紙一重…かな?

一作目の「ゾンビランド」の成功の後、かなり早い段階から続編の話が出ていたように思いますが、やっと「ゾンビランド ダブルタップ」登場です。 ゾンビ好きというわけではありませんが、こういうただひたすら理屈を超えた展開のおバカ映画は大好きです(笑…

「象は静かに座っている」(ネタバレ)この閉ざされた世界から抜け出す先もまた国境に閉ざされた町

「象は静かに座っている」上映時間234分ですからほぼ4時間の映画です。 監督のフー・ボーさんは、この映画がベルリン国際映画祭のフォーラム部門でプレミア上映された昨年2018年2月16日から遡ることおよそ4ヶ月前の2017年10月12日に自ら命を断っています。…

「ラフィキ ふたりの夢」(ネタバレ)ケニア、自由にあるがままに生きたいと願う少女たち

ケニア映画です。アフリカを「舞台」にした映画ではないアフリカ映画って見たことがあるのだろうかと思い返してみても記憶がありません。 この映画の製作は南アフリカの Big World Cinema というプロダクションで、アフリカ映画がたくさんラインナップされて…