そんなには褒めないよ。映画評

映画を見てから読むブログ

「若い女」(曖昧なネタバレ)家なし、金なし、何も持たないポーラに未来はあるか?

昨年のカンヌでカメラドールを受賞しています。元々は新人監督賞といっていたようで、日本では河瀬直美監督が「萌の朱雀」で20年前に27歳で受賞しています。 こちらのレオノール・セライユ監督は、1986年生まれとありますので31歳くらいでの受賞です。映画の…

「純平、考え直せ」(ちょっとネタバレ)視点を SNS 側に持っていけばよかったのではないかと思うけど…

タイトルにそそられて見た映画です。原作が奥田英朗さんの小説とのことですが、名前を知っている程度で読んだことはありません。 「ふたりの青春、あと3日ー」 こういうヒリヒリしそうな青春ものが好きなもんですから、いくらヤクザの鉄砲玉が題材とはいえ…

「つかのまの愛人」(ネタバレ)監督は娘のエステール・ガレルが撮りたかったんじゃなかろうか…。

こんな感情をあらわにする人間、特に女性を撮る監督でしたっけ? というのが、見始めてすぐ思ったこと。時々説明的に入る感傷的なピアノ曲やナレーションにもちょっと違和感…。 でもまあ見終えてみれば、そこに、その感情の発露である「熱さ」があるわけでも…

「妻の愛、娘の時」(ネタバレ)意地を張れば角が立つ、箪笥をあければ愛がある(?)

シルヴィア・チャンと聞いて思い浮かぶのは「山河ノスタルジア」のオーストラリアシーンの中国語教師くらいで、出演映画の一覧をみれば、ああ見たかもしれないと思うものもありますが、私にはあまり印象強くない俳優さんです。 この「妻の愛、娘の時」は監督…

「愛しのアイリーン」(ネタバレ)男性しか癒せない映画

𠮷田恵輔監督の映画は、「ヒメアノ~ル」「犬猿」に続いて3本目です。「犬猿」が(ラストをのぞいて)面白かったので早速見に行ったのですが、こちらは、何だかいやーな感じのする映画でした。ある意味、そう感じさせることが狙いでもあるとは思うのですが…

「500ページの夢の束」(ネタバレ)「スター・トレック」ファンであってもなくても楽しめるけど、現実を考えると重い

「自閉症を抱える少女ウェンディが500ページの脚本を届けるためハリウッドを目指す」(映画.com)と紹介されている映画ですので、正しく理解しているとは言えない「自閉症」自体を調べたほうがいいだろうとウィキペディアなど読んでみましたが難しいですね。…

「悲しみに、こんにちは」ネタバレしていますが、言葉で言い換えることの出来ないネタバレに意味のない映画です

昨年のベルリンのジェネレーションKplus でグランプリを受賞した映画です。ジェネレーションKplus と言いますと、児童・青少年向け映画部門 (Kinderfilmfest)ということなんですが、この映画、(多分)子どもが見て感情移入できるような映画ではないですね…

「寝ても覚めても」(ネタバレ)柴崎友香と濱口竜介によって作られた新しい女性像、朝子。

今年のカンヌでは「万引き家族」がパルムドールを受賞しましたが、この「寝ても覚めても」もコンペティション部門に出品されています。 こうした映画祭への出品がどのように選定されるのかはわかりませんが、「ある視点」に出していれば何か受賞したかもしれ…

「判決、ふたつの希望」(ネタバレ)うまくつくられたエンターテインメントであるがゆえに心に残りにくい

些細なことから大喧嘩になる、ちょっとした行き違いが取り返しのつかないことになる、日常生活でもよく起きることですが、そこに民族、宗教、主義主張が絡もうものならば、それこそ戦争までやってしまいそうになるというお話。ただ、それも男たちだから、の…

「英国総督 最後の家」イギリス目線のインド・パキスタン独立(秘話までいかない)歴史ドラマ

何となく気にはなっていたのですが、そのイメージ画像の印象がいかにも定形パターンのヒューマンドラマっぽくてパスしていた映画。映画.com の評価欄を何気なく見ていましたら、意外にもちゃんとした歴史ドラマの予感、見てみました。 公式サイト / 監督:…

