そんなには褒めないよ。映画評

映画を見てから読むブログ

「タリーと私の秘密の時間」(ネタバレ)はたして18キロ増量は必要だったか?

シャーリーズ・セロンが役作りのために18キロ(諸説あり)増量したという映画です。同じように13キロ増量して撮った2003年の「モンスター」は、なぜか劇場公開時には見逃してしまっていますので二の舞は踏めずと早速見に行きました。 公式サイト / 監督:ジ…

「追想」(ネタバレ)男は追想し、女は回想する、という男の妄想

なかなか掴みづらい映画で、「追想」などという邦題やオチのようにくっついている2007年のシーンを主題として見るならば、老年の男が若かりし頃の失敗をまさしく追想する映画ということなんですが、ただ、映画の8割方を占める1962年のシーンから見えてくる…

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」(ネタバレ)世界はすべてを許すわけではないけれど、いつか人が人を自由に愛せる時代はやってくる

予告編を見る度に、妙に古臭いビジュアルやねぇとか、腹の出たおっさんがテニスプレーヤー? などと、やや茶化したくなるような気分を感じていたのですが、ほぼ実話だったようで、ごめんなさいでした。 それに面白かったです。 公式サイト / 監督:ジョナサ…

「菊とギロチン」シナリオと編集に難あり…

瀬々敬久監督の自主企画とか構想30年などという言葉がありましたので、どういうことなんだろうとググっていましたら、クラウドファンディングで資金を募っていた記事がありました。 やるなら今しかない! 7月7日公開 瀬々敬久監督入魂の『菊とギロチン』上映…

「2重螺旋の恋人」(完全ネタバレ)子宮に残された2重螺旋は双子の夢を見る

フランソワ・オゾン監督は、ほんとに映画の志向性がわからない監督です(笑)。 前作「婚約者の友人」を見て、やっとフランソワ・オゾン監督がわかったぞと思ったのもつかの間、今作はかなりミステリー色が強い上に、性愛表現がかなりの比重を占めますし、ラ…

「カメラを止めるな」(ネタバレ)緻密な計算と隙きのない間合いの映画、ただし面白いのは1/3

小規模の公開が口コミで評判を生み、ついには全国◯館で公開! なんて宣伝文句はアメリカ映画ではよく目にしますが、日本でもついにそうしたことが可能な配給環境になったんでしょうか。 8月4日の映画.comの記事では「東京2館での公開から全国124の劇場での…

「スターリンの葬送狂騒曲」(ネタバレ)スターリン死後の権力闘争をギャグるも、毒にもならず

スターリンが倒れた1953年3月1日からのソビエト連邦共産党内の権力闘争の内幕がコメディタッチで描かれています。主にベリヤとフルシチョフの争いで、当初はベリヤが権力を握りますが、(映画の)最後にはフルシチョフが勝つことになります。 映画の中では…

「さようなら」(DVD)アンドロイドに話題がいきますが、ブライアリー・ロングさんの映画ですよね

「海を駆ける」ではほとんどいいことを書いていませんが、深田晃司監督の映画は結構見ていますし、評価(偉そうですが)も高いです。 で、その記事にも書いた通り、DVDで見たこの「さようなら」が一番印象に残っています。ただ、公開時は、「人間とアンドロ…

「ウインド・リバー」(ネタバレ)アメリカの良心だとは思うけれど、現実は無理でも映画ならもう一歩前へ

映画としては、特に前半、ミステリータッチで隙なく進む展開は集中して見られますし、とてもよく出来ていると思います。ただ、この映画のテーマとなっている(かどうかも微妙)ものをどう捉えるかは結構微妙です。 公式サイト / 監督:テイラー・シェリダン…

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」(ネタバレ)過剰さがなくシンプル、蒔田彩珠がよく行間(画間)を埋めていた

夏休みということもあるのか、なかなか見たいと思える映画がありません。 ということで日本の青春もの、原作があり、押見修造さんという方のコミックだそうです。監督は、「本作で満を持しての長編商業映画デビューを果たす気鋭」と紹介されている湯浅弘章さ…

