そんなには褒めないよ。映画評

映画を見てから読むブログ

「ビューティフル・ボーイ」(ネタバレ)出口の見えない、薬物依存の息子とその父の物語

監督が「オーバー・ザ・ブルースカイ」のフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンさんということで、まったく内容も知らず、そういえば予告編では親子喧嘩していたなあといった程度の情報で見に行きましたら、えー、こんな話だったの…という映画でした。 ビ…

「悪と仮面のルール」(DVD)人間存在の不条理を描く重厚なドラマかと思ったら、メロドラマだった。

映画を見る限りでは、原作の中村文則著『悪と仮面のルール』が「ウォール・ストリート・ジャーナル紙の2013年ミステリーベスト10に選出(講談社文庫)」されたというのはにわかには信じがたいです。原作どうこうではありません。映画がです。 悪と仮面のルー…

「多十郎殉愛記」(ネタバレ)高良くん、力入りすぎ、多部未華子さん、着物が似合ってます。

「〝巨匠〟中島貞夫監督 20年ぶりの最新作 59年の映画人生を次世代に受け継いだ、日本映画史に残る新しい「ちゃんばら映画」が誕生!」なんて宣伝コピーですのでかなり期待して見に行ったんですけど…。 多十郎殉愛記 / 監督:中島貞夫 といっても、実は中島…

「ザ・プレイス 運命の交差点」(ネタバレ)預言者現る

これは舞台劇にすべき内容ですね。 映画では観念的すぎて持たないです。15分もすれば先がみえて飽きてきます。 ザ・プレイス 運命の交差点 / 監督:パオロ・ジェノヴェーゼ パオロ・ジェノヴェーゼ監督、前作は「大人の事情」で、こちらもどちらかといいま…

「麻雀放浪記2020」(ネタバレ)B級狙いなのか何なのか、狙いがわからない

惜しいー! 15分くらいは面白くなりそう! と期待したのに…。 麻雀放浪記2020 / 監督:白石和彌 何かと話題の多い映画です。東京五輪が中止になるという映画の設定に自民党国会議員がクレームをつけたとか、それが炎上商法だとか、ピエール瀧さん逮捕である…

「リヴァプール、最後の恋」(ネタバレ)男女逆にイメージしてこの映画の印象と比べてみれば何かが見える

グロリア・グレアムさん、アカデミー助演女優賞を受賞したのが1952年、29歳の時の「悪人と美女」、亡くなられたのが1981年ですから57歳です。そのグロリアさんの亡くなられる直前の物語です。 リヴァプール、最後の恋 / 監督:ポール・マクギガン 原作があ…

「記者たち 衝撃と畏怖の真実」(ネタバレ)今の日本を顧みるための映画

ブッシュ政権が2003年3月20日に始めた違法なイラク戦争、アメリカの大手メディアがこぞって戦争を支持していた時、ただ一社ナイト・リッダーだけがブッシュの嘘を暴こうとしていたという based on a true story の映画です。主要な登場人物である下の画像の…

「チャンブラにて」(ネタバレ)ロマの少年ピオくん、この映画出演を劣悪環境脱出の契機にして欲しい

ずーと気になっていたんですが、見るのが最終日(先週金曜日)になってしまいました。それにしても地味なタイトルです。昨年のイタリア映画祭2018で上映されています。 配給:武蔵野エンタテインメントとなっていますから、新宿武蔵野館が買い付けたというこ…

「空の瞳とカタツムリ」いつになったら女性は脳内男性から開放されるのだろう

なんとなくタイトルに惹かれ、上映劇場の紹介に「荒井晴彦が企画、荒井美早が脚本化」とありましたので見てみました。 空の瞳とカタツムリ / 監督:斎藤久志 公式サイトによりますと、荒井美早さんは1986年生まれですから現在33歳、映画の内容からしてへぇ…

「ブラック・クランズマン」(ネタバレ)これをアメリカのお話と思ってはいけない。

予告編ではコメディっぽい印象を受けたのですが、笑えるところはまったくなく気分が悪くなるような映画でした。これがアメリカの1960年、70年あたりの現実であり、また現在でもその根がなくなっているわけではないことを考えれば、スパイク・リー監督が「グ…

