そんなには褒めないよ。映画評

映画を見てから読むブログ

「わたしは光をにぎっている」(ネタバレ)翔ばなくてもいい時代の青春ファンタジー

中川龍太郎監督、かなり注目している監督です。 一年ほど前に見た「四月の永い夢」がとてもいい映画であり、その名前になんとなく記憶がありましたので過去記事を検索しましたら、その三年ほど前に「愛の小さな歴史」を見ていたという、そんな始まりです。 …

「永遠の門 ゴッホの見た未来」(ネタバレ)シュナーベル監督の目を通しウィレム・デフォーの姿で見るゴッホ

フィンセント・ファン・ゴッホ37年の生涯のうち、亡くなるまでの2年あまりが描かれています。監督は「潜水服は蝶の夢を見る」のジュリアン・シュナーベル監督、あらためてこの監督の過去の作品をみてみますと伝記的な映画が多い監督です。 (的)としたのは…

「第三夫人と髪飾り」(ネタバレ)静謐なつくりに漂う悲哀、滲み出る情

始まってしばらくは、トラン・アン・ユン監督? と思うくらい雰囲気が似ていました。 ひとことで言えば静謐ということですが、ゆったりと流れる時間、少ない台詞、感情的なシーンを排しているにもかかわらずにじみ出る「情」、そういう映画です。 第三夫人と…

「ブラインドスポッティング」ネタバレ・レビュー/人種差別の複雑な内面化を描く

差別のある社会において、いや、もちろん、現在のところ、そうじゃない社会があるのかと言われれば悲観的にならざるを得ないわけですから、どんな社会においてもということになるのですが、ひとつは、差別する側に属する者は差別される者にどう対したらいい…

「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」(ネタバレ)人の生きざまは俗なものと裏腹の無常なり

これ、面白いですね。 チャン・リュル監督、知りませんでした。1962年生まれの中国籍の朝鮮族で、経歴は公式サイトの Director に詳しいです。アジアフォーカスや東京では上映されているようです。 慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ / 監督:チャン・リュル …

「さよなら、退屈なレオニー」(ネタバレ)実はレオは”さよなら”しておらず、退屈と失望の真っ只中

「グザヴィエ・ドランにつづく新鋭×東京ジェムストーン賞受賞の未来を担う女優」の宣伝コピーにつられたとしても、裏切られることも後悔することもありません。 新鋭とはセバスチャン・ピロット監督、未来を担う女優とはカレル・トレンブレイさんです。 さよ…

「アナと世界の終わり」(ネタバレ)青春、ゾンビ、ミュージカル、3ジャンルの王道をゆく

青春ゾンビミュージカル映画としては完璧です。 ただ、そうしたジャンルがあればですが(笑)。 「ショーン・オブ・ザ・デッド」と「ラ・ラ・ランド」の融合(‘Shaun Of The Dead’ Meets ‘La La Land’)とのコピーで紹介されています。どちらも見ていません…

「小さな恋のうた」(ネタバレ)鉄板の青春音楽映画だが、山田杏奈、佐野勇斗、森永悠希の演技が魅力

青春 × 音楽(バンド)映画はやっぱり最強ですね(笑)。 それにこの映画、ベタなところのおさめ方が結構うまくいっており、最後まで嫌味なく見られます。こういう映画って、ある程度ベタじゃないと成立しませんし、かといって行き過ぎると引かれてしまいま…

「コレット」(ネタバレ)キーラ・ナイトレイの演技とやさしい演出でよき人コレットに

シドニー=ガブリエル・コレットさんの半生を描いた映画です。ウィキペディアによりますと、1873年生まれ、1893年(20歳くらい)に結婚し、1906年(33歳くらい)に離婚とありますので、その間の13年間くらいが描かれていることになります。 コレット / 監督…

「たちあがる女」(ネタバレ)ベネディクト・エルリングソン監督の「地球温暖化」への強烈なメッセージ

「たちあがる女」なんてもんじゃないです。「Woman at War」まさしく「たたかう女」です! ただ直球勝負ではなく硬軟織り交ぜて作られており、とてもバランスがよく、面白いですし、考えさせられますし、でもどうしたらいいんだろうと立ちすくむしかない今の…

