映画

「水を抱く女」ネタバレレビュー・あらすじ:ウンディーネ(オンディーヌ)モチーフの重層的なラブ・ファンタジー

単なるラブ・ファンタジーもクリスティアン・ペッツォルト監督にかかると、どことなく社会性を帯びてわかりにくくなるという典型かと思います(笑)。 水を抱く女 / 監督:クリスティアン・ペッツォルト ウンディーネ(オンディーヌ) ネタバレあらすじとち…

「アンモナイトの目覚め」ネタバレレビュー・あらすじ:実在の人物をセクシュアリティ(だけ)で描くことの功罪

ケイト・ウィンスレットさんが演じている「化石採集者で古生物学者(ウィキペディア)」のメアリー・アニングさんは実在の人物です。ということをこの映画で知りました。 男女差別ゆえに歴史に埋もれている女性が再発見されることはいいことだと思います。が…

「パーム・スプリングス」ネタバレレビュー・あらすじ:タイムループ系ラブコメ、ちょっともの足らず

普通の(?)ラブコメじゃないとの噂を聞きつけて、さらにビジュアルに下の画像のようなおバカ系の香りが漂っていましたので、ついついそそられて見てしまいました(笑)。 結果、そこそこ面白くは見られましたが、ちょっとおバカさ足らずで期待ほど気持ちよ…

「BLUE/ブルー」ネタバレレビュー・あらすじ:昭和のドラマ、平成の価値観、令和の女性観

ボクシング映画というよりもボクシングジム映画というべき、リング上の格闘よりもそこにいたるまでの(やや年齢のいった)若者たちの「心の格闘」を描いた映画でした。 俳優によってドラマが生まれるいい映画です。 BLUE/ブルー / 監督:𠮷田恵輔 俳優がド…

「サンドラの小さな家」ネタバレレビュー・あらすじ:テーマはともかく、日本社会からみれば現実感は薄い

この映画は、映画の主人公サンドラを演じているクレア・ダンさんが自ら書いた脚本をフィリダ・ロイド監督に読んでみてほしいと持ち込んだことが始まりとのことです。その経緯が 公式サイト のフィリダ・ロイド監督のインタビューにあります。 サンドラの小さ…

「月子」(映画・DVD)三浦透子、井之脇海主演、越川道夫監督、俳優二人のPV風

越川道夫監督ということでDVDを借りてみました。 この内容で122分?!という驚きの映画です。 月子 / 監督:越川道夫 プロモーションフィルムのよう 三浦透子さんと井之脇海さん ネタバレあらすじ プロモーションフィルムのよう もちろん122分のプロモーシ…

「僕が跳びはねる理由」言いたいことが言えない生活を想像できますか?

つい先日見た「旅立つ息子へ」が自閉スペクトラム症の青年と父親の映画でした。その際いくつか自閉スペクトラム症に関連するサイトを読んだことがこの映画を見たきっかけです。 僕が跳びはねる理由 / 監督:ジェリー・ロスウェル 東田直樹さん 自閉症者の見…

「旅立つ息子へ」ネタバレレビュー・あらすじ:親子の感動物語として売るのは日本映画界の悪しき行い

自閉スペクトラム症の青年と父親の物語です。監督はイスラエルのニル・ベルグマンさん、東京国際映画祭で2度グランプリを受賞している監督だそうです。なぜかまったく知りませんでした。 旅立つ息子へ / 監督:ニル・ベルグマン 父親の子離れ物語 ネタバレ…

「ゾッキ」ネタバレレビュー・あらすじ:ややオフビート、ややシュール、総じて真面目で優しい映画

原作の漫画も大橋裕之さんという方も知らないのですが、先行上映ということで見てきました。雰囲気的になんとなくギャグ系なんだろうなあと思って見に行ったのですが、そうでもなくシリアスということでもないのですがいたって真面目な(?)映画でした。ち…

「ノマドランド」ネタバレレビュー・あらすじ:ノマドファンタジーへの誘い

間もなく発表になる今年のアカデミー賞に作品賞、監督賞、主演女優賞など6部門でノミネートされています。先日見た「ミナリ」も同じように6部門でノミネートされていることとあわせて考えますとなんとも興味深いです。 どちらもアメリカのルーツに関わるよう…

