映画

「影裏」(ネタバレ感想)映画としての視点が定まらず、コトの成り行きしかみえず

最後まで何をやろうとしているのかわからない映画でした。 見終えた後、原作の書評などを読んでみましたら、え? そういう話だったの!? とびっくりしましたので、見られる方は原作を読んでからのほうがいいかもしれません。 影裏 (文春文庫) 作者:沼田 真…

「静かな雨」(ネタバレ感想)人は記憶を失えば他者と世界を共有できない、しかし…

つい3ヶ月ほど前に「わたしは光をにぎっている」を見たばかりの中川龍太郎監督の「静かな雨」です。原作ものは初めてとありますのでおそらくオファーがあったのでしょう。 静かな雨 (文春文庫) 作者:宮下 奈都 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2019/06/06…

「盗まれたカラヴァッジョ」(ネタバレ感想)イタリア人のイタリア人によるイタリア人のための映画

「カラヴァッジョ展」が大阪で開催中です。昨年2019年の8月から札幌、名古屋と巡回しているようです。また、これとは別の企画なんでしょうか、今年の10月には国立新美術館で「カラヴァッジョ《キリストの埋葬》展(仮称)」も開催されます。 そのカラヴァッ…

「1917」(ネタバレ感想)VR映画を目指すもドラマで破綻

これは企画倒れ、いやいや企画は実現しているんですからそうじゃなくて、なんて言うんでしょう、企画段階では面白そう! となるのに実際にやってみると意外につまらないという映画です。 もしこの映画を楽しみたいと考えるならば、少なくともドルビーシネマ…

「37 seconds サーティセブンセカンズ」(ネタバレ感想)佳山明さんあっての映画だが…。

この映画、ユマを演じている佳山明さんにつきます。 オーディションで選ばれた演技未経験の方とのことです。佳山さんの自然体の心地よさが映画全体を覆っています。まるであて書きしたかのようにしっくり収まっています。 37 seconds サーティセブンセカンズ…

「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」(ネタバレ感想)苦しみながら選択することこそが人間に与えられた自由だということ

「ナチュラルウーマン」「グロリアの青春」のセバスティアン・レリオ監督です。新作? と思いましたら、製作年は「ナチュラルウーマン」と同じ2017年になっています。 公式サイトによりますと、主演のレイチェル・ワイズさんの企画から立ち上がった映画で、…

「ロマンスドール」(ネタバレ感想)第一級のジョークか、はたまた脳内男性の成せる業か

タナダユキ監督だからだと思いますが女性客が多い印象でした。女性はこういう映画を見て共感するんでしょうか? いや、この問題の立て方自体が間違っていますね。そもそもこの映画、男目線の映画ですので、園子に共感することはないにしても、男ってこんな馬…

「オルジャスの白い馬」(ネタバレ感想)カザフスタンの美しき風景に西部劇を持ち込むと…

この映画、竹葉リサ監督とカザフスタンのエルラン・ヌルムハンベトフ監督の共同監督となっています。俳優としては、森山未來さんがカザフスタンの俳優たちの中にひとり加わっています。 映画監督というのは、こういう映画を撮りたいという思いがあってこそで…

「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」(ネタバレ感想)30年をかけた偉大なる駄作

なんともとりとめのない映画です。 ひとことで言えば批評性に欠けているということなんですが、映画であれ小説であれ、古典を題材にするということは、その古典を現代的意味においてどう読むかということが求められると思います。特に『ドン・キホーテ』は、…

「母との約束、250通の手紙」(ネタバレ感想)シャルロット・ゲンズブールが浮き、バランス悪さだけが目立つ

シャルロット・ゲンズブール、憑依型俳優に目覚めたか!? というような映画で、ゲンズブールさんが悪魔に取り憑かれたような母親を演じています。ロマン・ガリーというフランスの小説家の半生を描いており、その母親がゲンズブールさんです。 母との約束、2…