「たちあがる女」(ネタバレ)ベネディクト・エルリングソン監督の「地球温暖化」への強烈なメッセージ

「たちあがる女」なんてもんじゃないです。「Woman at War」まさしく「たたかう女」です! ただ直球勝負ではなく硬軟織り交ぜて作られており、とてもバランスがよく、面白いですし、考えさせられますし、でもどうしたらいいんだろうと立ちすくむしかない今の…

「マイ・ブックショップ」(ネタバレ)イギリスの田舎の風景は美しく、エミリー・モーティマーもいい

ひとりの女性がイギリスの田舎町に本屋をひらく、ただそれだけ話なんですがかなりよかったです。ゆったりしたリズムと間合い、そしてなんといっても、その女性フローレンスをやっているエミリー・モーティマーさんがいいです。 マイ・ブックショップ / 監督…

「サンセット」(ネタバレ)上から目線の映画はつくり手が望むほど人には伝わらない

「サウルの息子」のネメス・ラースロー監督の長編2作目です。 もし、この映画を見ようかやめようかと迷ってこのサイトにこられた方がいましたら、是非見てください、そしてどう感じられたか教えてくださいと答えます。そういう映画です(笑)。 サンセット …

「ROMA/ローマ」(ネタバレ)キュアロン監督のクレオ(Liboさん)への愛情の深さを感じる映画

Netflixのネット配信でしか見られないのかと思っていましたら、先週からイオンシネマで劇場公開されたアルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA/ローマ」 です。映画の内容だけではなく何かと話題の多い映画なんですが、意外にも入りはよくありませんでした。ネ…

「まく子」(ネタバレ)前半は鶴岡慧子監督のうまさが光るが、後半は物語として厳しい…。

何を見ようかとざっと映画の公開情報を見ていた際には、これは見ることはないかなと思っていたのですが、その後ふと鶴岡慧子監督の名前が目に入り、ああそういえば「過ぐる日のやまねこ」でかなり辛辣なことを書いたなあと思い出し、ちょっと反省の意味も込…

「岬の兄妹」(ネタバレ)つくり手の意志がみえなければ映画にならない

地の果てのイオンシネマまで行って見てきました。エンドロールの配給(協力?)でしたかにイオンシネマの名が入っていたような…。そういえば「ROMA/ローマ」も配給すっ飛ばしてイオンシネマが(多分)Netflixから買ったとか、Netflixが売ったとか、あるいは…

「あなたはまだ帰ってこない」(ネタバレ)マルグリットのメラニー・ティエリーがいい

「あなたはまだ帰ってこない」って、こんな情感も何もあったものじゃないタイトルによくもOKが出たものだと思います。原作はマルグリット・デュラスの自伝的な小説『苦悩』、普通原作の日本語訳があればそれを使うんじゃないかと思いますが、今は散文系タイ…

「天国でまた会おう」(ネタバレ)面白い物語なのに焦点が定まらず…。

映像的にはロマンチシズムの香りがします。ふと「レ・ミゼラブル」が思い浮かぶようなクラシカルでロマンチックなフランスっぽい映画です。ただ、物語自体は第一次世界大戦というヨーロッパを疲弊させた戦争後の話ですので、そんなに明るい話ではありません…

「グリーンブック」(ネタバレ)日本にもグリーンブックがある…?

予告編を見ればおおよそ映画の内容は想像がつくこととアカデミー賞自体にさほど興味がないこともありスルーの予定でしたが、スパイク・リー監督が、この「グリーンブック」に作品賞が与えられた時に席を蹴ったというニュースを見て興味がわき見てみました。 …

「ナポリの隣人」(ネタバレ)人はわかりあえないし、所詮身勝手なもの…

2011年の「最初の人間」以来のジャンニ・アメリオ監督です。寡作の印象の監督ですが、IMDbを見ますとそうでもなさそうで、TVやらドキュメンタリーやらと結構いろいろ撮っているようです。 ナポリの隣人 / 監督:ジャンニ・アメリオ 最後まで焦点の定まらな…

「THE GUILTY ギルティ」(ネタバレ)会話は電話のみ、電話の向こうに見えたのは…自分?

