「悪なき殺人」ネタバレレビュー・あらすじ:閉じた円環、つくりもの過ぎて多くは伝わってこない

2019年の東京国際映画祭で最優秀女優賞と観客賞を受賞しています。 最優秀女優賞って誰が? と思いましたら、マリオン役のナディア・テレスキウィッツさんでした。主だった女性の俳優は3人ですが、特別目立っていたわけではありませんのでいろいろなにかある…

「花束みたいな恋をした」ネタバレレビュー・あらすじ:あるある型映画、傷つく恋愛映画は好まれない

公開時(まだ今年のはじめだったんですね)、菅田将暉さんの映画ということでどんな映画だろうと映画.comを見たときに、かなり評価が高い上にちらっと見たレビューから「リアル」という言葉が飛び込んできたがために記憶に残っており、DVDで見てみました。 …

「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」ネタバレレビュー・あらすじ:サルバトール・ムンディがルーブル・アブダビに展示される日は来るか?

1763年以降行方不明(ウィキペディア)となっていたレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の傑作「サルバトール・ムンディ」という絵画が、真偽不明のまま、1175ドル(約13万円)から4億5000万ドル(約510億円)に化けてしまったという話です。 その過程に関わった…

「モスル~ある SWAT 部隊の戦い~」ネタバレレビュー・あらすじ:カーワ、覚醒す。乾いた戦争映画のリアル

戦争映画のジャンルに入るんだろうとは思いますが、ちょっと違った感じの映画です。こうした戦争映画で面白いというのもなんですが、とにかくちょっと変わっていて面白い映画です。 モスル~ある SWAT 部隊の戦い~ / 監督:マシュー・マイケル・カーナハン …

「ホテルローヤル」ネタバレレビュー・あらすじ:ラブホテル舞台の昭和的ホームドラマみたいな映画

2020年11月、ちょうど一年くらい前に公開された映画です。原作は2013年上半期直木賞受賞作、桜木紫乃さんの短編小説集『ホテルローヤル』です。 ホテルローヤル / 監督:武正晴 原作の評価は高いようだ 映画はベタベタ ネタバレあらすじ 廃墟の「ホテルロー…

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」ネタバレレビュー・あらすじ:犬は男?うさぎは女?隠されたセクシュアリティ

「ピアノ・レッスン」のジェーン・カンピオン監督です。今年2021年のヴェネチアで最優秀監督賞(銀熊賞)を受賞しています。 そう言えば随分名前を耳にしていないなあとウィキペディアを見てみましたら、12年ぶりの監督作品とのことです。私は「ピアノ・レッ…

「カオス・ウォーキング」ネタバレレビュー・あらすじ:男たちよ、うるさいぞ!

SFはあまり見ないのですが、以前見た同じくダグ・リーマン監督の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」には妙によかったとの印象が残っており、その名が目に入りましたので、ちょっと不安ながらも(笑)見てみましら… いや、面白かったですよ。 カオス・ウォ…

「MONOS 猿と呼ばれし者たち」ネタバレレビュー・あらすじ:幻想的に見えて現実的、編集は乱雑だが各シーンはおもしろい

少年少女たちが孤立した環境に置かれるという設定の物語は、多くの場合、そこに理性と本能の対立という人間社会における根源的な矛盾をあぶり出そうとする試みだと思います。しかし、この「MONOS 猿と呼ばれし者たち」はちょっと違うようです。 ゲリラ組織の…

「皮膚を売った男」ネタバレレビュー・あらすじ:人種差別、人身売買。エンターテインメントか、社会批判か

よく練られたシナリオに作り込まれた映像、面白い映画です。 ただ、批評性をもったテーマですので、エンターテインメント性が強い分、つくり手自らにその批評性がはね返ってくるのではないかと思います。 監督はチェニジア出身のカウテール・ベン・ハニアさ…

「スウィート・シング」ネタバレレビュー・あらすじ:既視感はあるが気持ちが豊かになる映画、悲惨さを越えて。

「イン・ザ・スープ」のアレクサンダー・ロックウェル監督の25年ぶりの日本公開作品ということです。タイトルにはなにか引っかかるところがありますが多分見ていないです。それに、25年ぶりということは1996年になりますが、この映画の製作年は1992年になっ…

