そんなには褒めないよ。映画評

映画を見てから読むブログ

「存在のない子供たち」(ネタバレ)「僕を産んだ罪」で両親を訴える子どもの絶望

ゼインという、実名と同じ役名の12,3歳の少年を演じているゼイン・アル=ラフィーアくん、下の画像の少年ですが、彼の演技があっての映画です。俳優ではなく、シリア難民で、現在は家族とともにノルウェイで暮らしているそうです。 存在のない子供たち / 監…

「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」(ネタバレ)人の生きざまは俗なものと裏腹の無常なり

これ、面白いですね。 チャン・リュル監督、知りませんでした。1962年生まれの中国籍の朝鮮族で、経歴は公式サイトの Director に詳しいです。アジアフォーカスや東京では上映されているようです。 慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ / 監督:チャン・リュル …

「僕はイエス様が嫌い」(ネタバレ)奥山大史監督、サンセバスチャン国際映画祭新人監督賞受賞作

奥山大史(ひろし)監督、現在23歳、この映画を撮ったのは青山学院大学(映画美?)の卒業制作だそうです。それにしてもびっくりするくらい映画がまとまっています。老成という言葉が浮かんできます。 僕はイエス様が嫌い / 監督:奥山大史 フィックスが多…

「さらば愛しきアウトロー」(ネタバレ)ロバート・レッドフォード、82歳、最後の出演作

ロバート・レッドフォードさん、82歳、俳優として最後の映画になるようです。 さらば愛しきアウトロー / 監督:デヴィッド・ロウリー 「明日に向って撃て!」からちょうど50年、下積みの時代が10年ほどあるようですのでおよそ60年、ハリウッドの第一線で俳…

「ワイルドライフ」(ネタバレ)ポール・ダノ監督デビュー作、大人ってワイルドだろぉ、って?

「ワイルドライフ」とは野生動物という意味、まさしく野生動物のように生きる両親の間にあって、必死に人間的(?)であろうとする子どもの、何とも痛々しい物語です。 ワイルドライフ / 監督:ポール・ダノ ジョー(エド・オクセンボールド)は14歳の少年…

「ゴールデン・リバー」(ネタバレ)西部劇がヒューマンドラマに変わる時

ジャック・オーディアール(オディアール)監督が西部劇? という感触を持っていたのですが、見てみれば、確かに、なるほどとも思える一風変わった西部劇でした。 ゴールデン・リバー / 監督:ジャック・オーディアール オーディアール監督は、ハリウッドで…

「Girl ガール」(ネタバレ)ララの究極の選択は本当に性別違和の解決か?

これまた何度も見せられた予告編から、性別違和を抱える男の子が周囲の偏見、差別に負けずにバレリーナ(女性バレエダンサー)を目指して頑張る感動ものかと思っていましたら、まったく、まったく、違っていました。 Girl ガール / 監督:ルーカス・ドン ベ…

「アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場」(ネタバレ)無名戦士たちの終わりなき継続戦争

現在、秋篠宮が外交関係樹立100周年ということでフィンランドを訪問しています。多少なりともその話題性を集客に結びつけようとしたかどうかはわかりませんが、2017年製作のフィンランドの戦争映画が公開されています。 アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場…

「ニューヨーク 最高の訳あり物件」(ネタバレ)マルガレーテ・フォン・トロッタ監督、ラブコメに挑戦か?

何度も見せられた予告編だけで充分だなあと思っていたのですが、ふと監督名を見ましたら、「ハンナ・アーレント」「生きうつしのプリマ」のマルガレーテ・フォン・トロッタ監督ではありませんか! え、こんな映画撮るの? と半信半疑だったのですが、そうい…

「COLD WAR あの歌、2つの心」(ネタバレ)ズーラとヴィクトルを翻弄したのは冷戦か? 愛そのものか?

