そんなには褒めないよ。映画評

映画を見てから読むブログ

「永遠の門 ゴッホの見た未来」(ネタバレ)シュナーベル監督の目を通しウィレム・デフォーの姿で見るゴッホ

フィンセント・ファン・ゴッホ37年の生涯のうち、亡くなるまでの2年あまりが描かれています。監督は「潜水服は蝶の夢を見る」のジュリアン・シュナーベル監督、あらためてこの監督の過去の作品をみてみますと伝記的な映画が多い監督です。 (的)としたのは…

「ひとよ」(ネタバレ)映画は俳優がつくる。田中裕子、佐藤健、佐藤亮平、松岡茉優

俳優でもっている映画でした。 田中裕子さん、佐藤健さん、鈴木亮平さん、松岡茉優さん、特に兄弟妹三人、それぞれの人物設定はステレオタイプであっても、映画のシーンとしてはとてもよいバランスでした。 ひとよ / 白石和彌 白石和彌監督の映画は、デビュ…

「CLIMAX クライマックス」(ネタバレ)これはドラッグ映画ではなくダンス&音楽映画です

紹介文を1,2行読めばおよそ想像がついてしまうような映画なんですが、ギャスパー・ノエ監督ということで、まあ見とくかということで(笑)。 CLIMAX クライマックス / 監督:ギャスパー・ノエ ほぼ予想した通りの映画でした。 雪が降る山奥の廃墟に集ま…

「閉鎖病棟 それぞれの朝」(ネタバレ)ストーリーを語るだけでは感動ものにもならない

平山秀幸監督と聞きますと、どうしても「愛を乞うひと」の、あの激烈な原田三枝子さんの演技が浮かんでしまい、期待値が高くなってしまいます。 とは言っても、それ以降は「しゃべれども しゃべれども」「信さん・炭坑町のセレナーデ」くらいしか見ておらず…

「マチネの終わりに」(ネタバレ)平成のすれ違いメロドラマは非日常に飛び立たず

究極の「平成のすれ違いメロドラマ」見てきました。 原作を読んでいますので、もっと気恥ずかしく感じるかと思いましたが、以外にもあっさりしており、「福山さん、この台詞だけはやめて…」と思っていたシーンもなんとかクリアし(笑)、逆に、オイオイ普通…

「ザ・レセプショニスト」(ネタバレ)マッサージパーラーの受付嬢は何の夢を見たか?

何、このやる気(売る気)のない邦題!? と逆に興味を持った映画です。え? じゃあ成功してるじゃない(笑)。 「The Receptionist」 引用した画像の真ん中の女性がその「受付」の仕事をしているということで、何の店かと言いますと、マッサージパーラー、…

「ブルーアワーにぶっ飛ばす」ブルーアワーも見られず、ぶっ飛ばしてもおらず

「TSUTAYA CREATORS'PROGRAM(TCP)」の2016年審査員特別賞受賞作の映画化です。 TCPのリンク先を見てみますと、今年から企画、監督、脚本と3部門に別れたとありますので、この作品の頃は企画だけなのか、脚本付きなのか、どちらにしても部門なしの審査だっ…

「第三夫人と髪飾り」(ネタバレ)静謐なつくりに漂う悲哀、滲み出る情

始まってしばらくは、トラン・アン・ユン監督? と思うくらい雰囲気が似ていました。 ひとことで言えば静謐ということですが、ゆったりと流れる時間、少ない台詞、感情的なシーンを排しているにもかかわらずにじみ出る「情」、そういう映画です。 第三夫人と…

「バオバオ フツウの家族」(ネタバレ)同性愛カップルの話ですが、物語もつくりも乱暴ですねぇ…

子どもが欲しい男女それぞれふた組の同性カップルが取った行動の顛末を描いた台湾映画です。 日本でも報道されましたが、台湾では今年の5月17日に同性婚を合法とする法律が可決されています。 台湾、同性婚認める法案を可決 アジア初 - BBCニュース バオバオ…