「ボクたちはみんな大人になれなかった」ネタバレレビュー・あらすじ:なれなかったのではなく、なりたくなかったボクたちの25年

ああ、これが2020年の日本なんだなあとつくづく感慨にふけざるを得ないような映画です。 ボクたちはみんな大人になれなかった / 監督:森義仁 残るのは虚しさだけ 佐藤、加藤に会う 佐藤、テレビ局の下請け仕事に就く 佐藤と加藤、ラブホテルへいく 普通が…

「ほんとうのピノッキオ」ネタバレレビュー・あらすじ:ダークファンタジーというよりもジェントリーファンタジー

マッテオ・ガローネ監督は、自然主義的な社会派ドラマとファンタジーものを交互に撮るつもりなんでしょうか。 「ゴモラ」「五日物語 3つの王国と3人の女」「ドッグマン」、そしてこの「ほんとうのピノッキオ」です。 ほんとうのピノッキオ / 監督:マッテ…

「ジョゼと虎と魚たち」(韓国版)ネタバレレビュー・あらすじ:ジョゼは自ら身を引いたのか、同情を突き放したのか

田辺聖子さんの原作も読んでいませんし、妻夫木聡さんと池脇千鶴さん主演の2003年の映画も見ておらず、昨年末に公開されたアニメ版はその存在すらも知らなかったという「ジョゼと虎と魚たち」初心者ですが、ざっとネット上の予告編やあらすじなどを読んでみ…

「モーリタニアン 黒塗りの記録」ネタバレレビュー・あらすじ:権力は真実を黒塗りにする。どの国でも、いつの時代でも。

2021年の今、アメリカが正義の国などと信じている人はいないと思いますが、少なくともこういう映画がつくられる国ではあります。 2011年のアメリカ同時多発テロをうけ、ブッシュ政権が、容疑者の名のもとに法にもとづかない方法によって多数のイスラムを長期…

「ビルド・ア・ガール」ネタバレレビュー・あらすじ:女たちよ、失敗を恐れるな。やり直せばいいのだ。

「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」で主演のビーニー・フェルドスタインさんありきの映画です。全シーン出ずっぱりです。 内容は、キャトリン・モランというイギリスのジャーナリスト、作家、テレビ司会者など多方面で活躍している方の自伝的…

「かそけきサンカヨウ」ネタバレレビュー・あらすじ:人間関係にツッコミが足りず、かなり古くさい

今泉力哉監督の映画は「知らない、ふたり」以降それなりに見ていますが、そろそろもういいかなと、これは単に個人的趣味の話ではあるのですが、そう思っていたところ志田彩良さんの名前が目に入り、ん?だれっけ?とググりましたら、「ひかりのたび」でした…

「草の響き」ネタバレレビュー・あらすじ:原作ではなく佐藤泰志本人を描こうとしているようだ

佐藤泰志さんの小説からの映画化は、「海炭市叙景」「そこのみにて光り輝く」「オーバー・フェンス」「きみの鳥はうたえる」に続いて5作目です。 最初の「海炭市叙景」が映画化されたのは2011年、もう10年前です。映画化を機にその原作を読み、すっかりはま…

「DUNE/デューン 砂の惑星」ネタバレレビュー・あらすじ:デューンは呪われている

「デューン」は呪われていますね。 1970年代に企画されたホドロフスキー案は10時間の大作となりプロデューサーがびびって頓挫、そのあたりの経緯は「ホドロフスキーのDUNE」に詳しいのですが、その後、1984年にデイヴィッド・リンチ監督が映画化するも、本人…

「ONODA 一万夜を越えて」ネタバレレビュー・あらすじ:友情と不条理のONODA、フランス向けの映画

小野田寛郎さんがフィリピンのルバング島から日本に帰還したのは戦後29年の1974年、もう47、8年前のことです。半世紀前にもなりますのでリアルタイムでそのことを記憶しているとなりますと少なくとも60歳は越えている方々かと思います。 確かに、客層のほと…

「最後の決闘裁判」ネタバレレビュー・あらすじ:14世紀フランスのレイプ事件、すべては男のため

1386年のフランスで実際にあった騎士の決闘にまつわる映画です。 また地味な話だなあと思いながらも、マット・デイモン、アダム・ドライバー、ジョディ・カマー(よく知らない)、ベン・アフレック、それに監督がリドリー・スコットということならば見てみな…

「アイダよ、何処へ?」ネタバレレビュー・あらすじ:アイダの苦しみを共有できるのなら世界は…

日本での公開は3作目になるヤスミラ・ジュバニッチ監督、2006年の「サラエボの花」はベルリン映画祭で金熊賞を受賞しています。1990年代始めのボスニア・ヘルツェゴビナ紛争下で起きた悲劇的な過去を乗り越えようとする母娘を描いていました。 この映画「ア…

「スターダスト」ネタバレレビュー・あらすじ:ジギー・スターダスト誕生に迫れているか…?