「ある殺人、落葉のころに」ネタバレレビュー・あらすじ:わかりやすさを拒否することの意味

三澤拓哉監督ってどんな人かとウィキペディアを見ていましたら1987年生まれとあり、ん? そういえば2、3日前に見た「14歳の栞」のプロデューサーや監督も同年代だったなあと、まったく関係はないのですが妙に気になったわけです。 理由は、かたや時代の先端…

「14歳の栞」カメラの前のリアリティ、中学2年6組35人の3学期

ある中学校の2年生ひとクラス35人の3学期を撮った映画です。 ただそれだけです。でも映画になっています。 14歳の栞 / 監督:竹林亮 映像コンテンツとしての映画 編集と音楽 見えてくるのはリアルな14歳か? 映像コンテンツとしての映画 中学2年は14歳、多…

「DAU. ナターシャ」ネタバレレビュー・あらすじ:ソ連全体主義再現プロジェクト

この映画を一般的な面白い面白くないという範疇で語ってもあまり意味がないかもしれません。なにせ「DAU」というのは壮大なプロジェクトであり、この映画は、13本の映画と6本のTVシリーズ(14本の映画と3本のTVシリーズかも)のうちの1本ということです。 ま…

「ミナリ」ネタバレレビュー・あらすじ:ノスタルジックなフロンティア精神がアメリカのアイデンティティを刺激する

韓国系移民2世のリー・アイザック・チョン監督の自伝的な映画とのことです。ですので映画の中のデビッドが監督の幼い頃であり、映画の内容も監督の記憶やそこから広がった創作ということになるのでしょう。 ミナリ / 監督:リー・アイザック・チョン アカデ…

「MISS ミス・フランスになりたい!」ネタバレレビュー・あらすじ:ミスコン擁護にも見えるが…

男性がミスコンに出るという話であれば、切り口としてはトランスジェンダーかなと思っていましたがそうではなく、主人公の性自認は映画の主題にはあまり関係がないようで、単純に子どもの頃の夢を叶えた男の子という映画…なのかな? MISS ミス・フランスにな…

「ジャスト 6.5 闘いの証」ネタバレレビュー・あらすじ:「おしん」の国のクライム映画、イラン・ノワールとなるか…

最後まで飽きることなく集中して見られる映画なんですが、でも結局、見終えてなんと評すべきか迷うような映画です。 基本的には、警察と麻薬密売組織の戦いを描いたクライム映画ですのでアクションシーンもありますし、サスペンスっぽいところもあります。で…

「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」ネタバレレビュー・あらすじ:アメリカの真実が真実とは言えない

「ラスト・フル・メジャー」という言葉は、リンカーン大統領の言葉としてよく引用される「人民の、人民による、人民のための政治」が語られたと同じ演説の中の言葉ということです。南北戦争史上最大の戦いと言われる1863年のゲティスバーグの戦いの4ヶ月後に…

「太陽は動かない」ネタバレレビュー・あらすじ:アクションに走りすぎて肝心の人物描写がない…

吉田修一さんの『鷹野一彦シリーズ』3部作のうち、2011年に月刊誌に連載された『太陽は動かない』と、その後書き下ろしで2015年に発刊された『森は知っている』の2作を原作としてます。 ちなみに3作目の『ウォーターゲーム』は2作めに続いて2015年から2016年…

「あのこは貴族」ネタバレレビュー・あらすじ:女性たちは軽やかに階層社会を超える

「あのこは貴族」とのタイトルから漫画原作のラブコメだろうとスルーしていたのですが、ちらちらと目にする細切れ情報からどうも違うようだと思い直し見てみましたら、ふたりの俳優に現代的な存在感のあるいい映画でした。 あのこは貴族 / 監督:岨手由貴子…

「ステージ・マザー」ネタバレレビュー・あらすじ:音楽と俳優でみせる映画、深くはないけど楽しい

いい音楽といい俳優がいれば映画は成り立つという典型でしょうか。もちろん、コメディやファンタジーに限ってのことであり、シリアス系であれば当然それらとともに監督なりつくり手の視点が問われることになりますのでこの限りではありません。 ステージ・マ…

