そんなには褒めないよ。映画評

映画を見てから読むブログ

「旅のおわり世界のはじまり」(ネタバレ)前田敦子さんのドキュメンタリーとしてみればよくできた映画

前田敦子さんを追ったドキュメンタリーのような映画です。 それが結構見られる映画になっているわけですから、黒沢清監督が、前田敦子さん自身に映画一本持たせられるだけのものがあると考えた結果の映画だとは思います。 旅のおわり世界のはじまり / 監督…

「ハウス・ジャック・ビルト」(ネタバレ)内なる殺人鬼妄想に苦悩するラース・フォン・トリアー

トリアー監督(呼びかけ)、飛行機恐怖症ということはわかりますが、一度、ヨーロッパ以外の非キリスト教圏に長期滞在してみたらどうですか? 列車で行けますし、それに、もしすでに経験されているのであれば、さらにその倍の期間行ってみてはどうですか。 …

「嵐電」(ネタバレ)過去と現在、現実と幻、見えるものと見えないものが出会う場所。

嵐山と四条大宮を結ぶ京福電気鉄道嵐山本線のことを「嵐電(らんでん)」と呼ぶそうです。路面電車ですね。その嵐電を舞台にした三組のラブストーリーを描いた映画です。 嵐電 / 監督:鈴木卓爾 監督は鈴木卓爾さん、「楽隊のうさぎ」で知った監督です。今…

「エリカ38」樹木希林企画、浅田美代子主演が売りの日比遊一監督作品

樹木希林さんが浅田美代子さんのために企画したというのが売りの映画です。ただ私は、それだけではなく、監督が日比遊一さんということもあり、(若干)興味を持った映画です。 エリカ38 / 監督:日比遊一 日比遊一監督の初劇映画「ブルー・バタフライ」を…

「ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」(ネタバレ)音楽に、父は夢を見、娘は現実を見る

過剰なもののない見ていて気持ちのいい映画です。クライマックスのライブシーンは泣けます。ただ、あまり深いものを求めてはいけません。 ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた / 監督:ブレッド・ヘイリー 娘のサムをやっている上の画像の女性、何かで見…

「パリの家族たち」(ネタバレ)原題は『母の日』母の話ではあっても家族の話ではない

5月の「母の日」の前に公開するという選択は、あえて避けたということなんでしょうかね。そうだとしたら、その理由は何なんでしょう? この映画、原題が「母の日」であるだけでなく、内容も「母の日」をキーワードにした「母(となることも含め)という存在…

「アナと世界の終わり」(ネタバレ)青春、ゾンビ、ミュージカル、3ジャンルの王道をゆく

青春ゾンビミュージカル映画としては完璧です。 ただ、そうしたジャンルがあればですが(笑)。 「ショーン・オブ・ザ・デッド」と「ラ・ラ・ランド」の融合(‘Shaun Of The Dead’ Meets ‘La La Land’)とのコピーで紹介されています。どちらも見ていません…

「誰もがそれを知っている」(ネタバレ)ペネロペ・クルス&ハビエル・バルデムは果たしてこれを望んだのか?

これまで「誰もそれを知らなかった」ことを撮ってきたアスガー・ファルハディ監督が、「誰もがそれを知っている」ことを、はたしてこれまで通りの重層的な人間模様として描けるかに挑戦した映画です。 誰もがそれを知っている / 監督:アスガー・ファルハデ…

「ハイ・ライフ」(ネタバレ)キリスト教的価値観の脳内妄想映画

こういう映画はキリスト教世界の価値観がないと撮れないでしょう。 絶対的なるものへの憧憬、人間の誕生と再生への積極的な関与、性的欲望との葛藤、そして肉体と精神の二元論。基本は「2001年宇宙の旅」の流れの中の映画だと思います。 ハイ・ライフ / 監…

「長いお別れ」(ネタバレ)家族ファンタジーもいいけれど、さすがにここまでくると…

さすがにこの価値観(家族観)にはついていけないなあという映画です。 映画のつくりとしては俳優で持っている感はありますが、さすがにそれも30分くらいまでで、こうしたエンターテイメント系としてはメリハリがなく厳しいです。 長いお別れ / 監督:中野…