「祝福~オラとニコデムの家」作られた感が強い割に中途半端に感じられるドキュメンタリー

ドキュメンタリーでこういう画が撮れるってのはすごいですね。 被写体がカメラを意識してしないですし、被写体が自分をさらけ出しているように見えます。つまり、これをドラマと言われれば、演技にリアリティがあると評価されるということです。 公式サイト …

「軍中楽園」(ネタバレ)兵士と娼婦の悲恋物語、良くも悪くも追憶の彼方に…

公式サイトの画像やコピーをちらっと見て、軍人と娼婦の悲恋物語かなと予想して見に行きましたら、悲恋物語もあるにはあるのですが、全体としては、追憶の(やや)群像劇的な物語でした。 公式サイト / 監督:ニウ・チェンザー ただ、(やや)群像劇的だと…

「君が君で君だ」(ネタバレ)仮想空間で繰り広げられる狂気の恋愛ゲーム

愛は狂気だ、って映画です。 ただ、時代の空気からなのか、この手の話をストレートにやるのは憚れるのでしょう、その狂気はギャグで包まれ、オチにしても、迷いなのか、ごまかしなのか、いくつものパターンで終えています。 とは言え、少なくとも、映画や演…

「グッバイ・ゴダール!」ゴダールと言えども、男女の別れは映画通りにはいかず…

今さら私が説明するまでもないゴダールですが、ただ、今でも代表作として語られる映画の多くは、1959年の「勝手にしやがれ」から、この映画の冒頭に出てくる1967年の「中国女」あたりまでの作品で、この映画が描く時期は、一般的には(映画が)あまり知られ…

「EVA エヴァ」(ネタバレ)イザベル・ユペールはジャンヌ・モローを越えたか?

イザベル・ユペールはイザベル・ユペールしか演じない。 …の典型的な映画ですね。こういう物語性の強い映画でイザベル・ユペールに何を期待したのかよくわかりませんが、ただ、逆に「悪女イブ」的男目線の Eve 像を覆す可能性もあったのにとは思います。 公…

「ルームロンダリング」(ネタバレ)シリーズ化必至か? 連載漫画的な今どきの物語。

ルームロンダリング。 そもそもそんな言葉はないのに、何となくその意味を知っているような気がしてきます。そんな仕事が存在するとは思えないのに、何となくあるかもしれないと思えてきます。 公式サイト / 監督:片桐健滋 「企画」としては成功でしょう。…

「いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち」(ネタバレ)笑いのポイントがまるでわからない、私が悪いのか、映画が悪いのか?

上映前に流れる予告編も結構効力を発揮するもので、この映画、予告編を見て、これは面白そうと見に行ったものです。 ただ、その期待はしっかり裏切られましたが…(笑)。 公式サイト / 監督:シドニー・シビリア (日本の)公式サイトの「イタリアン・コメ…

「ゲッベルスと私」人は自分が悪であること、あるいは悪とともにいることに気づかない

ヨーゼフ・ゲッベルスと言えば、プロパガンダの天才と言われ、ナチスの権力掌握に大きな役割を果たし、ナチスの No.2として国民啓蒙・宣伝大臣に就いた人物です。この映画は、そのゲッベルスの秘書だったというブルンヒルデ・ポムゼルさんのインタビューを構…

「ガザの美容室」戦闘がハマス対イスラエルのものでないことにビックリ!

舞台はパレスチナ自治区ガザの美容室、中には13人の女たち、外には武器を持ってうろつく男たち。日本からみれば相当にシュールなこの風景は、ガザにおいては紛うことなき現実ということなのでしょう。 公式サイト / 監督:タルザン&アラブ・ナサール ワン…

「母という名の女」(ネタバレ)母は女であるが、女は母とは限らない…。は?

本当にこの監督の映画にはいつもびっくりさせられます。 なかなか先が読めません。 公式サイト / 監督:ミシェル・フランコ ミシェル・フランコ監督、現在、39歳か40歳くらいのメキシコの監督です。ワールドレベルでの活躍はここ10年くらいで、カンヌをター…

「30年後の同窓会」(ネタバレ)反戦、反権力かと思いきやアメリカ賛美の映画かなあ…?

