映画

「エンテベ空港の7日間」(ネタバレ)事実よりも人間を、アクションよりもメンタリティーを描く

1976年に実際に起きたハイジャック事件、そして人質救出作戦「エンテベ空港奇襲作戦」を描いています。 過去に3度映画化されているようですが、すべて直後の1976年(エンテベの勝利、特攻サンダーボルト作戦)と1977年(サンダーボルト救出作戦)です。 エ…

「ジョーカー」ネタバレ・レビュー ホアキン・フェニックスの代表作となるか? 多分なる。

今年2019年ベネチア国際映画祭の金獅子賞受賞作品です。 とにかく、ホアキン・フェニックスがすごい! につきる映画です。ほぼ一人芝居です。 ジョーカー / 監督:トッド・フィリップス この映画のために24キロ減量したと言われていますが、掛け値なしのそ…

「サラブレッド」ネタバレ・レビュー 冷血さは静かに伝搬する

少なくとも完成された映画ではありませんが、それでも傑作を生み出す可能性があるのか、あるいはそもそも力不足なのか、判断に悩むコリー・フィンリー監督、その初(長編)監督作品です。 サラブレッド / 監督:コリー・フィンリー コリー・フィンリー監督…

「パリに見出されたピアニスト」ネタバレ ヴァネッサ・パラディがマチューと父と結婚したって!?

映画内容は公式サイトのストーリーを読めばおおよそ想像がつくと思いますが、その想像以上のものはありません(ペコリ)。 パリに見出されたピアニスト / 監督:ルドビク・バーナード そのストーリーから概要です。 パリの主要ターミナル北駅。 「ご自由に…

「宮本から君へ」ネタバレ・レビュー 70年代風劇画の影がちらつく男の恋愛妄想

真利子哲也監督ということだけで見に行った「宮本から君へ」、変わったタイトルだなあくらいの軽い気持ちだったんですが、見終わってみれば、こんなの今どき受けるのかなあという疑問と、個人的にはどことなくいやーな感じが残る映画でした。 宮本から君へ …

「ラスト・ムービースター」ネタバレ・レビュー バート・レイノルズファン御用達、男の癒やし映画

バート・レイノルズさん、もちろん名前は知っていますし、顔を見れば、ああこの俳優さんかとわかりますが、おそらく映画は見たとしてもすべてDVDだと思いますのであまり記憶はありません。 昨年2018年9月6日に82歳で亡くなられているんですね。この映画は、…

「レディ・マエストロ」ネタバレ・レビュー 女性指揮者アントニア・ブリコの半生を描く

原題の「De dirigen」はオランダ語で「指揮者」とのこと、英語タイトルもそのまま「The Conductor」、なのに邦題は「レディ・マエストロ」、逆説的に言えば、この邦題が最もこの映画のテーマを表現しているということになります。 レディ・マエストロ / 監…

「アイネクライネナハトムジーク」ネタバレ・レビュー 伊坂幸太郎原作、今泉力哉監督、斎藤和義音楽の恋愛ドラマ

今泉力哉監督、公式サイトに「恋愛群像劇の名手」というコピーで紹介されていますが、確かに、私が見た「知らない、ふたり」も「愛がなんだ」も恋愛群像劇ではありました。 その二作に比べますと、あまり出来はよくありません。おそらく問題はシナリオですね…

「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」13歳リアルな青春ということなんだろうけど…

やたら評判がいいことと、宣伝コピーの「SNSと共に生きる私たちの「いま」をヴィヴィッドに描き出し、全米で社会現象を巻き起こした痛くて優しい感動作!」を見て興味を持った映画。 エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ / 監督:ボー・バーナム …

「ブラインドスポッティング」ネタバレ・レビュー/人種差別の複雑な内面化を描く

差別のある社会において、いや、もちろん、現在のところ、そうじゃない社会があるのかと言われれば悲観的にならざるを得ないわけですから、どんな社会においてもということになるのですが、ひとつは、差別する側に属する者は差別される者にどう対したらいい…

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」ネタバレレビュー・二大スター共演もバディムービーにもならず…

