そんなには褒めないよ。映画評

映画を見てから読むブログ

「マイ・ブックショップ」(ネタバレ)イギリスの田舎の風景は美しく、エミリー・モーティマーもいい

ひとりの女性がイギリスの田舎町に本屋をひらく、ただそれだけ話なんですがかなりよかったです。ゆったりしたリズムと間合い、そしてなんといっても、その女性フローレンスをやっているエミリー・モーティマーさんがいいです。 マイ・ブックショップ / 監督…

「愛と銃弾」(ネタバレ)イタリアン・ハードボイルド・フィルム・ノワール・ミュージカル映画

これは、配給の宣伝担当を褒めたいですね(笑)。 「愛と銃弾」なんてタイトル、むちゃくちゃそそります。まあ、原題も近い意味なんでしょうが、下に引用した画像といい、「死んでも、愛して。」とか、このなんともいえないクサさの同居した切ないかっこよさ…

「未来を乗り換えた男」(ネタバレ)シュール、シュールと唱えて見ないと理解できないよ

この映画を自分の価値観の中に引き込んで見ようとすると、おそらく前半でお手上げになるでしょう。危ないところでした。心も頭も解き放ってじっとスクリーンを見つめていれば、やがて静かなる感動と、そして見終えて後の、疑問の嵐に見舞われることでしょう…

「メアリーの総て」(ネタバレ)フランケンシュタインは18歳の女性によって生み落とされた!

ハイファ・アル=マンスール監督といえば、サウジアラビア出身の監督で、前作の「少女は自転車にのって」がとてもいい印象の映画でした。もう5年前になります。公開当時、サウジアラビアには映画館がないという話があり、びっくりしたのですが、その後どう…

「寝ても覚めても」(ネタバレ)柴崎友香と濱口竜介によって作られた新しい女性像、朝子。

今年のカンヌでは「万引き家族」がパルムドールを受賞しましたが、この「寝ても覚めても」もコンペティション部門に出品されています。 こうした映画祭への出品がどのように選定されるのかはわかりませんが、「ある視点」に出していれば何か受賞したかもしれ…

「最初で最後のキス」(ネタバレ)青春残酷物語、ビタースイートじゃないよ。

「イタリアでスマッシュヒット! 16歳の恋と友情をビタースイートに描いた青春映画」なんてコピー、間違っちゃいないですし、確かにそうなんですが、見終わってみれば、ビターどころか、かなり後味の悪い、残酷で救いのない、といっても非難ではなく、ため息…

「君が君で君だ」(ネタバレ)仮想空間で繰り広げられる狂気の恋愛ゲーム

愛は狂気だ、って映画です。 ただ、時代の空気からなのか、この手の話をストレートにやるのは憚れるのでしょう、その狂気はギャグで包まれ、オチにしても、迷いなのか、ごまかしなのか、いくつものパターンで終えています。 とは言え、少なくとも、映画や演…

「四月の永い夢」(ネタバレ)朝倉あきさんの映画ですね…。浴衣姿にドキッとします。

いい映画ですね。 特に何かが起きるわけでもなく、ひとりの女性の心の揺れのようなものがゆったりと流れていきます。 ただ何も起きないと言っても、いわゆる事件などのドラマチックな出来事が起きないだけで、その女性、滝本初海(朝倉あき)の心の中ではい…

「男と女、モントーク岬で」(ネタバレ)男の感傷物語にみえて、実は女性(たち)の物語かも…。

男性監督作品であれ女性監督作品であれ、およそ恋愛映画の大半は男の妄想物語ときまっています(異論は認めません(笑))が、それでも中には、その妄想にしとやかな品位をもって女の存在感を示す映画もあるわけで、この「男と女、モントーク岬で」はその一…

「パティ・ケイク$」(ネタバレ)青春音楽物語。この映画、貧困、差別、女性の自立が主たるテーマじゃないよ

ラップって、こういう言い方をするとラップ好きには怒られるかも知れませんが、ダサさと紙一重のカッコよさみたいなところがありますよね。 この映画でも、MCバトルという交互にラップを(でいいのかな?)競い合うシーンがありますが、必然的に相手をディス…

