そんなには褒めないよ。映画評

映画を見てから読むブログ

「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」(ネタバレ)ネタ的にも、テーマ的にも、作りの上でもハリウッドスタイルのタイ映画

タイの映画、随分見ていませんねえ、「すれ違いのダイアリーズ」以来のような気がします。 「バッド・ジーニアス」、タイトル通り、学力優秀な学生がカンニングをする話らしく、面白そうではあります。 公式サイト / 監督:ナタウット・プーンピリヤ 物語の…

「億男」(ネタバレ)世の中にはお金で満たされる人間とお金だけでは満たされない人間の二種類がいるという話

えらくクラシカルで情緒的な話やねというのが、見終えての最初の感想。 つまり、金の切れ目が縁の切れ目じゃないですが、お金で友情や愛情など人の情は変わるかみたいな、古くて古い(笑)お話です。 公式サイト / 大友啓史 冒頭いきなり中央に(ポールダン…

「バーバラと心の巨人」(ネタバレ)やはり大人の鑑賞にはちょっと無理

迷いに迷って見に行った映画です(笑)。何に迷ったかと言いますと、映画の内容はざっと紹介文を読めばおおよそ想像できてしまいますし、やや子供向けかなと思ったのですが、監督のアンダース・ウォルターさんが2014年のアカデミー賞で短編実写映画賞を受賞…

「LBJ ケネディの意志を継いだ男」(ネタバレ)ジョンソンその人より「公民権法」がテーマでしょう

「スタンド・バイ・ミー」 のロブ・ライナー監督です。 と、いつまでも枕詞のように「スタンド・バイ・ミー」がついてしまいますが、1986年の映画ですから、もう32年前になります。 公式サイト / 監督:ロブ・ライナー 今あらためてその後の監督作品を見て…

「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」(ネタバレ)面白いです(笑)。

面白かったです。 ただ、「もっと音楽きかせろタコ!」とは思いましたが(笑)。 公式サイト / 監督:三木聡 正直、苦手なジャンルなんだけどなあと、やや引きつつ見に行ったのですが、冒頭の10分くらいで心配も吹っ飛びました。ただ逆に、大丈夫か!? こ…

「黙ってピアノを弾いてくれ」見ないとわからない、見てもわからない、聴くしかない。

タイトルの「黙ってピアノを弾いてくれ」や、さわりの紹介コピー「挑発的な言動、強烈すぎるキャラクター、そして唯一無二の音楽性で知られるピアニスト・作曲家、チリー・ゴンザレス」だけでも無茶苦茶そそられます。 公式サイト / 監督:フィリップ・ジェ…

「ホスティル HOSTILE」(ネタバレ)終末系ビジュアルの中で描かれる純愛もの、ただ既視感は強し

タイトルをちらっと見て「ホステル」? と、見てはいないのにタイトルだけ記憶しているホラー映画が浮かんだのですが、そうではなく「ホスティル」でした。「敵意のある」といった意味のようです。 伝染病(と公式サイトにはある)によりほとんどの人類が死…

「日日是好日」お茶を始めてみたくなる映画。ネタバレしていますが、それを知って楽しめない映画ではありません。

お茶を始める人が増えるかもしれませんね。 「お茶」そのものだけではなく、そのまわりに広がる時間と空間、そしてそれらを味わい楽しむこと、映画では茶事と言っていましたが、そうした一連のことが魅力的に感じられる映画です。 公式サイト / 監督:大森…

「運命は踊る」(ネタバレ)三幕の不条理劇を見るような映画。戦争は父権的なるものの究極。

「レバノン」が2009年のヴェネチアで金獅子賞を受賞したサミュエル・マオス監督の最新作、 この作品も昨年のヴェネチアで銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞しています。 8年ぶりの新作ということらしく、IMDb を見てみても、2013年にドキュメンタリーとシ…

「きみの鳥はうたえる」(ネタバレ)映画としてはまとまっているが、佐藤泰志っぽさが消えてしまった

え? こんなラストだった? と、原作を読み直してみましたら、やっぱり全く違っていました。 佐藤泰志さんの『きみの鳥はうたえる』の映画化です。「海炭市叙景」「そこのみにて光り輝く」「オーバー・フェンス」に続いて4本目ですが、佐藤泰志さんの小説は…

「かごの中の瞳」(ネタバレ)見えていなかったのはジーナ? それともジェームズ?

