「シェイクスピアの庭」(ネタバレ)男系幻想とジェンダー、セクシュアリティ、宗教、家族再生幻想

「シェイクスピアの庭」なんていうタイトルから、シェイクスピア(以下、ウィリアム)が田舎へ戻り穏やかな余生を過ごす話かと思っていましたら、とんでもない、シェイクスピア一家の結構シビアな愛憎物語でした。 もちろんフィクションですが、ウィリアム本…

「霧の中の少女」(完全?ネタバレ感想)常人には理解不能のミステリー

イタリア、アルプスの山間の町で起きた少女失踪事件をめぐるミステリーです。 トニ・セルヴィッロさんとジャン・レノさんの共演が売りの映画かと思います。監督はこの映画の原作者でもあるミステリー作家のドナート・カリシさん、初監督作品とのことです。 …

「21世紀の資本」(映画)トマ・ピケティさんの著書を読むきっかけになるか…?

数年前に話題になったトマ・ピケティさんの『21世紀の資本』が映画になりました。 当時、手にとる前から諦めた記憶があります(笑)。どんな映画になっているのでしょう。 21世紀の資本 / 監督:ジャスティン・ペンバートン 映画館再開一本目としては選択を…

「青い車」(DVD・ネタバレ)16年前の宮﨑あおい、ARATAがむちゃ新鮮。

この自粛期間中にDVDでみた「黒四角」の奥原浩志監督の2004年の映画です。 16年前です。その時生まれた子供は16歳、20歳であれば36歳、それなりに時の流れを感じるには十分な年数です。実際、この時18歳の宮﨑あおいさんは現在34歳、29歳のARATAさんは現在45…

「斬、」(DVD・ネタバレ)池松壮亮の時代劇はいけるかも。蒼井優は現実的すぎるかな。

自主制作スタイルを貫いて、ということにこだわっているのかどうかはわかりませんが、およそ30年、そのスタイルで20本近くの映画を撮り続けているわけですから、ほんとにすごいことです。 海外での評価が高いということがモチベーションになっているのでしょ…

「空海-ku-kai- 美しき王妃の謎」スペクタクル以外に見どころはない、つまりDVDではつまらない

なんだ、空海の映画じゃないのね(涙)。 それに、染谷くん、ついに海外映画で主役か! と期待して見たんですが、どうなんでしょう、確かに出ずっぱりではありますが、映画の基本物語には絡んでいません。物語を進めていく狂言回し的な役どころで、俳優とし…

「影踏み」(ネタバレ感想・DVD)叙情的すぎる内容を山崎まさよしが救っている映画かも。

山崎まさよしさんは俳優もやるんですね。 自然体で特に演技しないところがよかったです。まあ、この映画で濃いー演技をされたらクサくなって見ていられなかったでしょう。 影踏み / 監督:篠原哲雄 その山崎まさよしさんも初めて、篠原哲雄監督も初めてとい…

「ドクター・スリープ」(ネタバレ感想・DVD)スティーブン・キング絶賛!人間臭いところにかな?

スティーブン・キングさんがどんなにキューブリック版「シャイニング」を気に入らなく批判しようとも、やはりキューブリック版は映画として傑作だったことを証明するような続編「ドクター・スリープ」です。 ドクター・スリープ / 監督:マイク・フラナガン…

「蜜蜂と遠雷」(DVD・ネタバレ感想)世界は音楽で溢れている

映画紹介を読んだ限りでは少女漫画によくあるスポ根系の音楽ものかなと思っていましたら、意外にも、そうした人物間のぶつかり合いや葛藤を描く映画ではありませんでした。 そりゃそうですよね、原作が恩田陸さんの直木賞受賞作なんですから。 じゃあ、「ピ…

「凪待ち」(DVD・ネタバレ感想)香取慎吾と脚本加藤正人と白石和彌監督がぴったりあった映画

これは劇場で見るべきでした。 映画自体がよくできているということもありますが、全体的に画が暗いので家のモニターでは伝わってくるものが半減します。それに、香取慎吾さん、いいですね。映画では始めて見ました。 凪待ち / 監督:白石和彌 ギャンブル依…

「人間失格 太宰治と3人の女たち」(DVD・ネタバレ感想)ビジュアルだけではドラマは生まれない

ついつい蜷川実花ワールド! と言いたくなってしまいますが、ちょっと変わってきている感じがします。 というより、俳優、特に宮沢りえさんと二階堂ふみさんによるものかも知れません。集中させられるシーンがいくつかあります。 人間失格 太宰治と3人の女た…

「アルキメデスの大戦」(DVD・ネタバレ感想)気持ち悪い自己陶酔映画やね。

戦艦大和に山本五十六などという戦争映画には欠かせない要素を入れながらちょっと変わった切り口の映画でした。それに戦争(戦闘)シーンは冒頭の5分くらいの大和が撃沈させられるシーンだけであとはわりと普通のドラマでした。 ただ、ラスト20分ほどは意図…

「デッドエンドの思い出」(DVD・ネタバレ感想)吉本ばなな色はうすいけれどもチェ・スヨンはちょっと気になる

デッドエンドの思い出 (文春文庫) 作者:よしもと ばなな 発売日: 2006/07/07 メディア: 文庫 原作は短編集の一作のようで、あとがきには、この「デッドエンドの思い出」が自分の作品の中でいちばん好きと書かれているらしいです。 久しぶりに吉本ばななさん…