最近は「6才のボクが、大人になるまで。」が代表作に挙げられることが多いようですが、私には、やはり「ビフォアー・サンライズ」の枕詞がしっくりくるリチャード・リンクレイター監督です。ウィキペディアを見てみますと他にもたくさん撮っているようですが…

「告白小説、その結末」(ネタバレ)その結末なしのサスペンスは原作者の実体験かも…

オチなしのサスペンス映画でした(笑)。 言い方を変えれば、私の妄想を聞いてくれてありがとう、みたいなことですかね。 公式サイト / 監督:ロマン・ポランスキー ある人気作家がいて、書けないスランプに陥って悶々としているところへ、ひとりの女性が現…

「レディ・バード」(ネタバレ)才能を感じますね、「フランシス・ハ」のグレタ・ガーウィグに。

つくり手に才能を感じる映画ですね。 当然ながら、映画が監督ひとりの力でできているわけではありませんのでつくり手と書きましたが、多くはグレタ・ガーウィグ監督のセンスでしょう。 公式サイト / 監督:グレタ・ガーウィグ 「フランシス・ハ」では、主役…

「万引き家族」(ややネタバレ)家族関係が過剰すぎてよく見えない家族の物語かな?

今年2018年のカンヌ、パルムドール受賞作です。1997年の「うなぎ」以来の21年ぶりだそうです。 公開一週間で「興行収入は約12億円、14日時点の観客動員は約100万人を記録」(映画.com)ということらしく、このまま伸びていくかどうかはわかりませんが、受賞…

「Vision」(ネタバレ)河瀬直美監督は本当に山(吉野)を見ているのか?

河瀬直美監督、とうとうスピリチュアルな世界へ行っちゃいましたね。 初期の自主制作と「殯の森」「光」しか見ていませんので、さほど深い意味で言っているわけではありませんが、「殯の森」あたりではもう少し現実世界から何かを見ようとしている感じはあり…

「それから」(ネタバレ)といっても大したネタはないけれど、ほんと、これはラディカル・ホン・サンスだ。

ホン・サンス監督らしい映画だとは思いますが、さすがにこれはやり過ぎではないかという(笑)、そんな感じでした。言い方を変えれば、ラディカル・ホン・サンス映画といったところでしょうか。 ホン・サンス監督の映画は、もう十数年前になりますが「女は男…

「四月の永い夢」(ネタバレ)朝倉あきさんの映画ですね…。浴衣姿にドキッとします。

いい映画ですね。 特に何かが起きるわけでもなく、ひとりの女性の心の揺れのようなものがゆったりと流れていきます。 ただ何も起きないと言っても、いわゆる事件などのドラマチックな出来事が起きないだけで、その女性、滝本初海(朝倉あき)の心の中ではい…

「ビューティフル・デイ」(ネタバレ)音楽がうるさくて映画に集中できない、でも結果よかった?

もうこういう映画はいいよね。 と、思ったんですが、そんなことよりも、この映画、むちゃくちゃ音楽がうるさかったですね。 私だけですかね? ひょっとして、そのせいで映画に集中できず、もういいと思ったとか…? 音楽はジョニー・グリーンウッドさんで、あ…

「海を駆ける」ネタバレしようにも意味不明、ラウがじゃないよ。

一週間ほど前に見た映画ですが、あまりの散漫な終わり方に、そのまま感想も気分も散漫なまま放ってありました(笑)。 この映画を三段階に分けて語るとすると、序盤は面白く、中盤は飽きがきて、後半は意味不明というところでしょうか。あるいは撮影期間切れ…

「ファントム・スレッド」(ネタバレ)ダニエル・デイ=ルイスが映画のバランスを崩している

予告編の「男は女の完璧な身体を愛した」や「オートクチュールのドレスが導く禁断の愛の扉が開かれる」のダサい(ペコリ)コピーと奇妙な抑揚のナレーションに妙にハマり、劇場で予告編が流れる度にぐっと笑いをこらえてきた映画を、ついに見てきました(笑…