そんなには褒めないよ。映画評

映画を見てから読むブログ

「岬の兄妹」(ネタバレ)つくり手の意志がみえなければ映画にならない

地の果てのイオンシネマまで行って見てきました。エンドロールの配給(協力?)でしたかにイオンシネマの名が入っていたような…。そういえば「ROMA/ローマ」も配給すっ飛ばしてイオンシネマが(多分)Netflixから買ったとか、Netflixが売ったとか、あるいは…

「あなたはまだ帰ってこない」(ネタバレ)マルグリットのメラニー・ティエリーがいい

「あなたはまだ帰ってこない」って、こんな情感も何もあったものじゃないタイトルによくもOKが出たものだと思います。原作はマルグリット・デュラスの自伝的な小説『苦悩』、普通原作の日本語訳があればそれを使うんじゃないかと思いますが、今は散文系タイ…

「天国でまた会おう」(ネタバレ)面白い物語なのに焦点が定まらず…。

映像的にはロマンチシズムの香りがします。ふと「レ・ミゼラブル」が思い浮かぶようなクラシカルでロマンチックなフランスっぽい映画です。ただ、物語自体は第一次世界大戦というヨーロッパを疲弊させた戦争後の話ですので、そんなに明るい話ではありません…

「グリーンブック」(ネタバレ)日本にもグリーンブックがある…?

予告編を見ればおおよそ映画の内容は想像がつくこととアカデミー賞自体にさほど興味がないこともありスルーの予定でしたが、スパイク・リー監督が、この「グリーンブック」に作品賞が与えられた時に席を蹴ったというニュースを見て興味がわき見てみました。 …

「ナポリの隣人」(ネタバレ)人はわかりあえないし、所詮身勝手なもの…

2011年の「最初の人間」以来のジャンニ・アメリオ監督です。寡作の印象の監督ですが、IMDbを見ますとそうでもなさそうで、TVやらドキュメンタリーやらと結構いろいろ撮っているようです。 ナポリの隣人 / 監督:ジャンニ・アメリオ 最後まで焦点の定まらな…

「THE GUILTY ギルティ」(ネタバレ)会話は電話のみ、電話の向こうに見えたのは…自分?

登場人物(実質的に)ひとり、ワンシチュエーション、会話は電話のみ、といいますと「オン・ザ・ハイウェイ」という映画がありました。あの映画では常に後ろへ流れる夜景という心象的な風景が多用されていましたが、この映画は緊急通報センター(正式名称は…

「金子文子と朴烈」チェ・ヒソの文子は現実の文子を思わせる

半年くらい前に金子文子の獄中手記『何が私をこうさせたか』を読んだばかりですので、個人的にはとてもタイミングのいい映画でした。月曜日の昼間に観に行ったのですが、意外にも(ペコリ)そこそこ入っており、ちょっと驚きでした。 金子文子と朴烈 / 監督…

「アリータ:バトル・エンジェル」(ネタバレ)求められているのは、CGI よりもND(ニュー・ドラマツルギー)

今気づいたのですが、これ、ジェームズ・キャメロンさんは監督ではなくプロデューサーなんですね。やたらキャメロン、キャメロンとうたってありますので監督だと思っていました。 アリータ:バトル・エンジェル / 監督:ロバート・ロドリゲス まあ、ハリウ…

「半世界」(ネタバレ)チャンチャンとオチをつけたら「半世界」にはならないと思うけど…

「半世界」ってタイトル、惹きつけられます。小石清さんという写真家の連作につけられたタイトルから取っているとのことです。 小石さんには『初夏神経』という写真集があるようですが、簡単に買ってみようという金額ではありませんでしたので図書館で借りる…

「レット・ザ・サンシャイン・イン」中年の恋愛を不倫系悲恋ではなく描けるのはフランスだけ

「カイエ・ドゥ・シネマが選ぶフランス映画の現在(名古屋シネマテーク)」という企画上映の一本で、ジュリエット・ビノシュさんが主演の映画です。 レット・ザ・サンシャイン・イン / 監督:クレール・ドゥニ 「レット・ザ・サンシャイン・イン」と言えば…