マーク・フォースター監督、見たのは「チョコレート」だけかと思っていましたが、あらためてウィキペディアを見ていましたら「マシンガン・プリーチャー」? あら? 見たような記憶が…とブログ内を検索してみましたら、ありました(笑)。ただ、読み返してみ…

「若い女」(曖昧なネタバレ)家なし、金なし、何も持たないポーラに未来はあるか?

昨年のカンヌでカメラドールを受賞しています。元々は新人監督賞といっていたようで、日本では河瀬直美監督が「萌の朱雀」で20年前に27歳で受賞しています。 こちらのレオノール・セライユ監督は、1986年生まれとありますので31歳くらいでの受賞です。映画の…

「純平、考え直せ」(ちょっとネタバレ)視点を SNS 側に持っていけばよかったのではないかと思うけど…

タイトルにそそられて見た映画です。原作が奥田英朗さんの小説とのことですが、名前を知っている程度で読んだことはありません。 「ふたりの青春、あと3日ー」 こういうヒリヒリしそうな青春ものが好きなもんですから、いくらヤクザの鉄砲玉が題材とはいえ…

「つかのまの愛人」(ネタバレ)監督は娘のエステール・ガレルが撮りたかったんじゃなかろうか…。

こんな感情をあらわにする人間、特に女性を撮る監督でしたっけ? というのが、見始めてすぐ思ったこと。時々説明的に入る感傷的なピアノ曲やナレーションにもちょっと違和感…。 でもまあ見終えてみれば、そこに、その感情の発露である「熱さ」があるわけでも…

「妻の愛、娘の時」(ネタバレ)意地を張れば角が立つ、箪笥をあければ愛がある(?)

シルヴィア・チャンと聞いて思い浮かぶのは「山河ノスタルジア」のオーストラリアシーンの中国語教師くらいで、出演映画の一覧をみれば、ああ見たかもしれないと思うものもありますが、私にはあまり印象強くない俳優さんです。 この「妻の愛、娘の時」は監督…

「愛しのアイリーン」(ネタバレ)男性しか癒せない映画

𠮷田恵輔監督の映画は、「ヒメアノ~ル」「犬猿」に続いて3本目です。「犬猿」が(ラストをのぞいて)面白かったので早速見に行ったのですが、こちらは、何だかいやーな感じのする映画でした。ある意味、そう感じさせることが狙いでもあるとは思うのですが…

「500ページの夢の束」(ネタバレ)「スター・トレック」ファンであってもなくても楽しめるけど、現実を考えると重い

「自閉症を抱える少女ウェンディが500ページの脚本を届けるためハリウッドを目指す」(映画.com)と紹介されている映画ですので、正しく理解しているとは言えない「自閉症」自体を調べたほうがいいだろうとウィキペディアなど読んでみましたが難しいですね。…

「悲しみに、こんにちは」ネタバレしていますが、言葉で言い換えることの出来ないネタバレに意味のない映画です

昨年のベルリンのジェネレーションKplus でグランプリを受賞した映画です。ジェネレーションKplus と言いますと、児童・青少年向け映画部門 (Kinderfilmfest)ということなんですが、この映画、(多分)子どもが見て感情移入できるような映画ではないですね…

「寝ても覚めても」(ネタバレ)柴崎友香と濱口竜介によって作られた新しい女性像、朝子。

今年のカンヌでは「万引き家族」がパルムドールを受賞しましたが、この「寝ても覚めても」もコンペティション部門に出品されています。 こうした映画祭への出品がどのように選定されるのかはわかりませんが、「ある視点」に出していれば何か受賞したかもしれ…

「判決、ふたつの希望」(ネタバレ)うまくつくられたエンターテインメントであるがゆえに心に残りにくい

些細なことから大喧嘩になる、ちょっとした行き違いが取り返しのつかないことになる、日常生活でもよく起きることですが、そこに民族、宗教、主義主張が絡もうものならば、それこそ戦争までやってしまいそうになるというお話。ただ、それも男たちだから、の…

