映画

「DUNE/デューン 砂の惑星」ネタバレレビュー・あらすじ:デューンは呪われている

「デューン」は呪われていますね。 1970年代に企画されたホドロフスキー案は10時間の大作となりプロデューサーがびびって頓挫、そのあたりの経緯は「ホドロフスキーのDUNE」に詳しいのですが、その後、1984年にデイヴィッド・リンチ監督が映画化するも、本人…

「ONODA 一万夜を越えて」ネタバレレビュー・あらすじ:友情と不条理のONODA、フランス向けの映画

小野田寛郎さんがフィリピンのルバング島から日本に帰還したのは戦後29年の1974年、もう47、8年前のことです。半世紀前にもなりますのでリアルタイムでそのことを記憶しているとなりますと少なくとも60歳は越えている方々かと思います。 確かに、客層のほと…

「最後の決闘裁判」ネタバレレビュー・あらすじ:14世紀フランスのレイプ事件、すべては男のため

1386年のフランスで実際にあった騎士の決闘にまつわる映画です。 また地味な話だなあと思いながらも、マット・デイモン、アダム・ドライバー、ジョディ・カマー(よく知らない)、ベン・アフレック、それに監督がリドリー・スコットということならば見てみな…

「アイダよ、何処へ?」ネタバレレビュー・あらすじ:アイダの苦しみを共有できるのなら世界は…

日本での公開は3作目になるヤスミラ・ジュバニッチ監督、2006年の「サラエボの花」はベルリン映画祭で金熊賞を受賞しています。1990年代始めのボスニア・ヘルツェゴビナ紛争下で起きた悲劇的な過去を乗り越えようとする母娘を描いていました。 この映画「ア…

「スターダスト」ネタバレレビュー・あらすじ:ジギー・スターダスト誕生に迫れているか…?

音楽映画は鉄板というのはほぼ間違いなく、迷いなく見に行けます。 と思い、見に行ったのですが、音楽映画ではありませんでした。もう3年前になりますが、フレディ・マーキュリーの伝記もの「ボヘミアン・ラプソディ」のような映画を期待していきますとやや…

「コレクティブ 国家の嘘」ネタバレレビュー・あらすじ:ドキュメンタリーは真実報道ではなく非俳優によるドラマです

前作の「トトとふたりの姉」は、これ、ほんとにドキュメンタリー?! というようなすごい映画でしたけれども、この「コレクティブ」も、ちょっと違う意味ですごい映画でした。 東欧ルーマニアの映画なんですが、あれこれちょっと入れ替えれば今の日本にも当…

「護られなかった者たちへ」ネタバレレビュー・あらすじ:残念、佐藤健、阿部寛の共演生かされず

このところ続けざまに日本映画の社会派ドラマ(と言われる映画)を見ていますので、それが自ら望んだものであるとはいえ、やや食傷気味のところへ、さらにこの「護られなかった者たちへ」です(笑)。 ただ、佐藤健さんと阿部寛さんの共演ということで俳優力…

「ディナー・イン・アメリカ」ネタバレレビュー・あらすじ:パンクカップルはラブコメで世界を変える

面白い映画でした。アメリカはこういう映画はうまいですね。 社会規範への抵抗とラブストーリーを結びつけ、それでいて暗くならずにポップ(この映画ではパンク)でカラッとしています。犯罪性は抑えられてラブコメ要素がかなり強いのですが、「俺たちに明日…

「クーリエ:最高機密の運び屋」ネタバレレビュー・あらすじ:キューバ危機は「信頼」で回避された?というスパイ映画

ドミニク・クック監督の二作目です。一作目の映画「追想」は、原題が「チェジルビーチで」となっているように、チェジルビーチでの男女の別れのシーンのカメラワークの美しさが印象に残っている映画です。ただ、自分のレビューを読み返してみますと、映画自…

「空白」映画・ネタバレレビュー・あらすじ:父娘のつながりに救いを求めてはダメでしょう

𠮷田恵輔監督の「よし」は「𠮷」なのか、「吉」なのか、どっちなんでしょう? 公式サイトでも混在しています。これ、どっちでもいいわけじゃなく、検索に引っかからなくなるんですよね。 「𠮷」と「吉」 | 三省堂 ことばのコラム 空白 / 監督:𠮷田恵輔 今…