「ベイビーティース」ネタバレレビュー・あらすじ:涙なき難病ものは舞台劇の原作ゆえか

難病で死期が近い少女のラブストーリーです。 え、またか?!というくらいポピュラーな題材ですが、ちょっと雰囲気が違っており、感動ものを期待していきますと物足りないかもしれません。泣ける場面はありません。 ベイビーティース / 監督:シャノン・マ…

「わたしの叔父さん」ネタバレレビュー・あらすじ:センスもよく、遊び心もあり、美しい

楽しい映画でした。そしていい映画でした。 このところ押し付けがましいドラマばかり、特に日本映画なんですが、物語を説明的に語る映画を見ることが多く、それらに比べてこの映画はとても新鮮で、あれこれ考えながら見られるとても楽しい映画でした。 わた…

「世界で一番しあわせな食堂」ネタバレレビュー・あらすじ:中華料理(薬膳)は文化の壁を越える?

中国市場向けにつくられた映画か(多分そう)と思うほど中華料理が持ち上げられています。その点ではちょっとやり過ぎかなと思いますが、ラップランドの自然の中で料理を通してフィンランドと中国の価値観の接点が生まれるという映画です。 世界で一番しあわ…

「あの頃。」ネタバレレビュー・あらすじ:アイドルオタクの真髄を見たかったのに…

松坂桃李主演、今泉力哉監督の青春物語とありましたので見てみるかと、ただハロプロというものも知りませんでしたので(笑)ちょっとだけ調べて、ああ、モー娘。ねなどと軽い気持ちで見に行きましたら…こんな話だったのね。 あの頃。 / 監督:今泉力哉 アイ…

「ミセス・ノイズィ」ネタバレレビュー・あらすじ:映画に隙きはないが味わいも薄い

天野千尋監督の映画は短編を2本見ているだけですが、映画づくりがうまくて隙がない印象です。この映画もその印象どおりでした。 ミセス・ノイズィ / 監督:天野千尋 映画に隙きはない…が、 ネタバレあらすじとちょいツッコミ(なし) 説明的で味わいがない …

「すばらしき世界」ネタバレレビュー・あらすじ:エピソードつなぎの安易なドラマになっていないか…

西川美和監督、ついに原作ものか?! と思ったのですが、正直、これまでの自作のオリジナル脚本との違いはあまり感じられませんでした。いい意味で言えば、もともときっちりした脚本の存在が感じられる映画を撮る監督ですので、この映画でも原作に納得し、そ…

「私は確信する」ネタバレレビュー・あらすじ:リーガル・サスペンスを期待してはいけない。フランスの特殊な裁判の映画。

結局、最後の最後まで(意図が)よくわからない映画でした。 法廷劇を期待して見に行きますと面食らいますよ。 私は確信する / 監督:アントワーヌ・ランボー 死体もないのに殺人罪? ネタバレあらすじ もっとやるべき映画があるでしょう 死体もないのに殺…

「ブレスレス」ネタバレレビュー・あらすじ:犬はパンツをはかない、この邦題なら興行収入倍増だったのに

面白い映画ですね。 原題は「Hundar har inte byxor」で、Google翻訳ではスウェーデン語とでますがフィンランドの映画です。英語タイトルは「Dogs Don't Wear Pants」です。 「犬はパンツをはかない」 あなたは犬なんだからパンツを脱ぎなさい、というニュア…

「天国にちがいない」ネタバレレビュー・あらすじ:コメディ、アイロニカル、シュール、パレスチナ、あるいは世界の現実?

エリア・スレイマン監督、初めて見ました。 パレスチナの映画と言いますと、ハニ・アブ・アサド監督の「パラダイス・ナウ」や「オマールの壁」といった対イスラエル視点の映画を思い浮かべますが、この「天国にちがいない」はちょっと違っています。 天国に…

「ダニエル」ネタバレレビュー・あらすじ:サスペンス、オカルト、スリラー?よくわからんけどD級かな

まあなんともうるさい映画ですね。 全編、音楽やら効果音で煽ったり驚かせようとしています。 が、成功していません。 ダニエル / 監督:アダム・エジプト・モーティマー 音付けはゲームみたいなもの? ネタバレあらすじとちょいツッコミ 二世俳優 音付けは…