タランティーノ監督のつくる映画の特徴は、話は単純なんだけれども、いろいろ知っていないと面白さがわからないというところだと思います。この映画もそうで、シャロン・テート事件を知っているくらいでは映画についていけません(笑)。 ワンス・アポン・ア…

「ある船頭の話」ネタバレレビュー・オダギリジョー初監督作品だが…

オダギリジョーさんが映画を撮るという話は、「宵闇真珠」を見た時に知ったのですが、この映画がそれですね。 昨年2018年7月2日の記事です。 ある船頭の話 / オダギリジョー キノフィルムズの製作です。と書いても、キノフィルムズの実態を知っているわけで…

「台風家族」(ネタバレ)新井浩文事件を乗り越えて公開なるも、これかい?

新井浩文さんの件でかなり苦労して公開にこぎつけたようです。下の画像も撮り直したものでしょうし、様々なところで名前が目立たなくしてあります。 で、この「台風家族」を見ることになったのは、その新井さんの件ではなく、市井昌秀監督の名前を見ていて、…

「聖なる泉の少女」ジョージアの神話的、かつ寓話的な美しい映画(ネタバレ)

とにかく美しく、神話的で、それでいてといいますか、それだからこそですが、現代文明批判といいますか、環境破壊への批判的メッセージが感じられる映画です。 ジョージアのザザ・ハルヴァシ監督の2017年の作品、その年の東京国際で上映されたようです。 聖…

「帰れない二人」(ネタバレ)ジャ・ジャンクー監督、「青の稲妻」「長江哀歌」、そしてどこへ?

2001年から2017年という17年間の時代の変化を背景にした男と女の、ではなく女と男の愛の変遷、言い換えれば女と男の意地の張り合いが描かれます。 前作の「山河ノスタルジア」も1999年に始まり、2014年、そして2025年と2000年代を時代背景としていましたので…

「タロウのバカ」(ネタバレ)菅田将暉、太賀、YOSHIの怒りは今に通じるか

これを今作りますか!? って感じの映画です。 「怒り」と「暴力」しかありません。 タロウのバカ / 監督:大森立嗣 ああ、逆に今なのかな? ある意味、怒る相手が見えなくなっている今、怒り続けるしかない、怒る自分が消えてなくなるまで、怒り続けるしか…

「ペトラは静かに対峙する」(ネタバレ)人の心情を描かずして悲劇は描けるか

原題は単に「Petra」なのに、「ペトラは静かに対峙する」なんて邦題をよく考えついたものだと思います。それだけ配給の担当者の思い入れが強いということなんでしょうか。 監督は、現在49歳くらいのスペインのハイメ・ロサレス監督、公式サイトによりますと…

「おしえて!ドクター・ルース」90歳の現役セックスセラピスト ドクター・ルースの人生

「アメリカで最も有名なセックス・セラピストであり、司会者、作家として活躍」(公式サイト)するルース・ウェストハイマーさんを伝記的に追ったドキュメンタリーです。 ルースさんの人生そのものが映画です。 おしえて!ドクター・ルース / 監督:ライア…

「ガーンジー島の読書会の秘密」(ネタバレ)作家役のリリー・ジェームスが好印象

映画らしい映画、というのも変ですが、構成がしっかりしていますし、謎解きあり、恋愛ありで、最後はちょっと収め過ぎくらいにきっちりオチがついています。 映画の原題「The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society」と同名の原作があります。 ガー…

「ハッパGoGo 大統領極秘指令」ホセ・ムヒカ元大統領も登場するモキュメンタリー

こういうタイトル付けに象徴されるおバカ系(を思わせる)映画は結構趣味なんですが、これはちょっとシラフ(笑)で見て大笑いするのは無理ですね。 ハッパGoGo 大統領極秘指令 / 監督:デニー・ブレックナー, アルフォンソ・ゲレロ, マルコス・ヘッチ 企画…