「マイ・ブックショップ」(ネタバレ)イギリスの田舎の風景は美しく、エミリー・モーティマーもいい

ひとりの女性がイギリスの田舎町に本屋をひらく、ただそれだけ話なんですがかなりよかったです。ゆったりしたリズムと間合い、そしてなんといっても、その女性フローレンスをやっているエミリー・モーティマーさんがいいです。 マイ・ブックショップ / 監督…

「愛と銃弾」(ネタバレ)イタリアン・ハードボイルド・フィルム・ノワール・ミュージカル映画

これは、配給の宣伝担当を褒めたいですね(笑)。 「愛と銃弾」なんてタイトル、むちゃくちゃそそります。まあ、原題も近い意味なんでしょうが、下に引用した画像といい、「死んでも、愛して。」とか、このなんともいえないクサさの同居した切ないかっこよさ…

「未来を乗り換えた男」(ネタバレ)シュール、シュールと唱えて見ないと理解できないよ

この映画を自分の価値観の中に引き込んで見ようとすると、おそらく前半でお手上げになるでしょう。危ないところでした。心も頭も解き放ってじっとスクリーンを見つめていれば、やがて静かなる感動と、そして見終えて後の、疑問の嵐に見舞われることでしょう…

「メアリーの総て」(ネタバレ)フランケンシュタインは18歳の女性によって生み落とされた!

ハイファ・アル=マンスール監督といえば、サウジアラビア出身の監督で、前作の「少女は自転車にのって」がとてもいい印象の映画でした。もう5年前になります。公開当時、サウジアラビアには映画館がないという話があり、びっくりしたのですが、その後どう…

「寝ても覚めても」(ネタバレ)柴崎友香と濱口竜介によって作られた新しい女性像、朝子。

今年のカンヌでは「万引き家族」がパルムドールを受賞しましたが、この「寝ても覚めても」もコンペティション部門に出品されています。 こうした映画祭への出品がどのように選定されるのかはわかりませんが、「ある視点」に出していれば何か受賞したかもしれ…

「最初で最後のキス」(ネタバレ)青春残酷物語、ビタースイートじゃないよ。

「イタリアでスマッシュヒット! 16歳の恋と友情をビタースイートに描いた青春映画」なんてコピー、間違っちゃいないですし、確かにそうなんですが、見終わってみれば、ビターどころか、かなり後味の悪い、残酷で救いのない、といっても非難ではなく、ため息…

「君が君で君だ」(ネタバレ)仮想空間で繰り広げられる狂気の恋愛ゲーム

愛は狂気だ、って映画です。 ただ、時代の空気からなのか、この手の話をストレートにやるのは憚れるのでしょう、その狂気はギャグで包まれ、オチにしても、迷いなのか、ごまかしなのか、いくつものパターンで終えています。 とは言え、少なくとも、映画や演…

「四月の永い夢」(ネタバレ)朝倉あきさんの映画ですね…。浴衣姿にドキッとします。

いい映画ですね。 特に何かが起きるわけでもなく、ひとりの女性の心の揺れのようなものがゆったりと流れていきます。 ただ何も起きないと言っても、いわゆる事件などのドラマチックな出来事が起きないだけで、その女性、滝本初海(朝倉あき)の心の中ではい…

「男と女、モントーク岬で」(ネタバレ)男の感傷物語にみえて、実は女性(たち)の物語かも…。

男性監督作品であれ女性監督作品であれ、およそ恋愛映画の大半は男の妄想物語ときまっています(異論は認めません(笑))が、それでも中には、その妄想にしとやかな品位をもって女の存在感を示す映画もあるわけで、この「男と女、モントーク岬で」はその一…

「パティ・ケイク$」(ネタバレ)青春音楽物語。この映画、貧困、差別、女性の自立が主たるテーマじゃないよ

ラップって、こういう言い方をするとラップ好きには怒られるかも知れませんが、ダサさと紙一重のカッコよさみたいなところがありますよね。 この映画でも、MCバトルという交互にラップを(でいいのかな?)競い合うシーンがありますが、必然的に相手をディス…