「君は永遠にそいつらより若い」ネタバレレビュー・あらすじ:吉野竜平監督の構成力と佐久間由衣、奈緒の俳優力が光る

原作の津村記久子著『君は永遠にそいつらより若い』を読んでいなければ見なかったかも知れない映画、見てよかったです。 俳優よし、構成よしの映画らしい映画でした。 君は永遠にそいつらより若い / 監督:吉野竜平 吉野竜平監督の構成力が素晴らしい 人物…

「由宇子の天秤」ネタバレレビュー・あらすじ:語るべきは、また描くべきは、人であって物語ではない

「火口のふたり」を見て、気になる俳優さんだなあと感じた瀧内公美さん、その主演の映画です。 監督は春本雄二郎さん、監督・脚本・編集・プロデューサーということですので、自分の撮りたいものを撮ったということだと思います。2018年に独立映画製作団体「…

「スザンヌ、16歳」ネタバレレビュー・あらすじ:女16歳、男35歳の恋愛を16歳の側から描く

スザンヌ・ランドン監督、現在21歳、撮影時は19歳くらい、この映画のシナリオ(のベース、多分)を書いたのは15歳、そして自ら、監督、脚本、主演という映画です。 両親は、ともに俳優のサンドリーヌ・キベルランさんとヴァンサン・ランドンさんです。 スザ…

「浜の朝日の嘘つきどもと」ネタバレレビュー・あらすじ:高畑充希さんら俳優が映画を救う

タナダユキ監督の映画では初めてよかったと思った作品かもしれません(ペコリ)。 「赤い文化住宅の初子」以来、数本は見ているのですが、どちらかと言いますとステレオタイプな人物でドラマをつくる印象が強く、過剰な演出を感じるからだと思います。 でも…

「テーラー 人生の仕立て屋」ネタバレレビュー・あらすじ:紳士服の世界をウェディングがエレガントに覆う

ギリシャで育ち、アテネとロンドンで映画製作を学んだというソニア・リザ・ケンターマン監督の初の長編映画です。1982年生まれですから現在39歳です。 ちょっと変わった、といいますか、ユニークな感性を感じます。 テーラー 人生の仕立て屋 / 監督:ソニア…

「アナザーラウンド」ネタバレレビュー・あらすじ:娘の死のせいか、色濃く漂う破滅欲求

「What is youth? A dream. What is love? The dream’s content.」 キェルケゴールの言葉から始まります。直訳では「若者とは何ですか?夢。愛とは何ですか?夢の内容」となりますが、映画を見た印象からすれば、「若さとは何だ? 夢さ。愛とは何だ? 夢を見…

「くじらびと」ネタバレレビュー・あらすじ:手漕ぎ船と一本の銛で鯨に挑む

数日前に劇場で見た予告編、銛一本で巨大なクジラに向かって海に飛び込んでいく人の姿に驚き、早速見に行った映画です。 くじらびと / 監督:石川梵 手漕ぎ船と銛一本 3つの視点と美しい映像 血に染まる海 ラマレラの人々の本当の姿か 手漕ぎ船と銛一本 そ…

「沈黙のレジスタンス」ネタバレレビュー・あらすじ:マルセル・マルソー、レジスタンに身を投じる

パントマイムといえばマルセル・マルソーさんと、すぐにその名前が出てくる方ですが、パントマイム・アーティストとして世に出るのは第二次世界大戦後のことです。この映画は、その戦争中にナチス・ドイツに対するレジスタンスとして活動していた時代を描い…

「鳩の撃退法」ネタバレレビュー・あらすじ:藤原竜也×西野七瀬、男女バディーものでいけるんじゃない

この映画を見た理由は「鳩の撃退法」のタイトルにつられただけです(笑)。それだけ映画のタイトルは重要ということでもあります。 原作者の佐藤正午さんの名前は見聞きはしていますが読んだことはなく、同名タイトルの原作も知らなかったということです。も…

「孤狼の血 LEVEL2」ネタバレレビュー・あらすじ:サイコパス映画でした。今や、ヤクザ映画は成り立たず?