「今さら言えない小さな秘密」(ネタバレ)ラスト、マドレーヌのフラッシュバックにプチ感動

ついつい頬も緩み、くすっと笑いがもれる映画です。 「フランスの国民的作家にしてイラストレーター、漫画家でもあるジャン=ジャック・サンペのベストセラー『今さら言えない小さな秘密』」の映画化です。あまり詳しくはありませんが、『プチ・ニコラ』はよ…

「楽園」(ネタバレ)事件は描いても人を描かず。吉田修一「犯罪小説集」を映画化

吉田修一さんの小説が映画化されたものはほとんど見ていますが、なかなか小説を越えるものが出ないです。吉田修一さんはどちらかといいますとストーリーテラーですので、物語を追っていくだけの映画では、ただ映像化しただけで終わってしまうからではないか…

「イエスタデイ」(ネタバレ)ビートルズがいない世界なんて!?というビートルズ愛の映画

ビートルズをこの上なく愛する人たちが作ったということがひしひしと伝わってくる映画です。ダニー・ボイル監督はもちろんでしょうが、おそらく脚本のリチャード・カーティスさんがその中心ではないかと思います。 イエスタデイ / 監督:ダニー・ボイル 事…

「ボーダー 二つの世界」(ネタバレ)北欧の妖精トロールをめぐるダーク・ファンタジー

「ぼくのエリ 200歳の少女」を前面に出した宣伝がされていますが、それ系ファンタジーを期待していきますと、ちょっと戸惑うかもしれません。ファンタジーはファンタジーでも、視覚的にも内容的にも、こちらはかなりダークです。 もっとも、「ぼくのエリ」に…

「真実 La vérité」(ネタバレ)カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュであればこその映画

是枝裕和監督のパルムドール受賞後第一作です。 引用の画像を見てのとおり、俳優はカトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークという国際的スター、そして、IMDbを見た限りおもだったスタッフに日本人は入っていないようです。 もとも…

「見えない目撃者」(ネタバレ)吉岡里帆のなつめよりも犯人が主役のようだ

この映画が2011年の韓国映画「ブラインド」のリメイク版だというのは知っていたんですが、「見えない目撃者」でググりますと、この映画ともうひとつ同じタイトルでGAGA版がヒットします。なんと、2015年の中国版までありました。 それだけ基本的なプロットに…

「エンテベ空港の7日間」(ネタバレ)事実よりも人間を、アクションよりもメンタリティーを描く

1976年に実際に起きたハイジャック事件、そして人質救出作戦「エンテベ空港奇襲作戦」を描いています。 過去に3度映画化されているようですが、すべて直後の1976年(エンテベの勝利、特攻サンダーボルト作戦)と1977年(サンダーボルト救出作戦)です。 エ…

「ジョーカー」ネタバレ・レビュー ホアキン・フェニックスの代表作となるか? 多分なる。

今年2019年ベネチア国際映画祭の金獅子賞受賞作品です。 とにかく、ホアキン・フェニックスがすごい! につきる映画です。ほぼ一人芝居です。 ジョーカー / 監督:トッド・フィリップス この映画のために24キロ減量したと言われていますが、掛け値なしのそ…

「サラブレッド」ネタバレ・レビュー 冷血さは静かに伝搬する

少なくとも完成された映画ではありませんが、それでも傑作を生み出す可能性があるのか、あるいはそもそも力不足なのか、判断に悩むコリー・フィンリー監督、その初(長編)監督作品です。 サラブレッド / 監督:コリー・フィンリー コリー・フィンリー監督…

「パリに見出されたピアニスト」ネタバレ ヴァネッサ・パラディがマチューと父と結婚したって!?

