愛のゆくえ

漫画のコマ割りのようなつくりの映画…

なんとなくビジュアルにひかれてポチッとした映画です。

愛のゆくえ / 監督:宮嶋風花

沖縄映画祭クリエイターズ・ファクトリー

沖縄映画祭関連の映画のようです。下は公式サイトからの引用です。

「島ぜんぶでおーきな祭 沖縄国際映画祭」で実施されている次世代を担う25歳以下の若手映像作家の発掘と支援を目的とした「クリエイターズ・ファクトリー」で初監督作『親知らず』が、2018年度のグランプリを受賞した宮嶋風花監督。商業デビューをかけたワークショップを勝ち抜き制作されたのが、初の長編映画『愛のゆくえ』だ。

愛のゆくえ

「クリエイターズ・ファクトリー」でググりますとウェブデザイナーの専門学校のようなサイトがヒットします。それじゃないですね。

これです。確かに宮嶋風花監督の「親知らず」が2018年のグランプリを受賞しています。ただ、2021年以降の記事がヒットしませんのでクリエイターズ・ファクトリーという企画はなくなったのかもしれません。

先日、吉本興業が沖縄映画祭から撤退するというニュースが流れていましたので同じ流れの中のことなんでしょう。ただ、映画祭は今年も4月20日と21日に開催されるようです。

漫画のコマ割りのよう…

宮嶋風花監督、1996年生まれとありますので現在27、8歳です。多少、年齢からの思い込みもあるかもしれませんが、漫画のコマ割りのようなつくりの映画です。

細かいカット割りまでは記憶していませんが、ワンカットでわかるでしょみたいなカット割りに感じますし、シーンの飛び方が映画的じゃなく説明的です。それに台詞も吹き出しのように少ないですし、説明的な台詞は一切ありません。説明しないことはいいことなんですが、画で語るという意味合いではなく、このワンカットでわかるでしょという言っているように感じます。

物語にしても現実感のないものを迷いなく出してきます。多分、現実感のないことでも違和感がないのでしょう。そのことを批判しているわけではなく、世界が違って見えているんだなあと思うということです。

物語は亡くなった母への思い、そのただ一点でつくられています。問題はその思いが強く感じられるものとして映画にでているかですが、率直なところあまり感じられません。

14歳の愛(長澤樹)は母の由美(田中麗奈)と幼馴染の宗介(窪塚愛流)と暮らしています。壮亮の父親が交通事故で亡くなり、その後母親がホームレスになったために由美が引き取ったということです。愛の父親は、後に由美が亡くなったときに突然登場します。離婚なのか別居なのか東京で暮らしており、愛を引き取っていきます。由美が亡くなるわけは、もともと癌を患っており(ように思うけどよくわからない…)、宗介が家出をした際に探しに出かけて雪の中で倒れたまま亡くなったということです。

という、これを映画的に描けばそれこそ1本の映画になってしまうようなことを30分くらいの漫画的コマ割り展開で見せています。

父親に引き取られて東京に出た愛は、結局居場所がなく、ひとりさまよい歩き、明るいホームレスたちに助けられ、そして、ここからはいきなりファンタジーシーンとなり、東京の品川あたり(わからない…)から小舟で北海道まで戻ってきます。

北海道に戻った愛は宗介と再会し、二人の両親が並んで立っている姿を妄想して終わります。

映画の行く末…

いろんな映画があっていいわけですので否定はしませんが、いわゆる映画のつくりということからすれば未熟なものですし、表現したいと思っていると思われることも出来ていません。

ただ、こうした映画が多くの人を巻き込んでつくられ、一定程度の評価を得て世に送られ、そしてあるいは多くの人に認められていくとするならば、それはそれ、映画が変わっていくということであり、受け入れざるを得ないことだと思います。

私個人は、もっともっと多くのものを学び、完成された映画づくりを目指す方が増えることを望みます。