音楽映画は鉄板というのはほぼ間違いなく、迷いなく見に行けます。 と思い、見に行ったのですが、音楽映画ではありませんでした。もう3年前になりますが、フレディ・マーキュリーの伝記もの「ボヘミアン・ラプソディ」のような映画を期待していきますとやや…

「コレクティブ 国家の嘘」ネタバレレビュー・あらすじ:ドキュメンタリーは真実報道ではなく非俳優によるドラマです

前作の「トトとふたりの姉」は、これ、ほんとにドキュメンタリー?! というようなすごい映画でしたけれども、この「コレクティブ」も、ちょっと違う意味ですごい映画でした。 東欧ルーマニアの映画なんですが、あれこれちょっと入れ替えれば今の日本にも当…

「護られなかった者たちへ」ネタバレレビュー・あらすじ:残念、佐藤健、阿部寛の共演生かされず

このところ続けざまに日本映画の社会派ドラマ(と言われる映画)を見ていますので、それが自ら望んだものであるとはいえ、やや食傷気味のところへ、さらにこの「護られなかった者たちへ」です(笑)。 ただ、佐藤健さんと阿部寛さんの共演ということで俳優力…

「ディナー・イン・アメリカ」ネタバレレビュー・あらすじ:パンクカップルはラブコメで世界を変える

面白い映画でした。アメリカはこういう映画はうまいですね。 社会規範への抵抗とラブストーリーを結びつけ、それでいて暗くならずにポップ(この映画ではパンク)でカラッとしています。犯罪性は抑えられてラブコメ要素がかなり強いのですが、「俺たちに明日…

「クーリエ:最高機密の運び屋」ネタバレレビュー・あらすじ:キューバ危機は「信頼」で回避された?というスパイ映画

ドミニク・クック監督の二作目です。一作目の映画「追想」は、原題が「チェジルビーチで」となっているように、チェジルビーチでの男女の別れのシーンのカメラワークの美しさが印象に残っている映画です。ただ、自分のレビューを読み返してみますと、映画自…

「空白」映画・ネタバレレビュー・あらすじ:父娘のつながりに救いを求めてはダメでしょう

𠮷田恵輔監督の「よし」は「𠮷」なのか、「吉」なのか、どっちなんでしょう? 公式サイトでも混在しています。これ、どっちでもいいわけじゃなく、検索に引っかからなくなるんですよね。 「𠮷」と「吉」 | 三省堂 ことばのコラム 空白 / 監督:𠮷田恵輔 今…

「君は永遠にそいつらより若い」ネタバレレビュー・あらすじ:吉野竜平監督の構成力と佐久間由衣、奈緒の俳優力が光る

原作の津村記久子著『君は永遠にそいつらより若い』を読んでいなければ見なかったかも知れない映画、見てよかったです。 俳優よし、構成よしの映画らしい映画でした。 君は永遠にそいつらより若い / 監督:吉野竜平 吉野竜平監督の構成力が素晴らしい 人物…

「由宇子の天秤」ネタバレレビュー・あらすじ:語るべきは、また描くべきは、人であって物語ではない

「火口のふたり」を見て、気になる俳優さんだなあと感じた瀧内公美さん、その主演の映画です。 監督は春本雄二郎さん、監督・脚本・編集・プロデューサーということですので、自分の撮りたいものを撮ったということだと思います。2018年に独立映画製作団体「…

「スザンヌ、16歳」ネタバレレビュー・あらすじ:女16歳、男35歳の恋愛を16歳の側から描く

スザンヌ・ランドン監督、現在21歳、撮影時は19歳くらい、この映画のシナリオ(のベース、多分)を書いたのは15歳、そして自ら、監督、脚本、主演という映画です。 両親は、ともに俳優のサンドリーヌ・キベルランさんとヴァンサン・ランドンさんです。 スザ…