「コンプリシティ 優しい共犯」(ネタバレ)日本映画には珍しい(?)センスの良さが光る

こういう映画を撮れる監督が日本にもいるというのはうれしいですね。 こういうというのは、現実社会に積極的に関わろうとし、それをきっちりドラマと仕上げることができ、そしてなにをおいてもセンスがいいという映画です。 もちろん他にいないというわけで…

「風の電話」(ネタバレ感想)この映画には俳優モトーラ世理奈ではなくハルがいる

10年という時の流れを経てもなお癒やされない悲しみを俳優の演技だけで表現することはかなり難しいことだと思います。それをやってのけたのがモトーラ世理奈さんであり、監督の諏訪敦彦さんです。 東日本大震災のことです。 ラスト、亡くなった家族へ「風の…

「ジョジョ・ラビット」(ネタバレ感想)ヒトラーが吹っ飛ぶ寓話的なヒューマンドラマ

ナチスを題材にしてコメディ映画を撮るとすれば、それがいいことかどうかは別にしますとヒトラーを茶化すことが一番に思いつきそうですし、そんな映画があったようにも思います。しかし、この「ジョジョ・ラビット」は、そうしたシニカルな手法をとらず、主…

「フォードvsフェラーリ」(ネタバレ)ハリウッドにしてはメリハリ不足。実話にとらわれ過ぎ?

なぜ今この題材? という感じがする「フォード vs フェラーリ」です。 結局映画は、1966年のル・マン24時間レースにおいてフォードがフェラーリに一矢報いるという内容でなんですが、そのどちらも現在はル・マン24からは撤退していますし、題材自体に現代性…

「ラストレター」(ネタバレ)岩井俊二監督らしい叙情的感傷映画…でいいのか?

構成力はさすがです。 見る前にどんな話かと公式サイトのあらすじを読んでみましたら、読み方もよくわからない役名が並び、過去と現在を同じ俳優の二役で配役したりとなんだかややこしい話だなあと思ったのですが、実際に見てみれば、現在と過去の行き来も自…

「フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて」(ネタバレ)実話ベースの音楽ものはテッパン!

実話ベースのサクセスストーリーで音楽ものとくれば鉄板でしょう。 イギリス、ポート・アイザックの漁師たちのバンド「フィッシャーマンズ・フレンズ」がメジャーデビューし、全英チャートトップ10入りを果たすまでの物語です。2010年に発売されたこのCDがそ…

「冬時間のパリ」(ネタバレ)オリヴィエ・アサイヤスが描く大人のフランス人のノンフィクション(みたいな話)

先日見た「パリの恋人たち」もそうですが、フランス映画には叙情的な邦題をつければ客が増える法則でもあるのでしょうか(笑)。もちろん客が入らなければ映画も見られなくなるわけですからそうした努力なんだろうとは思いますが、それにしてもこの「冬時間…

「パラサイト 半地下の家族」(ネタバレ)階級社会ではなく格差社会の悲哀と悲劇

昨年2019年のカンヌパルムドール受賞作です。 このところの映画界(特に日本?)では、「格差社会」という言葉がこの時代を写すキーワードのように語られていますが、この映画こそはまさにそのものズバリの映画です。 それは、現代が「階級社会」ではなく「…

「サイゴン・クチュール」(ネタバレ)ベトナムの活力を感じる映画

こういう映画が作られるということはその国に活力があるということでしょう。 予告編をみていましたら「1969年 サイゴン、アオザイ屋の娘ニュイはサイゴンいちのファッションリーダー!」などと始まります。 え!? 1969年? ベトナム戦争は…? と、一瞬声を…

「残されたもの 北の極地」(ネタバレ)マッツ・ミケルセンを生かせず単調に終わる

これはそもそもの企画が無理なんじゃないでしょうか。 登場人物は実質的にひとりです。北極圏のどこかに小型飛行機で不時着した男が救助を求めるが救助のヘリも強風で墜落、やむなく生存者の女性パイロットを連れて自力での生還を試みるという物語で、その女…