下の予告映像にグッときてこの映画を見たとしたら、見終えた後、どう評価すべきか迷うかもしれません。 映画『COLD WAR あの歌、2つの心』6月28日(金)公開 特報予告 この映画、想像力をフルに発揮して見ていませんと、いや、それでも初見では難しいかもし…

「新聞記者」(ネタバレ)新聞記者というより内閣情報調査室の官僚たちという映画

政治ネタを映画にするのは難しいですね。 圧力があるからということではなく、リアリティを求めれば地味だと言われたり、エンターテイメントに走ればわかっていないと言われたり、まあ、映画の題材には向いていない、特に日本ではということだと思います。 …

「アマンダと僕」(ネタバレ)パリ、ボルドー、ロンドンの日常風景の中の僕、という映画

アマンダの母親が亡くなることは予告編で知っていたのですが、理由はこれですか!? と、びっくり。それに、アマンダがその喪失感を乗り越えていく過程を描いた映画かと思っていましたら、そうでもなかったです。 アマンダと僕 / 監督:ミカエル・アース 昨…

「さよなら、退屈なレオニー」(ネタバレ)実はレオは”さよなら”しておらず、退屈と失望の真っ只中

「グザヴィエ・ドランにつづく新鋭×東京ジェムストーン賞受賞の未来を担う女優」の宣伝コピーにつられたとしても、裏切られることも後悔することもありません。 新鋭とはセバスチャン・ピロット監督、未来を担う女優とはカレル・トレンブレイさんです。 さよ…

「ウィーアーリトルゾンビーズ」ゲームボーイ世代&ロスジェネ世代の冷ややかなる憂鬱映画

「『そうして私たちはプールに金魚を、』が第33回サンダンス映画祭ショートフィルム部門でグランプリを受賞した新鋭・長久允監督の長編デビュー作(映画.com)」との紹介コピーですのでかなり期待度は高かったのですが… ウィーアーリトルゾンビーズ / 監督…

「ガラスの城の約束」(ネタバレ)ネグレクトを愛情視点で描いていいものか?

まためんどくさい映画を見てしまいました(笑)。 これが今の話なら、完全に児童虐待でアウトです。それをこんな脳天気な父娘の愛情物語に描くなんて、いくら1970年代の話だとしても、映画にするならもう少し考えるべきかと思います。 もうこんなブラックな…

「旅のおわり世界のはじまり」(ネタバレ)前田敦子さんのドキュメンタリーとしてみればよくできた映画

前田敦子さんを追ったドキュメンタリーのような映画です。 それが結構見られる映画になっているわけですから、黒沢清監督が、前田敦子さん自身に映画一本持たせられるだけのものがあると考えた結果の映画だとは思います。 旅のおわり世界のはじまり / 監督…

「ハウス・ジャック・ビルト」(ネタバレ)内なる殺人鬼妄想に苦悩するラース・フォン・トリアー

トリアー監督(呼びかけ)、飛行機恐怖症ということはわかりますが、一度、ヨーロッパ以外の非キリスト教圏に長期滞在してみたらどうですか? 列車で行けますし、それに、もしすでに経験されているのであれば、さらにその倍の期間行ってみてはどうですか。 …

「嵐電」(ネタバレ)過去と現在、現実と幻、見えるものと見えないものが出会う場所。

嵐山と四条大宮を結ぶ京福電気鉄道嵐山本線のことを「嵐電(らんでん)」と呼ぶそうです。路面電車ですね。その嵐電を舞台にした三組のラブストーリーを描いた映画です。 嵐電 / 監督:鈴木卓爾 監督は鈴木卓爾さん、「楽隊のうさぎ」で知った監督です。今…

「エリカ38」樹木希林企画、浅田美代子主演が売りの日比遊一監督作品

樹木希林さんが浅田美代子さんのために企画したというのが売りの映画です。ただ私は、それだけではなく、監督が日比遊一さんということもあり、(若干)興味を持った映画です。 エリカ38 / 監督:日比遊一 日比遊一監督の初劇映画「ブルー・バタフライ」を…

「ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」(ネタバレ)音楽に、父は夢を見、娘は現実を見る

過剰なもののない見ていて気持ちのいい映画です。クライマックスのライブシーンは泣けます。ただ、あまり深いものを求めてはいけません。 ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた / 監督:ブレッド・ヘイリー 娘のサムをやっている上の画像の女性、何かで見…