「小さな恋のうた」(ネタバレ)鉄板の青春音楽映画だが、山田杏奈、佐野勇斗、森永悠希の演技が魅力

青春 × 音楽(バンド)映画はやっぱり最強ですね(笑)。 それにこの映画、ベタなところのおさめ方が結構うまくいっており、最後まで嫌味なく見られます。こういう映画って、ある程度ベタじゃないと成立しませんし、かといって行き過ぎると引かれてしまいま…

「パパは奮闘中!」(ネタバレ)パパの奮闘よりもオリヴィエの労働環境の描写が気になる

こんな脳天気な邦題をつけるのは誰だ!? っていう映画です。 今のフランスってこんな状況かい? と怖くなりますし、じゃあ、日本は? と考えざるを得なくなるような、真面目で、深刻で、救いがあるようでないような、極めてシリアスな映画です。 パパは奮闘…

「僕たちは希望という名の列車に乗った」(ネタバレ)東西ドイツの分断は人の心も引き裂く

監督はラース・クラウメさん、前作は「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」という、ドイツの検事長フリッツ・バウアーがアイヒマンを追い詰める過程を描いた映画でした。今作はベルリンの壁が建設される少し前の東ドイツの物語です。 IMDbによれ…

「空母いぶき」(ネタバレ)描かれるのは、戦前日本 対 戦後日本?

こういう映画のほうが危ないかもしれませんね。 東宝の戦争(賛美?)映画かと恐る恐る(笑)見に行きましたら、キノフィルムズの製作で、内容も、日本の離島が国籍不明の武装漁船団に占領され、航空機搭載型護衛艦いぶきを旗艦とする第5護衛隊群が派遣され…

「コレット」(ネタバレ)キーラ・ナイトレイの演技とやさしい演出でよき人コレットに

シドニー=ガブリエル・コレットさんの半生を描いた映画です。ウィキペディアによりますと、1873年生まれ、1893年(20歳くらい)に結婚し、1906年(33歳くらい)に離婚とありますので、その間の13年間くらいが描かれていることになります。 コレット / 監督…

「アメリカン・アニマルズ」(ネタバレ)犯人たち本人が登場する実録貴重本強奪事件か??

映画の冒頭、「This is not based on a true story.」と出ます。即座に「not based on」に取り消し線が引かれ、そして取り消された文字が消えてしまいます。残るのは「This is a true story.」、これは実話であると言っています。 アメリカン・アニマルズ /…

「コンフィデンスマンJP」100%騙されて、ああ今日も騙されたとしあわせな気持ちで帰路につく

メラニー・ロラン監督の「ガルヴェストン」を見る予定が急遽変更、「コンフィデンスマンJP」を見ることになりました。理由はいたって簡単、ちょっとした時間の行き違いです(笑)。 朝のテレビで長澤まさみさんを見たことも理由のひとつです。番宣も有効との…

「怒り(DVD)」原作を損なうことなく、後半は結構いける

やっと DVD(Blu-ray)借りられました。 原作を読み、 映画に乞うご期待! ということになるのでしょうが、まあ例によって原作を読んで見た映画に満足などできるわけもなく、正直このキャスティングを見ても、もうこりゃダメでしょう(すみません)と思うわ…

「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」(ネタバレ)ヌレエフ亡命のラストシーンは見ごたえがあります

ルドルフ・ヌレエフ。 バレエ好きでなくとも、映画や舞台などアート系の情報に目を通していれば、必ず目にしている名前だと思います。というよりも、映画ファンであれば、「愛と哀しみのボレロ」のジョルジュ・ドンが演じたセルゲイのモデルといったほうが早…

「希望の灯り」(ネタバレ)巨大スーパーマーケットの通路に東西ドイツ統一後の人々の悲哀が満ちている

希望の灯り? 似たようなタイトルの映画、あったよなあ…。ああ、アキ・カウリスマキ監督の「街のあかり」「希望のかなた」だ。って、これはひょっとして配給の戦略(笑)? まあ、原作が収録されている短編集のタイトルが『夜と灯りと』だからということもあ…