「英国総督 最後の家」イギリス目線のインド・パキスタン独立(秘話までいかない)歴史ドラマ

何となく気にはなっていたのですが、そのイメージ画像の印象がいかにも定形パターンのヒューマンドラマっぽくてパスしていた映画。映画.com の評価欄を何気なく見ていましたら、意外にもちゃんとした歴史ドラマの予感、見てみました。 公式サイト / 監督:…

「検察側の罪人」(ネタバレ)この監督、俳優を信頼していないですね。

洋画にしても邦画にしても、あまりメジャーなものは見ないのですが、何となく足を運んでみました。…ら、すごいですね、超満員でした。それも月曜の昼間なのに、学生さんというわけでもなく、高齢者というわけでもなく、月曜休みの方というのも意外と多いのか…

「最初で最後のキス」(ネタバレ)青春残酷物語、ビタースイートじゃないよ。

「イタリアでスマッシュヒット! 16歳の恋と友情をビタースイートに描いた青春映画」なんてコピー、間違っちゃいないですし、確かにそうなんですが、見終わってみれば、ビターどころか、かなり後味の悪い、残酷で救いのない、といっても非難ではなく、ため息…

「オーケストラ・クラス」(ネタバレ)ありがちな物語なのに、音楽を大切にし、シンプルでいい映画

音楽が人、特に子どもを育てるといったテーマの映画は、過去にもいろいろあったと思いますが、この映画もそのひとつで、プロのバイオリニストが子どもたちにバイオリンを教えるというものです。ただ、この映画の場合、むしろ育つ(変わる)のは教える側のバ…

「タリーと私の秘密の時間」(ネタバレ)はたして18キロ増量は必要だったか?

シャーリーズ・セロンが役作りのために18キロ(諸説あり)増量したという映画です。同じように13キロ増量して撮った2003年の「モンスター」は、なぜか劇場公開時には見逃してしまっていますので二の舞は踏めずと早速見に行きました。 公式サイト / 監督:ジ…

「追想」(ネタバレ)男は追想し、女は回想する、という男の妄想

なかなか掴みづらい映画で、「追想」などという邦題やオチのようにくっついている2007年のシーンを主題として見るならば、老年の男が若かりし頃の失敗をまさしく追想する映画ということなんですが、ただ、映画の8割方を占める1962年のシーンから見えてくる…

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」(ネタバレ)世界はすべてを許すわけではないけれど、いつか人が人を自由に愛せる時代はやってくる

予告編を見る度に、妙に古臭いビジュアルやねぇとか、腹の出たおっさんがテニスプレーヤー? などと、やや茶化したくなるような気分を感じていたのですが、ほぼ実話だったようで、ごめんなさいでした。 それに面白かったです。 公式サイト / 監督:ジョナサ…

「菊とギロチン」シナリオと編集に難あり…

瀬々敬久監督の自主企画とか構想30年などという言葉がありましたので、どういうことなんだろうとググっていましたら、クラウドファンディングで資金を募っていた記事がありました。 やるなら今しかない! 7月7日公開 瀬々敬久監督入魂の『菊とギロチン』上映…

「2重螺旋の恋人」(完全ネタバレ)子宮に残された2重螺旋は双子の夢を見る

フランソワ・オゾン監督は、ほんとに映画の志向性がわからない監督です(笑)。 前作「婚約者の友人」を見て、やっとフランソワ・オゾン監督がわかったぞと思ったのもつかの間、今作はかなりミステリー色が強い上に、性愛表現がかなりの比重を占めますし、ラ…

「カメラを止めるな」(ネタバレ)緻密な計算と隙きのない間合いの映画、ただし面白いのは1/3

小規模の公開が口コミで評判を生み、ついには全国◯館で公開! なんて宣伝文句はアメリカ映画ではよく目にしますが、日本でもついにそうしたことが可能な配給環境になったんでしょうか。 8月4日の映画.comの記事では「東京2館での公開から全国124の劇場での…