「火口のふたり」(ネタバレ)R18+の大人のアニメかも?と思う男の妄想ファンタジー

後半に入り、そろそろ結末やなあ、どうするんだろう? と思っていましたら、 ん? 何だって? ジョーク? え!? マジ! みたいな思わぬ展開に、そういう話だったのねと、そもそもの男女ファンタジーに、60年代(70年代?)的四畳半ファンタジーが加わり、妙…

「ドッグマン」(ネタバレ)「ゴモラ」のマッテオ・ガローネ監督、カンヌ主演男優賞、パルム・ドッグ賞

なかなか掴みづらい映画でした。 「ゴモラ」のマッテオ・ガローネ監督の最新作ですが、その後の「リアリティー」は劇場公開されず、「五日物語 3つの王国と3人の女」は毛色の違うファンタジーで、これを劇場公開するのなら「リアリティー」もしてよという…

「ロケットマン」(ネタバレ)エルトン・ジョンがミュージカルになる! が、ドラマは凡庸。

音楽ものはやっぱりドルビー・アトモスで見たほうがいいですね。特にこの映画は音楽以外に見るべきところがありませんので(ペコリ)。 これ、批判というわけではありません。音楽が良くってそれで映画が持てば、それはそれでいいのだと思います。 ロケット…

「鉄道運転士の花束」(ネタバレ)セルビアの鉄道運転士は死者のために花を育てる

この映画はどんな映画? と聞かれたら、全体的なトーンとしては「アンダーグラウンド」っぽく、物語のベースは「人情もの」で、主演のキャラクターの矜持の有り様が「健さん」的と、そんなふうに答えるのがいいかと思います。 鉄道運転士の花束 / 監督:ミ…

「命みじかし、恋せよ乙女」(ネタバレ)樹木希林さんの遺作であり、HANAMI の続編

樹木希林さんを前面に出しての宣伝の効果でしょう、(私の)予想以上に入っていました。まさか日本ではあまり知られていないドーリス・デリエ監督の名前でということはないでしょう。 命みじかし、恋せよ乙女 / 監督:ドーリス・デリエ 「HANAMI」の完全な…

「永遠に僕のもの」(ネタバレ)アルモドバルプロデュースのクールな美少年犯罪ものを期待するが…

1971年に実際に起きた大胆な犯罪、その犯人の特異性、そしてそれを描くにぴったりの魅力的な俳優、映画を面白くできる要素は揃っています。それに半世紀前に起きた事件ともなれば、如何様にも料理できるはず、なのにどうしちゃったんでしょう? 永遠に僕のも…

「インターステラー」(DVD)理論物理学にもとづく硬派なSFを志向したけれど、軸はやっぱり父娘もの?

インターステラー(字幕版) 発売日: 2015/03/25 メディア: Prime Video この商品を含むブログ (8件) を見る こういう「終末、そして再生」みたいな物語はキリスト教世界にあっては永遠のテーマなんでしょう。過去、幾度も描かれてきた物語ではあります。何と…

「マイ・エンジェル」(ネタバレ)マリオン・コティヤールさんの熱演は認めますが、もういい加減…

またもこれかい! ネグレクトを愛情視点で描いちゃダメでしょ! という映画です。それに、子どもを救うのが擬似父親ってのもどうなんですかね…、ひと昔前の価値観じゃないでしょうか。 マイ・エンジェル / 監督:ヴァネッサ・フィロ 物語に目新しさはありま…

「北の果ての小さな村で」(ネタバレ)グリーンランド、人口80人の村の実在の人々が演じるドラマ

グリーンランドの物語です。 といっても、そもそものグリーンランドの位置をイメージしようとしても、北欧の…アイスランドの…と、(私は)その程度の曖昧さで終わってしまいます。その意味では、こういう映画は、それを機にいろいろ調べたりすることを含めて…

「ピータールー マンチェスターの悲劇」(ネタバレ)マイク・リー監督の関心は歴史ものに移っている?

マイク・リー監督、前作の「ターナー、光に愛を求めて」あたりから、興味の向く先が歴史ものに変わっちゃったんですかね。それに、そのターナーにしてもこのピータールーにしても、映画化するまでは知らなかったと語っているようです。 ピータールー マンチ…