映画内容は公式サイトのストーリーを読めばおおよそ想像がつくと思いますが、その想像以上のものはありません(ペコリ)。 パリに見出されたピアニスト / 監督:ルドビク・バーナード そのストーリーから概要です。 パリの主要ターミナル北駅。 「ご自由に…

「宮本から君へ」ネタバレ・レビュー 70年代風劇画の影がちらつく男の恋愛妄想

真利子哲也監督ということだけで見に行った「宮本から君へ」、変わったタイトルだなあくらいの軽い気持ちだったんですが、見終わってみれば、こんなの今どき受けるのかなあという疑問と、個人的にはどことなくいやーな感じが残る映画でした。 宮本から君へ …

「ラスト・ムービースター」ネタバレ・レビュー バート・レイノルズファン御用達、男の癒やし映画

バート・レイノルズさん、もちろん名前は知っていますし、顔を見れば、ああこの俳優さんかとわかりますが、おそらく映画は見たとしてもすべてDVDだと思いますのであまり記憶はありません。 昨年2018年9月6日に82歳で亡くなられているんですね。この映画は、…

「レディ・マエストロ」ネタバレ・レビュー 女性指揮者アントニア・ブリコの半生を描く

原題の「De dirigen」はオランダ語で「指揮者」とのこと、英語タイトルもそのまま「The Conductor」、なのに邦題は「レディ・マエストロ」、逆説的に言えば、この邦題が最もこの映画のテーマを表現しているということになります。 レディ・マエストロ / 監…

「アイネクライネナハトムジーク」ネタバレ・レビュー 伊坂幸太郎原作、今泉力哉監督、斎藤和義音楽の恋愛ドラマ

今泉力哉監督、公式サイトに「恋愛群像劇の名手」というコピーで紹介されていますが、確かに、私が見た「知らない、ふたり」も「愛がなんだ」も恋愛群像劇ではありました。 その二作に比べますと、あまり出来はよくありません。おそらく問題はシナリオですね…

「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」13歳リアルな青春ということなんだろうけど…

やたら評判がいいことと、宣伝コピーの「SNSと共に生きる私たちの「いま」をヴィヴィッドに描き出し、全米で社会現象を巻き起こした痛くて優しい感動作!」を見て興味を持った映画。 エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ / 監督:ボー・バーナム …

「ブラインドスポッティング」ネタバレ・レビュー/人種差別の複雑な内面化を描く

差別のある社会において、いや、もちろん、現在のところ、そうじゃない社会があるのかと言われれば悲観的にならざるを得ないわけですから、どんな社会においてもということになるのですが、ひとつは、差別する側に属する者は差別される者にどう対したらいい…

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」ネタバレレビュー・二大スター共演もバディムービーにもならず…

タランティーノ監督のつくる映画の特徴は、話は単純なんだけれども、いろいろ知っていないと面白さがわからないというところだと思います。この映画もそうで、シャロン・テート事件を知っているくらいでは映画についていけません(笑)。 ワンス・アポン・ア…

「ある船頭の話」ネタバレレビュー・オダギリジョー初監督作品だが…

オダギリジョーさんが映画を撮るという話は、「宵闇真珠」を見た時に知ったのですが、この映画がそれですね。 昨年2018年7月2日の記事です。 ある船頭の話 / オダギリジョー キノフィルムズの製作です。と書いても、キノフィルムズの実態を知っているわけで…

「台風家族」(ネタバレ)新井浩文事件を乗り越えて公開なるも、これかい?

新井浩文さんの件でかなり苦労して公開にこぎつけたようです。下の画像も撮り直したものでしょうし、様々なところで名前が目立たなくしてあります。 で、この「台風家族」を見ることになったのは、その新井さんの件ではなく、市井昌秀監督の名前を見ていて、…

「聖なる泉の少女」ジョージアの神話的、かつ寓話的な美しい映画(ネタバレ)

とにかく美しく、神話的で、それでいてといいますか、それだからこそですが、現代文明批判といいますか、環境破壊への批判的メッセージが感じられる映画です。 ジョージアのザザ・ハルヴァシ監督の2017年の作品、その年の東京国際で上映されたようです。 聖…

「帰れない二人」(ネタバレ)ジャ・ジャンクー監督、「青の稲妻」「長江哀歌」、そしてどこへ?

2001年から2017年という17年間の時代の変化を背景にした男と女の、ではなく女と男の愛の変遷、言い換えれば女と男の意地の張り合いが描かれます。 前作の「山河ノスタルジア」も1999年に始まり、2014年、そして2025年と2000年代を時代背景としていましたので…