「愛と銃弾」(ネタバレ)イタリアン・ハードボイルド・フィルム・ノワール・ミュージカル映画

これは、配給の宣伝担当を褒めたいですね(笑)。 「愛と銃弾」なんてタイトル、むちゃくちゃそそります。まあ、原題も近い意味なんでしょうが、下に引用した画像といい、「死んでも、愛して。」とか、このなんともいえないクサさの同居した切ないかっこよさ…

「女王陛下のお気に入り」(ネタバレ)女性三人の愛憎劇とみるのが妥当かな…

これ、基本的な話は史実なんですね。 ウィキペディアを読みますと1705年から1710年くらいの話で、日本では元禄、徳川五代将軍綱吉の時代です。アン女王がサラと幼馴染であることや、17回も妊娠し、流産、死産、早世でひとりも成人しなかったことも事実のよう…

「洗骨」(ネタバレ)ラスト、洗骨&〇〇シーンの静かな盛り上げ方がうまいです

チベットの鳥葬という埋葬方法を知ったときは、驚きはしてもその文字からおおよそ想像はできたのですが、この洗骨というのは、骨を洗うことはわかっても具体的にいつどうやって洗うのかは想像できません。 洗骨 / 監督:照屋年之 映画を見るとわかります。…

「ナチス第三の男」(ネタバレ)ハイドリヒ暗殺計画が題材の二部構成ダイジェスト版映画

2014年の本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『HHhH プラハ、1942年』(ローラン・ビネ:著、高橋啓:訳)が原作の歴史もの映画で、 原作タイトルの「HHhH」とは、「Himmlers Hirn heiβt Heydrich(ヒムラーの頭脳、すなわちハイドリヒ)」を表す。(図書新…

「ファースト・マン」ほぼ史実でしょうからネタバレなどなにもなく、映像と音楽を楽しみましょう

1969年7月21日02:56(UTC)(ウィキペディア)、人類で初めて月に降り立ったファースト・マンであるニール・アームストロングさんを描いた映画です。ちょうど50年前ですね。 ファースト・マン / 監督:デイミアン・チャゼル これは、IMAXとドルビーアトモス…

「ともしび」(ネタバレ)なしのただシャーロット・ランプリングを見続ける映画

一昨年、2017年のヴェネツィア映画祭でシャーロット・ランプリングさんが主演女優賞を受賞しています。 ともしび / 監督:アンドレア・パラオロ シャーロット・ランプリングさんの肖像画を90分間見続けるような映画です。 映画は物語を語ることを拒否してお…

「バーニング劇場版」(ネタバレ)これは村上春樹ワールドへのアンチテーゼかも?

「バーニング劇場版」なんていうタイトルですからテレビドラマの劇場版かと思いスルーしそうでした。イ・チャンドン監督の文字がふっと目に入り見逃さずにすみました。 バーニング劇場版 / 監督:イ・チャンドン 劇場版の意味はすでに NHKで放映されたから…

「天才作家の妻 40年目の真実」(ネタバレ)グレン・クローズさん、オスカー決定でしょう!

主演のグレン・クローズさんがアカデミー主演女優賞にノミネートされているとのこと、間違いなく受賞でしょう。ガガさんも良かったのですが、あれはガガさん本人が良かったということですが、こちらは俳優として素晴らしいです! 天才作家の妻 40年の真実 /…

「ジュリアン」(ネタバレ)これは、DV加害者、DV被害者の心理を描こうとした映画ではない

2017年ヴェネチア映画祭の銀獅子最優秀監督賞を受賞しています。グザヴィエ・ルグラン監督は現在39歳のフランス人、この映画が初の長編とのことです。 ジュリアン / 監督:グザビエ・ルグラン なかなかテーマや監督の立ち位置がわかりにく映画です。 もちろ…

「チワワちゃん」(ネタバレ)28歳が撮っても、やっぱり40代のノスタルジー

さすがにこのタイトルですので何も知らずに見に行くことはありませんが(笑)、映画.com あたりの「ヘルタースケルター、リバーズ・エッジ…漫画家…SNSが普及した現代の東京を舞台…」をちらりと見ただけでしたので、何だか妙に古臭い話だなあとの違和感で、見…