「ナチュラル・ウーマン」(ネタバレ)ロッカーの中にあったもの、それはマリーナがマリーナであるためのもの

むちゃくちゃ力強い映画です。 最近やたら耳にする、特にオリンピックシーズンでしたので毎日のようにテレビから流れてくる「勇気をもらう」という言葉を(嫌いだけど)あえて使えば、これほど「勇気をもらえる」映画、そして人物はいないでしょう。 映画の…

「花咲くころ」(ほぼネタバレ)1992年トビリシ、14歳エカとナティアの二人は確かにその時そこで生きていたという映画。

この映画、2013年の製作で、その年の東京フィルメックスで最優秀作品賞を受賞している映画です。 とてもいい映画で私はお勧めしますが、こうしたやや地味とも言える映画の公開は難しいのでしょう。まさかジョージア出身の栃ノ心が優勝したタイミングを見計ら…

「ソニータ」(ネタバレ)ドキュメンタリーとしての問題提起も含めオススメです

2016年のサンダンス映画祭のワールドシネマ ドキュメンタリー部門でグランプリを受賞しているドキュメンタリーです。 アフガニスタンからイランに逃れた女性(女の子)ソニータを追っています。映画は15,6歳から18歳くらいまでを撮っていますが、ソニータ自…

「汚れたダイヤモンド」(完全ネタバレ)ラスト10分のピエールの描き方が見事

この映画、ラストの数シーンが無茶苦茶いいです。 その良さというのは、主人公のピエール(ニールス・シュネデール)、下の引用の人物なんですが、彼の心の揺れが映画的に実にリアルなんです。 実際にありそうとか現実的という意味ではなく、彼は次どうする…

「あさがくるまえに」(ネタバレしても問題ない)のでよく知って見るべし。シンプルなのに情感豊か。

カテル・キレヴェレ監督、予告編映像ではこの映画が日本初公開と言っていますが、今回配給がついたという意味でしょう。前作の「スザンヌ」がフランス映画祭で上映され、その後単館系で企画上映されています。 「スザンヌ/カテル・キレヴェレ監督」フランス…

「ブランカとギター弾き」(ネタバレ)映画はシンプルなのに物語は深い

こういう映画を撮ることが出来る長谷井宏紀監督ってどんな人? と公式サイトを見てみましたら、 2009年、フィリピンのストリートチルドレンとの出会いから生まれた短編映画『GODOG』では、エミール・クストリッツァ監督が主催するセルビアKustendorf Interna…

「残像」アンジェイ・ワイダ監督の遺作、心に残る映画です

見終わって帰る足取りが重くなりました。 これ、映画としてはもちろん褒め言葉、内容的には、何というのでしょう、むちゃくちゃ重いシーンがあるとか、ドーンと心に響く(響きますが…)とかではなく、そうですね、過去の出来事だとか、他の国のことだとかと…

「午後8時の訪問者」(ネタバレ)ダルデンヌ兄弟、相変わらず隙がなく完璧!

ダルデンヌ兄弟監督の映画は、どの作品も全く隙がありません。 多くの場合、映画を見ていますと、え、そこで切るの?とか、もうちょっと見せてよとか、(カットが)長いなあとか、何かしら気になることはあるのですが、この監督の作品ではそうした気持ちを感…

「パリ、恋人たちの影」(ほぼネタバレ)恋に悩む男女におすすめ、大人になるために。

「恋人たちの失われた革命」以降ですのでごく最近のものしか見ていませんが、フィリップ・ガレル監督、一貫して男女の関係を撮っている印象です。 モノクロへの思いも強いのでしょうか、この「パリ、恋人たちの影」もそうですが、「恋人たちの失われた革命」…

「ブラインド・マッサージ」(完全ネタバレ)これに金熊を与えなかった審査員が信じられない!

「天安門、恋人たち」「スプリング・フィーバー」のロウ・イエ監督、2014年の作品です。なぜこんなに公開が遅くなるのか不思議ですね。 一般的にの話ですが、映画祭で評価の高い映画は逆に一般公開が難しいのかもしれません。この映画も2014年のベルリンで銀…