「検察側の罪人」(ネタバレ)この監督、俳優を信頼していないですね。

洋画にしても邦画にしても、あまりメジャーなものは見ないのですが、何となく足を運んでみました。…ら、すごいですね、超満員でした。それも月曜の昼間なのに、学生さんというわけでもなく、高齢者というわけでもなく、月曜休みの方というのも意外と多いのか…

「最初で最後のキス」(ネタバレ)青春残酷物語、ビタースイートじゃないよ。

「イタリアでスマッシュヒット! 16歳の恋と友情をビタースイートに描いた青春映画」なんてコピー、間違っちゃいないですし、確かにそうなんですが、見終わってみれば、ビターどころか、かなり後味の悪い、残酷で救いのない、といっても非難ではなく、ため息…

「オーケストラ・クラス」(ネタバレ)ありがちな物語なのに、音楽を大切にし、シンプルでいい映画

音楽が人、特に子どもを育てるといったテーマの映画は、過去にもいろいろあったと思いますが、この映画もそのひとつで、プロのバイオリニストが子どもたちにバイオリンを教えるというものです。ただ、この映画の場合、むしろ育つ(変わる)のは教える側のバ…

「タリーと私の秘密の時間」(ネタバレ)はたして18キロ増量は必要だったか?

シャーリーズ・セロンが役作りのために18キロ(諸説あり)増量したという映画です。同じように13キロ増量して撮った2003年の「モンスター」は、なぜか劇場公開時には見逃してしまっていますので二の舞は踏めずと早速見に行きました。 公式サイト / 監督:ジ…

「追想」(ネタバレ)男は追想し、女は回想する、という男の妄想

なかなか掴みづらい映画で、「追想」などという邦題やオチのようにくっついている2007年のシーンを主題として見るならば、老年の男が若かりし頃の失敗をまさしく追想する映画ということなんですが、ただ、映画の8割方を占める1962年のシーンから見えてくる…

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」(ネタバレ)世界はすべてを許すわけではないけれど、いつか人が人を自由に愛せる時代はやってくる

予告編を見る度に、妙に古臭いビジュアルやねぇとか、腹の出たおっさんがテニスプレーヤー? などと、やや茶化したくなるような気分を感じていたのですが、ほぼ実話だったようで、ごめんなさいでした。 それに面白かったです。 公式サイト / 監督:ジョナサ…

「菊とギロチン」シナリオと編集に難あり…

瀬々敬久監督の自主企画とか構想30年などという言葉がありましたので、どういうことなんだろうとググっていましたら、クラウドファンディングで資金を募っていた記事がありました。 やるなら今しかない! 7月7日公開 瀬々敬久監督入魂の『菊とギロチン』上映…

「2重螺旋の恋人」(完全ネタバレ)子宮に残された2重螺旋は双子の夢を見る

フランソワ・オゾン監督は、ほんとに映画の志向性がわからない監督です(笑)。 前作「婚約者の友人」を見て、やっとフランソワ・オゾン監督がわかったぞと思ったのもつかの間、今作はかなりミステリー色が強い上に、性愛表現がかなりの比重を占めますし、ラ…

「カメラを止めるな」(ネタバレ)緻密な計算と隙きのない間合いの映画、ただし面白いのは1/3

小規模の公開が口コミで評判を生み、ついには全国◯館で公開! なんて宣伝文句はアメリカ映画ではよく目にしますが、日本でもついにそうしたことが可能な配給環境になったんでしょうか。 8月4日の映画.comの記事では「東京2館での公開から全国124の劇場での…

「スターリンの葬送狂騒曲」(ネタバレ)スターリン死後の権力闘争をギャグるも、毒にもならず

スターリンが倒れた1953年3月1日からのソビエト連邦共産党内の権力闘争の内幕がコメディタッチで描かれています。主にベリヤとフルシチョフの争いで、当初はベリヤが権力を握りますが、(映画の)最後にはフルシチョフが勝つことになります。 映画の中では…