この映画を見るために一作目の「孤狼の血」を見て、さらに柚月裕子さんの原作『孤狼の血』まで読んでいます(笑)。 んー、これはヤクザ映画ではなくサイコパス映画ですね。 原作には続編があり三部作となっているのですが、映画はそれとは関係がないようで…

「Summer of 85」ネタバレレビュー・あらすじ:ロッド・スチュワート「セイリング」の2シーンが美しい

人には誰でもどう生きるかといった人生に対するスタンスのような代えがたい価値観のようなものがあると思います。それは、自分の人生に対することだけではなく、社会的な出来事や身の回りの人間関係の見え方にも影響します。 当然、そうしたものは創作物にも…

「ドライブ・マイ・カー」ネタバレレビュー・あらすじ:細かすぎて伝わらないと音が加福に言う

濱口竜介監督、私個人としても評価は高く、大いに期待する監督のひとりですので批判という意味ではなく言えば、映画としてはちょっとやり過ぎじゃないかと思います。言い方をかえれば、力が入り過ぎている感じがしますし、映画の特質である(と私が思う)直…

「ひとくず」ネタバレレビュー・あらすじ:児童虐待が人情噺に利用されている

現在の社会問題を昭和の価値観で片付けてしまってはなにも生まれないと思います。 「10ANTS」という劇団の上西雄大さんという方が監督であり、主人公である男性を演じている映画です。劇団(兼芸能プロダクション)のウェブページをみてみますと、「かつての…

「すべてが変わった日」ネタバレレビュー・あらすじ:Let him go はアメリカ社会の裏の一面かも

ラリー・ワトソン(Larry Watson)さんという作家の同名タイトル「Let him go」という小説が原作らしく、その小説の時代設定は1951年であるところを映画では1963年にしています。 なぜこんなに中途半端に時代をずらしたのでしょう。 アメリカ人にとっては、…

「モロッコ、彼女たちの朝」ネタバレレビュー・あらすじ:少ない台詞と抑制された演出で静かなるフェミニズム

予想に反してとてもいい映画でした。 劇場で本編映画の前に流れる予告編をぼんやり見た印象と邦題「モロッコ、彼女たちの朝」の響きから、それぞれ問題を抱えるふたりの女性が助け合いながら問題を解決していく甘めのハッピーな映画なんだろうと思っていまし…

「mid90s ミッドナインティーズ」ネタバレレビュー・あらすじ:青春ノスタルジーは男の特権か?

湿っぽさのないノスタルジック青春映画という感じがします。 1990年代半ばのロサンゼルス、家庭環境のせいで居場所を見いだせない13歳の少年が、スケボー仲間と出会い、背伸びして仲間に入ろうとする話です。 映画が描いているのはそれだけですが、それだけ…

「サマーフィルムにのって」ネタバレレビュー・あらすじ:伊藤万理華と金子大地の大立ち回り、サブカルがメインになる日

始まってしばらくは、なんだ…学生の卒業制作か…と、公開日早々に見に来たことを後悔していたんですが、金子大地さんが登場し中盤に入りますと、ん? 何か違うぞと思い始め、終盤に向かってどうまとめるんだろうと期待も膨らみ、終わってみれば、んー、うまい…

「名もなき歌」映画・ネタバレレビュー・あらすじ:1988年のペルー、乳児売買、センデロ・ルミノソ、先住民の貧困、同性愛

1988年頃のペルーを舞台にした映画です。 どんな時代だったのかざっとウィキペディアから拾いますと、1985年に誕生したアラン・ガルシア大統領の経済政策の失敗によりハイパーインフレになっており、その影響もあって反政府勢力のセンデロ・ルミノソが勢力を…

「イン・ザ・ハイツ」ネタバレレビュー・あらすじ:ラテン系ヒップホップのMV的ミュージカル映画

2008年にトニー賞の作品賞、楽曲賞、振付賞、編曲賞を受賞しているブロードウェイ・ミュージカルの映画化です。 たまにはミュージカルでもと軽い気持ちで見に行きますと疲れるかもしれません(笑)。 イン・ザ・ハイツ / 監督:ジョン・M・チュウ 楽しめる…

「返校 言葉が消えた日」ネタバレレビュー・あらすじ:白色テロ下の純愛が悲劇を生む

ゲームが原作の映画ということで見るのを迷ったのですが、見てみればあまり違和感はなく、前半はともかく、後半は映画らしくまとまっていました。ゲームと言えば敵と戦ってパワーアップしていくイメージしか持っていなかったのですが、こうした物語でもゲー…