登場人物(実質的に)ひとり、ワンシチュエーション、会話は電話のみ、といいますと「オン・ザ・ハイウェイ」という映画がありました。あの映画では常に後ろへ流れる夜景という心象的な風景が多用されていましたが、この映画は緊急通報センター(正式名称は…

「金子文子と朴烈」チェ・ヒソの文子は現実の文子を思わせる

半年くらい前に金子文子の獄中手記『何が私をこうさせたか』を読んだばかりですので、個人的にはとてもタイミングのいい映画でした。月曜日の昼間に観に行ったのですが、意外にも(ペコリ)そこそこ入っており、ちょっと驚きでした。 金子文子と朴烈 / 監督…

「アリータ:バトル・エンジェル」(ネタバレ)求められているのは、CGI よりもND(ニュー・ドラマツルギー)

今気づいたのですが、これ、ジェームズ・キャメロンさんは監督ではなくプロデューサーなんですね。やたらキャメロン、キャメロンとうたってありますので監督だと思っていました。 アリータ:バトル・エンジェル / 監督:ロバート・ロドリゲス まあ、ハリウ…

「半世界」(ネタバレ)チャンチャンとオチをつけたら「半世界」にはならないと思うけど…

「半世界」ってタイトル、惹きつけられます。小石清さんという写真家の連作につけられたタイトルから取っているとのことです。 小石さんには『初夏神経』という写真集があるようですが、簡単に買ってみようという金額ではありませんでしたので図書館で借りる…

「レット・ザ・サンシャイン・イン」中年の恋愛を不倫系悲恋ではなく描けるのはフランスだけ

「カイエ・ドゥ・シネマが選ぶフランス映画の現在(名古屋シネマテーク)」という企画上映の一本で、ジュリエット・ビノシュさんが主演の映画です。 レット・ザ・サンシャイン・イン / 監督:クレール・ドゥニ 「レット・ザ・サンシャイン・イン」と言えば…

「愛と銃弾」(ネタバレ)イタリアン・ハードボイルド・フィルム・ノワール・ミュージカル映画

これは、配給の宣伝担当を褒めたいですね(笑)。 「愛と銃弾」なんてタイトル、むちゃくちゃそそります。まあ、原題も近い意味なんでしょうが、下に引用した画像といい、「死んでも、愛して。」とか、このなんともいえないクサさの同居した切ないかっこよさ…

「女王陛下のお気に入り」(ネタバレ)女性三人の愛憎劇とみるのが妥当かな…

これ、基本的な話は史実なんですね。 ウィキペディアを読みますと1705年から1710年くらいの話で、日本では元禄、徳川五代将軍綱吉の時代です。アン女王がサラと幼馴染であることや、17回も妊娠し、流産、死産、早世でひとりも成人しなかったことも事実のよう…

「洗骨」(ネタバレ)ラスト、洗骨&〇〇シーンの静かな盛り上げ方がうまいです

チベットの鳥葬という埋葬方法を知ったときは、驚きはしてもその文字からおおよそ想像はできたのですが、この洗骨というのは、骨を洗うことはわかっても具体的にいつどうやって洗うのかは想像できません。 洗骨 / 監督:照屋年之 映画を見るとわかります。…

「ナチス第三の男」(ネタバレ)ハイドリヒ暗殺計画が題材の二部構成ダイジェスト版映画

2014年の本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『HHhH プラハ、1942年』(ローラン・ビネ:著、高橋啓:訳)が原作の歴史もの映画で、 原作タイトルの「HHhH」とは、「Himmlers Hirn heiβt Heydrich(ヒムラーの頭脳、すなわちハイドリヒ)」を表す。(図書新…

「ファースト・マン」ほぼ史実でしょうからネタバレなどなにもなく、映像と音楽を楽しみましょう

1969年7月21日02:56(UTC)(ウィキペディア)、人類で初めて月に降り立ったファースト・マンであるニール・アームストロングさんを描いた映画です。ちょうど50年前ですね。 ファースト・マン / 監督:デイミアン・チャゼル これは、IMAXとドルビーアトモス…