「ナチュラル・ウーマン」(ネタバレ)ロッカーの中にあったもの、それはマリーナがマリーナであるためのもの

むちゃくちゃ力強い映画です。 最近やたら耳にする、特にオリンピックシーズンでしたので毎日のようにテレビから流れてくる「勇気をもらう」という言葉を(嫌いだけど)あえて使えば、これほど「勇気をもらえる」映画、そして人物はいないでしょう。 映画の…

「花咲くころ」(ほぼネタバレ)1992年トビリシ、14歳エカとナティアの二人は確かにその時そこで生きていたという映画。

この映画、2013年の製作で、その年の東京フィルメックスで最優秀作品賞を受賞している映画です。 とてもいい映画で私はお勧めしますが、こうしたやや地味とも言える映画の公開は難しいのでしょう。まさかジョージア出身の栃ノ心が優勝したタイミングを見計ら…

「ソニータ」(ネタバレ)ドキュメンタリーとしての問題提起も含めオススメです

2016年のサンダンス映画祭のワールドシネマ ドキュメンタリー部門でグランプリを受賞しているドキュメンタリーです。 アフガニスタンからイランに逃れた女性(女の子)ソニータを追っています。映画は15,6歳から18歳くらいまでを撮っていますが、ソニータ自…

「汚れたダイヤモンド」(完全ネタバレ)ラスト10分のピエールの描き方が見事

この映画、ラストの数シーンが無茶苦茶いいです。 その良さというのは、主人公のピエール(ニールス・シュネデール)、下の引用の人物なんですが、彼の心の揺れが映画的に実にリアルなんです。 実際にありそうとか現実的という意味ではなく、彼は次どうする…

「あさがくるまえに」(ネタバレしても問題ない)のでよく知って見るべし。シンプルなのに情感豊か。

カテル・キレヴェレ監督、予告編映像ではこの映画が日本初公開と言っていますが、今回配給がついたという意味でしょう。前作の「スザンヌ」がフランス映画祭で上映され、その後単館系で企画上映されています。 「スザンヌ/カテル・キレヴェレ監督」フランス…

「ブランカとギター弾き」(ネタバレ)映画はシンプルなのに物語は深い

こういう映画を撮ることが出来る長谷井宏紀監督ってどんな人? と公式サイトを見てみましたら、 2009年、フィリピンのストリートチルドレンとの出会いから生まれた短編映画『GODOG』では、エミール・クストリッツァ監督が主催するセルビアKustendorf Interna…

「残像」アンジェイ・ワイダ監督の遺作、心に残る映画です

見終わって帰る足取りが重くなりました。 これ、映画としてはもちろん褒め言葉、内容的には、何というのでしょう、むちゃくちゃ重いシーンがあるとか、ドーンと心に響く(響きますが…)とかではなく、そうですね、過去の出来事だとか、他の国のことだとかと…

「午後8時の訪問者」(ネタバレ)ダルデンヌ兄弟、相変わらず隙がなく完璧!

ダルデンヌ兄弟監督の映画は、どの作品も全く隙がありません。 多くの場合、映画を見ていますと、え、そこで切るの?とか、もうちょっと見せてよとか、(カットが)長いなあとか、何かしら気になることはあるのですが、この監督の作品ではそうした気持ちを感…

「パリ、恋人たちの影」(ほぼネタバレ)恋に悩む男女におすすめ、大人になるために。

「恋人たちの失われた革命」以降ですのでごく最近のものしか見ていませんが、フィリップ・ガレル監督、一貫して男女の関係を撮っている印象です。 モノクロへの思いも強いのでしょうか、この「パリ、恋人たちの影」もそうですが、「恋人たちの失われた革命」…

「ブラインド・マッサージ」(完全ネタバレ)これに金熊を与えなかった審査員が信じられない!