「轢き逃げ 最高の最悪な日」(ネタバレ)水谷豊オリジナル脚本による監督第二作。

水谷豊さん、「相棒」の宣伝映像などでちらちらと見ているくらいで、ちゃんと見たのはこの映画が初めてです。脚本も水谷さんのもので完全にオリジナルだそうです。 轢き逃げ 最高の最悪な日 / 監督:水谷豊 入りがむちゃくちゃうまいですね、びっくりしまし…

「主戦場」ミキ・デザキ監督のビデオ論文のような映画

こうした映画にネタバレというものがあるとは思いませんが、以下、この映画の結論について書いていますので、気になる方はご注意ください。 主戦場 / 監督:ミキ・テザキ これは映画というよりもビデオ論文みたいなものです。だからダメという意味ではなく…

「ドント・ウォーリー」(ネタバレ)ガス・ヴァン・サント監督らしいスピリチュアルな映画

ジョン・キャラハンさん、下の引用画像にもカウボーイのイラストがありますが、自動車事故で胸から下が麻痺し車いす生活を送る(っていた)風刺漫画家です。2010年に59歳で亡くなっています。その半生、自動車事故にあってから立ち直り、風刺漫画家として世…

「エマの瞳」(ネタバレ)プレーボーイと盲目の女性の恋、だけの映画なのか?

公式サイトに「イタリアの名匠シルヴィオ・ソルディーニ監督の最新作」とありますが、まったく知らない監督で初めて見ました。 映画.comでシルヴィオ・ソルディーニ監督を見てみますと、結構公開されています。タイトルを見てもまったく記憶になく、劇場公開…

「幸福なラザロ」(ネタバレ)聖人を思わせるラズロの澄んだ瞳があっての映画

この映画、しばらく前に見たのですが、なんとなく書くポイントが定まらずそのままになっていました。前作の「夏をゆく人々」に比べれば、この「幸福なラザロ」はかなり明快なんですが、それでも、なんと言うのでしょう、これは決して批判的に言うのではなく…

「アガサ・クリスティー ねじれた家」(ネタバレ)物語の運びも登場人物もねじれが足らず。

公式サイトに、アガサ・クリスティー本人が「自身の最高傑作だと誇」ったとある『Crooked House ねじれた家』の映画化です。 ねじれた家 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) 作者: アガサ・クリスティー,田村隆一 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2004/06/1…

「12か月の未来図」(ネタバレ)エリート教師は教育格差問題を解決するか

過去には「パリ20区、僕たちのクラス」「バベルの学校」「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」といった映画もあり、もう少しドラマっぽいものでは「オーケストラ・クラス」もそうですが、移民や貧困層の多い地域の学校が舞台のフランス映画というのは日本でもよく…

「愛がなんだ」(ややネタバレ)今泉力哉監督による(超)日常会話的片思い恋愛劇

5人の男女の恋愛模様を2時間見続ける映画です。 って、ちょっと嫌味っぽく聞こえるかもしれませんが、そうでもなく、5人皆うまいですし、丁寧に作られていますし、(おそらく)今泉力哉監督のやろうとしていることもきっちりできている映画だとは思います…

「ある少年の告白」(ネタバレ)同性愛は治療すべきものというおぞましき思想、信条

「Conversion therapy」矯正セラピーと訳されていますが、同性愛者や両性愛者を異性愛者に矯正するという、いったいいつの時代? と思うような話ですが、原題(Boy Erased)と同名の回想録の著者ガラルド・コンリーさんが「Love In Action」へ送られたのは20…

「魂のゆくえ」(ネタバレ)とんでもないラブストーリーだった!

スクリーンは4:3のスタンダードサイズ、ほとんどすべての画がフィクス、それもかなりのこだわりの構図でこれ以外の切り取りは許さないくらいの意志が感じられます。 タイトル(原題:First Reformed)にもなっているファースト・リフォームド協会のトラー…