「さようなら」(DVD)アンドロイドに話題がいきますが、ブライアリー・ロングさんの映画ですよね

「海を駆ける」ではほとんどいいことを書いていませんが、深田晃司監督の映画は結構見ていますし、評価(偉そうですが)も高いです。 で、その記事にも書いた通り、DVDで見たこの「さようなら」が一番印象に残っています。ただ、公開時は、「人間とアンドロ…

「ウインド・リバー」(ネタバレ)アメリカの良心だとは思うけれど、現実は無理でも映画ならもう一歩前へ

映画としては、特に前半、ミステリータッチで隙なく進む展開は集中して見られますし、とてもよく出来ていると思います。ただ、この映画のテーマとなっている(かどうかも微妙)ものをどう捉えるかは結構微妙です。 公式サイト / 監督:テイラー・シェリダン…

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」(ネタバレ)過剰さがなくシンプル、蒔田彩珠がよく行間(画間)を埋めていた

夏休みということもあるのか、なかなか見たいと思える映画がありません。 ということで日本の青春もの、原作があり、押見修造さんという方のコミックだそうです。監督は、「本作で満を持しての長編商業映画デビューを果たす気鋭」と紹介されている湯浅弘章さ…

「祝福~オラとニコデムの家」作られた感が強い割に中途半端に感じられるドキュメンタリー

ドキュメンタリーでこういう画が撮れるってのはすごいですね。 被写体がカメラを意識してしないですし、被写体が自分をさらけ出しているように見えます。つまり、これをドラマと言われれば、演技にリアリティがあると評価されるということです。 公式サイト …

「軍中楽園」(ネタバレ)兵士と娼婦の悲恋物語、良くも悪くも追憶の彼方に…

公式サイトの画像やコピーをちらっと見て、軍人と娼婦の悲恋物語かなと予想して見に行きましたら、悲恋物語もあるにはあるのですが、全体としては、追憶の(やや)群像劇的な物語でした。 公式サイト / 監督:ニウ・チェンザー ただ、(やや)群像劇的だと…

「君が君で君だ」(ネタバレ)仮想空間で繰り広げられる狂気の恋愛ゲーム

愛は狂気だ、って映画です。 ただ、時代の空気からなのか、この手の話をストレートにやるのは憚れるのでしょう、その狂気はギャグで包まれ、オチにしても、迷いなのか、ごまかしなのか、いくつものパターンで終えています。 とは言え、少なくとも、映画や演…

「グッバイ・ゴダール!」ゴダールと言えども、男女の別れは映画通りにはいかず…

今さら私が説明するまでもないゴダールですが、ただ、今でも代表作として語られる映画の多くは、1959年の「勝手にしやがれ」から、この映画の冒頭に出てくる1967年の「中国女」あたりまでの作品で、この映画が描く時期は、一般的には(映画が)あまり知られ…

「EVA エヴァ」(ネタバレ)イザベル・ユペールはジャンヌ・モローを越えたか?

イザベル・ユペールはイザベル・ユペールしか演じない。 …の典型的な映画ですね。こういう物語性の強い映画でイザベル・ユペールに何を期待したのかよくわかりませんが、ただ、逆に「悪女イブ」的男目線の Eve 像を覆す可能性もあったのにとは思います。 公…

「ルームロンダリング」(ネタバレ)シリーズ化必至か? 連載漫画的な今どきの物語。

ルームロンダリング。 そもそもそんな言葉はないのに、何となくその意味を知っているような気がしてきます。そんな仕事が存在するとは思えないのに、何となくあるかもしれないと思えてきます。 公式サイト / 監督:片桐健滋 「企画」としては成功でしょう。…

「いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち」(ネタバレ)笑いのポイントがまるでわからない、私が悪いのか、映画が悪いのか?

上映前に流れる予告編も結構効力を発揮するもので、この映画、予告編を見て、これは面白そうと見に行ったものです。 ただ、その期待はしっかり裏切られましたが…(笑)。 公式サイト / 監督:シドニー・シビリア (日本の)公式サイトの「イタリアン・コメ…