「天安門、恋人たち」「スプリング・フィーバー」のロウ・イエ監督、2014年の作品です。なぜこんなに公開が遅くなるのか不思議ですね。 一般的にの話ですが、映画祭で評価の高い映画は逆に一般公開が難しいのかもしれません。この映画も2014年のベルリンで銀…

「たかが世界の終わり」グザヴィエ・ドラン、会話劇で新境地

グザヴィエ・ドラン監督、27歳にしてすでに6作目、どの作品も自国だけではなく世界に配給され高評価、どんだけ才能豊かなんだ!という若き天才映画監督です。 この映画は俳優もすごいです。ギャスパー・ウリエル、マリオン・コティヤール、レア・セドゥー、…

「ショコラ 君がいて、僕がいる」実在したフランスの道化コンビ「フティット&ショコラ」の友情、そして人種差別

「ショコラ」と聞きますと、私はジュリエット・ビノシュとジョニー・デップの映画を思い出してしまいます。映画のタイトル付けもなかなか難しいものです。とは言っても「君がいて、僕がいる」はいただけません(笑)。 こちらの「ショコラ」は、公式サイトに…

映画「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」エレン・ペイジのアップになるたびに涙が流れて…。もちろんジュリアン・ムーアもいいのですが。

いやあ~、最初から最後まで涙が止まりませんでした。1リットルくらい出たかもしれません(笑)。 ただ、単純に感動というわけではなく、とにかく細かいところでうまいんですよ。監督も、俳優も、もちろんジュリアン・ムーアもそうなんですが、ステイシーを…

映画「みかんの丘」この寓話的真実で争いがなくなることはないにしても、この寓話的真実を理解できなければとっくに世界は終わっている。

さすがに現代では帝国主義戦争は起きにくくなっていますが、民族紛争はいたるところで起きています。シリア内戦、南スーダン、毎日のように何人死亡などと記事になっています。 この映画は、そうした民族紛争(戦争)の、ある意味核心をとらえた素晴らしい映…

「アスファルト」人生あれやこれやいろいろあってもまだまだ捨てたものじゃないと気持ちが和らぎます

いやあー、今年のベストでしょう!! おしゃれですし、シュールですし、切ないですし、ナンセンスですし、笑えますし、ほっこりしますし、映画として冴えていますし、完璧でしょう! ですが、観客は私を含め3人でした(涙)。 団地の故障中のエレベーター。…

「ラサへの歩き方 祈りの2400km/チャン・ヤン監督」ただひたすら無心で五体投地、地にひれ伏し他者のために祈る人々が美しいです。

五体投地 五体、すなわち全身を地に投げ伏して礼拝する、仏教における最も丁寧な礼拝方法だそうです。 日本仏教では馴染みがない礼拝方法ですが、僧侶が膝をつき、額を床につけて両手を頭の上まで上げる姿を目にすることがありますが、あれも五体投地の変形…

「生きうつしのプリマ/マルガレーテ・フォン・トロッタ監督」皮肉まじりの人間愛に満ちた大人の映画です。女の秘密の先には男の意外な結末が待っています(笑)。

「ハンナ・アーレントの監督&主演の最新作」これがこの映画のキャッチになっているようです。 それだけ「ハンナ・アーレント」が良かったということなのでしょう。確かに、その後、本やネットで「ハンナ・アーレント」の名を目にすることが多くなった印象で…

「AMY エイミー/アシフ・カパディア監督」の構成力のすごさが光ります。エイミー・ワインハウスさんの CD を買いたくなること間違いなし。

このところ続けざまにドキュメンタリーを見ています。もちろん、結果としてですが、「FAKE」「ラスト・タンゴ」「シリア・モナムール」、そしてこの「AMY」と、2週間で4本目です。 この映画はいいですね。 ドキュメンタリーと言えども、ドラマと同じように…

「山河ノスタルジア/ジャ・ジャンクー監督」言葉のないところに叙情的風情が生まれる。2025年、現実の世界は「世界」になる。

ジャ・ジャンクー監督が帰ってきた! そんな感じのする映画です。 前作「罪の手ざわり」のレビューを読み返してみますと、ジャ・ジャンクー監督の何かが変わっていく過渡期ではないかなどと書いていますが、結局「青の稲妻」や「世界」に戻ったのでしょう。 …

「放浪の画家ピロスマニ/ギオルギ・シェンゲラヤ監督」毎食ワインとパンとサラダのような、考えてみれば結構シュールな、美しき構図の映画でした。

最近は、リバイバル上映やデジタルリマスター版の上映が結構多くなっていますね。あまり客の入らない映画の買い付けが難しくなっているのか、観客の二分化が進んでいるのか、何が起きているんでしょう? この「放浪の画家ピロスマニ」も、ギオルギ・シェンゲ…