「シシリアン・ゴースト・ストーリー」(ネタバレ)実話ベースと知らずに見るとちとつらい、知って見ても…

何も知らずに、愛する人の前に幽霊が現れる、いわゆるゴースト・ラブストーリーものだろうと見に行きましたら、確かにラブストーリー要素はあったのですが、オープニング、いきなり不吉な印象のシーンで、なんだこれ!? のぞわぞわ感、なんとも落ち着かない…

「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」今年2019年がサリンジャー生誕100年、よく出来た伝記映画です

今年2019年がJ.D.サリンジャーの生誕100年になります。 映画は、サリンジャー20歳くらいから、『ライ麦畑でつかまえて』が完成し出版された1951年、32歳ごろまでを描いた伝記映画です。その後、クレアという女性と二度目の結婚をし、一男一女をもうけ、50歳…

「夜明け」(ネタバレ)鮮烈デビューの新人監督に厳しいことを書いてしまった(ペコリ)

「是枝裕和・西川美和監督が立ち上げた制作者集団「分福」が満を持して送り出す新人監督、広瀬奈々子」さんのデビュー作です。 なんてこと書かなくても、多くの人がこの映画に興味を持たれたのはおそらくこのコピーからでしょう。 夜明け / 監督:広瀬奈々子…

「喜望峰の風に乗せて」(ネタバレ)これはもったいない映画だ…、如何ようにも描けるのに。

こんな映画だったのかい!? 邦題から感じる印象とは真逆の映画でした。 喜望峰の風に乗せて / 監督:ジェームズ・マーシュ 配給の狙いをどうこう言っても始まりませんのでどうでもいいのですが(笑)、成功物語かと思って見ていましたら、なんと挫折物語で…

「未来を乗り換えた男」(ネタバレ)シュール、シュールと唱えて見ないと理解できないよ

この映画を自分の価値観の中に引き込んで見ようとすると、おそらく前半でお手上げになるでしょう。危ないところでした。心も頭も解き放ってじっとスクリーンを見つめていれば、やがて静かなる感動と、そして見終えて後の、疑問の嵐に見舞われることでしょう…

「あみこ」(ネタバレ)こういう才能が継続的に映画が撮れるといいのですが…

映画.com から宣伝コピーを引用しますと、 第39回ぴあフィルムフェスティバルで取り上げられ、PFFアワードで観客賞を受賞。その後も、第68回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に史上最年少で招待されたほか、香港国際映画祭やカナダのファンタジア映画祭な…

「MAKI マキ」(ネタバレ)なぜこの物語を撮ろうとしたのか興味はあるが…

イラン人のナグメ・シルハン監督がニューヨークの日本人コミュニティを舞台にした物語を撮った映画です。ただ、日本人コミュニティといっても、日本人ビジネスマン相手のクラブが舞台ですから、かなり限定的な世界ではあります。 公式サイト / 監督:ナグメ…

「葡萄畑に帰ろう」(ネタバレ)権力の象徴「椅子」をめぐる映画、ではなく音楽とワインの映画かも?

この映画は結局のところ、と、いきなり結局というのもなんですが、英題(原題も?)が「The Chair」であるにもかかわらず、邦題を「葡萄畑に帰ろう」とせざるを得ないという、そのことがもっともよくこの映画を現しているのだろうと思います。 公式サイト /…

「家へ帰ろう」(ネタバレ)叙情的になりやすい物語をストイックにまとめた監督の手腕に拍手

大晦日に見ましたら、号泣でした(笑)。 公式サイト / 監督:パブロ・ソラルス 「観客賞総ナメの感動作!」の宣伝コピーも嘘ではないですし、感動作云々以上に映画作りのセンスがいいです。監督でもあるパブロ・ソラルスさんのシナリオがいいです。主演の…

「ピアソラ 永遠のリベルタンゴ」プラベートフィルムは多いが伝記的映画を期待すると残念

冒頭の海の映像を背景にしたカットがいいなあと思いつつ、何だろう?と思っていましたら、2017年がピアソラの没後25年ということでアルゼンチンで回顧展があり、(多分)その会場のエントランスから階段を上がったところのイメージビジュアルじゃないかと思…