「人魚の眠る家」(DVD)篠原涼子ってスゴイね。

面白かったです。DVD鑑賞ながら結構集中して見られました。 人の「生」と「死」の境界線という個々の局面では永久に結論のでないテーマがドラマというフィクションの世界にうまく落とし込まれています。まあこれは原作のものでしょうが、映画としては特に篠…

「ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋」(ネタバレ)下ネタ好きにはオススメ、シャーリーズ・セロンファンにもオススメ

下ネタも臆することなくやれば下品さも薄まるかどうかという映画です(笑)。 正直薄まっちゃいませんが、まあ、シャーリーズ・セロンだから許しましょ、というところでしょうか。 ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋 / 監督:ジョナサン・レヴィン …

「パリの恋人たち」(ネタバレ)ルイ・ガレル、映画で戯れる

ルイ・ガレルさん、無茶苦茶楽しんで映画つくってます。 公式サイトにある「フランス映画界きってのサラブレッド」という枕詞(的な)がフランスでも言われていることかどうかはわかりませんが、こういう(映画の)センスには二世、三世という環境が大きく影…

「泣き虫しょったんの奇跡」(DVD)サラリーマンから将棋のプロへ

将棋の世界のことなどまったくわかりませんが、こういう映画を見ますと藤井聡太くんは超超天才なんだということがわかります。 プロの棋士になるためには、奨励会に入り26歳までに三段リーグ戦で上位ふたりに入らなくてはいけないらしいのですが、この映画の…

「2人のローマ教皇」(ネタバレ)二人の教皇が互いに赦しを請い、そして与える

Netflix オリジナルの映画はネット配信の1週間前にイオンシネマで劇場公開するパターン(契約?)が定着しているようです。この映画もそうで、ネット配信は12月20日からされており、その1週間前からイオンシネマで公開されていました。 このパターンはこれ…

「私のちいさなお葬式」(ネタバレ)解凍された鯉とザ・ピーナッツ「恋のバカンス」?

「73歳、年金暮らし。それはあまりにも突然の余命宣告・・・。自分の<お葬式計画>に奮闘するエレーナの笑って泣けるやさしさに包まれる物語!!(公式サイト)」といったいわゆる終活ものというよりも母と息子の再生物語のような映画です。 私のちいさなお…

「愛の小さな歴史 誰でもない恋人たちの風景vol.1」撮りたいものがわからない

「愛の小さな歴史」ってタイトル、中川龍太郎監督の2015年の映画にありますが、知らないということはないでしょうから、わかってやっているんでしょう。それに副題が「誰でもない恋人たちの風景vol.1」ということですので連作として撮っていくということかと…

「ある女優の不在」(ネタバレ)イラン社会の3人の女性、過去、現在、未来(となるか?)

それにしても「ある女優の不在」とは無茶苦茶な邦題をつけたものです。 原題は「Se rokh」、Google翻訳で調べてみたんですが、何語なのかもわかりません。映画の言語はペルシャ語、アゼルバイジャン語、トルコ語となっており、そのいずれかとは思いますが変…

「家族を想うとき」(ネタバレ)労働者よ、もっと怒れ!とケン・ローチ監督は言っている

ケン・ローチ監督はもともと策を弄するような映画は撮らない直球勝負の監督ですが、前作の「わたしは、ダニエル・ブレイク」からさらにその傾向が強まり、この映画では行くところまで行っている感じがします。 言い方を変えますと、ケン・ローチ監督、前作に…

「カツベン!」(ネタバレ)エンタメ映画の王道でシリーズ化をねらう?

特に何かを期待して見るような映画ではなく(批判ではない)、映画の楽しみ方のひとつとしてはありかなという映画です。 笑いの要素がやや不足してはいますが、全体としては楽しめます。個々の俳優を見る映画でもあります。 カツベン! / 監督:周防正行 と…