「パリの家族たち」(ネタバレ)原題は『母の日』母の話ではあっても家族の話ではない

5月の「母の日」の前に公開するという選択は、あえて避けたということなんでしょうかね。そうだとしたら、その理由は何なんでしょう? この映画、原題が「母の日」であるだけでなく、内容も「母の日」をキーワードにした「母(となることも含め)という存在…

「アナと世界の終わり」(ネタバレ)青春、ゾンビ、ミュージカル、3ジャンルの王道をゆく

青春ゾンビミュージカル映画としては完璧です。 ただ、そうしたジャンルがあればですが(笑)。 「ショーン・オブ・ザ・デッド」と「ラ・ラ・ランド」の融合(‘Shaun Of The Dead’ Meets ‘La La Land’)とのコピーで紹介されています。どちらも見ていません…

「誰もがそれを知っている」(ネタバレ)ペネロペ・クルス&ハビエル・バルデムは果たしてこれを望んだのか?

これまで「誰もそれを知らなかった」ことを撮ってきたアスガー・ファルハディ監督が、「誰もがそれを知っている」ことを、はたしてこれまで通りの重層的な人間模様として描けるかに挑戦した映画です。 誰もがそれを知っている / 監督:アスガー・ファルハデ…

「ハイ・ライフ」(ネタバレ)キリスト教的価値観の脳内妄想映画

こういう映画はキリスト教世界の価値観がないと撮れないでしょう。 絶対的なるものへの憧憬、人間の誕生と再生への積極的な関与、性的欲望との葛藤、そして肉体と精神の二元論。基本は「2001年宇宙の旅」の流れの中の映画だと思います。 ハイ・ライフ / 監…

「長いお別れ」(ネタバレ)家族ファンタジーもいいけれど、さすがにここまでくると…

さすがにこの価値観(家族観)にはついていけないなあという映画です。 映画のつくりとしては俳優で持っている感はありますが、さすがにそれも30分くらいまでで、こうしたエンターテイメント系としてはメリハリがなく厳しいです。 長いお別れ / 監督:中野…

「小さな恋のうた」(ネタバレ)鉄板の青春音楽映画だが、山田杏奈、佐野勇斗、森永悠希の演技が魅力

青春 × 音楽(バンド)映画はやっぱり最強ですね(笑)。 それにこの映画、ベタなところのおさめ方が結構うまくいっており、最後まで嫌味なく見られます。こういう映画って、ある程度ベタじゃないと成立しませんし、かといって行き過ぎると引かれてしまいま…

「パパは奮闘中!」(ネタバレ)パパの奮闘よりもオリヴィエの労働環境の描写が気になる

こんな脳天気な邦題をつけるのは誰だ!? っていう映画です。 今のフランスってこんな状況かい? と怖くなりますし、じゃあ、日本は? と考えざるを得なくなるような、真面目で、深刻で、救いがあるようでないような、極めてシリアスな映画です。 パパは奮闘…

「僕たちは希望という名の列車に乗った」(ネタバレ)東西ドイツの分断は人の心も引き裂く

監督はラース・クラウメさん、前作は「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」という、ドイツの検事長フリッツ・バウアーがアイヒマンを追い詰める過程を描いた映画でした。今作はベルリンの壁が建設される少し前の東ドイツの物語です。 IMDbによれ…

「空母いぶき」(ネタバレ)描かれるのは、戦前日本 対 戦後日本?

こういう映画のほうが危ないかもしれませんね。 東宝の戦争(賛美?)映画かと恐る恐る(笑)見に行きましたら、キノフィルムズの製作で、内容も、日本の離島が国籍不明の武装漁船団に占領され、航空機搭載型護衛艦いぶきを旗艦とする第5護衛隊群が派遣され…

「コレット」(ネタバレ)キーラ・ナイトレイの演技とやさしい演出でよき人コレットに

シドニー=ガブリエル・コレットさんの半生を描いた映画です。ウィキペディアによりますと、1873年生まれ、1893年(20歳くらい)に結婚し、1906年(33歳くらい)に離婚とありますので、その間の13年間くらいが描かれていることになります。 コレット / 監督…