「黒四角」(DVD・ネタバレ感想)俳優の間合いと表情で物語を語る

いい映画じゃないですか! DVDのレンタル開始が2019年12月となっていましたので、最近の映画なのに記憶にないなあと思いながら借りましたら、2012年製作で日本での公開は2014年の映画でした。 ひとことで言ってしまえば、時間と空間を超えたラブストーリーと…

「ちいさな独裁者」(DVD・ネタバレ感想)半世紀前の実話ものなのにツッコミ不足で立ち位置見えず

不思議な映画だなあと思ってみていたんですが、実話ベースだったんですね!? 一年前に公開された映画をDVD鑑賞です。予告編を見た印象では一兵卒が将校になりすましてのし上がっていき、最後にはそれがバレて云々という寓話的な物語かと思っていたのですが…

「町田くんの世界」(DVD・ネタバレ感想)キャスティングの妙と原作があったほうがいい石井裕也監督

とうとう映画館が休館になってしまいました。 Change.org で「#SaveTheCinema 「ミニシアターを救え!」プロジェクト」オンライン署名キャンペーンが始まっています。 キャンペーン · #SaveTheCinema 「ミニシアターを救え!」プロジェクト · Change.org し…

「人間の時間」(ネタバレ感想)食欲、性欲、そして世界は続くの輪廻観

キム・ギドク監督の「人間の時間」です。 結構多作の監督ですが、前回見たのは3年前の「The NET 網に囚われた男」です。それにこの映画もちょうど2年前の2018年2月にベルリンでプレミア上映された映画です。IMDbにもこの映画以降これといったものがリストア…

「ナイチンゲール」(ネタバレ感想)歴史ものに、悪いやつもいるし、いいやつもいるってのはダメ!

19世紀のタスマニアを舞台にした、アイルランド人の女性の復讐物語が軸になった映画で、そこにイギリス対アイルランド、そして先住民アボリジニの虐殺をからめた、しかしながら映画の出来としてはあまり良くはなく美しくもありません。 ただ、2018年のヴェネ…

「もみの家」(ネタバレ感想)物語も人物も富山の風景に溶け込んでいる

ていねいに作られた映画ですね。 富山出身、在住(かな?)の坂本欣弘監督が富山を舞台に一年かけて撮ったということです。実際に富山の四季の移り変わりとともに物語は進みますし、有名な砺波の散居村の夕陽風景も使われています。 もみの家 / 監督:坂本…

「コロンバス」(ネタバレ感想)主役はモダニズム建築? ジンとケイシー?

「モダニズム建築の街コロンバス」を背景に、二人の男女がそれぞれの人生におけるひとつの決断をくだすまでの姿が描かれていく映画です。 コロンバス / 監督:コゴナダ そもそも「モダニズム建築の街コロンバス」という街を知りませんでしたのでいろいろグ…

「オリ・マキの人生で最も幸せな日」(ネタバレ感想)幸せは静かにやってくる

2016年のカンヌある視点部門でグランプリを受賞したフィンランド映画です。その年は深田晃司監督の「淵に立つ」も出品され審査員賞を受賞しています。 オリ・マキの人生で最も幸せな日 / 監督:ユホ・クオスマネン モノクロです。16mmフィルムで撮られてい…

「ダンサー そして私たちは踊った」(ネタバレ感想)スウェーデン価値観で描くジョージアかな?

全編ジョージア国立舞踊団の物語なのにアカデミー賞外国語映画部門のスウェーデン代表になったという映画です。言葉もジョージア語です。 レヴァン・アキン監督がジョージア系のスウェーデン人だからなんですが、アキン監督の精神的母国ジョージアへの強い思…

「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」三島も全共闘もすでに歴史になってしまったという現実

三島の楽しそうな顔が印象的です。 緊張の裏返しの笑顔ということもあるのかとも思いますが、学生たちから投げつけられる批判をひとことひとこと丁寧に受け止めようとしている時の笑顔は本当に楽しそうです。 三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 / 監督:…

「光と血」(DVD)不幸物語オンパレードをDVDで見るのはつらい

「新聞記者」を見たときに、プロデューサーの河村光庸さんが映画化にあたってこの人ならと監督をオファーをしたのが藤井道人さんであり、その藤井さんは「政治も勉強したことがないし、自分で新聞も取ったことがなかった(HUFFPOST)」などと最初は断ったと…

「ソン・ランの響き」(ネタバレ感想)ノスタルジックな映像と余韻ある俳優の演技の調和

1980年代が舞台のベトナム映画です。 ベトナムの1980年代といいいますと、ベトナム戦争は1975年に終結しているのですが、その後もカンボジアでの覇権争いや中国との戦争があり、安定の兆しが見え始めるのは1990年以降ですので、政治的にも経済的にも大変な時…

「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」(ネタバレ感想)グザヴィエ・ドランの転換点となるか

グザヴィエ・ドラン監督にとって、母親との関係は永遠のテーマなんでしょう。 デビュー作の「マイ・マザー(英題:I Killed My Mother)」に始まり、「Mommy/マミー」というそのものスバリのタイトルもありますし、その他ほとんどの作品に母親の影がちらつ…

「ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏」(ネタバレ感想)見るべきはクリステン・スチュワートのみ(かな?)

おお、J.T.リロイが映画化(ドラマ化)されたんだ! という感じです。 というのは、2年半くらい前に「作家、本当のJ.T.リロイ」という映画(ドキュメンタリー)を見て、「映画としては面白くありません。わたしなら劇映画にしますね。それだけ内容は面白い…

「娘は戦場で生まれた」日常が戦場という現実

シリア内戦に関する正しい情報を知ることはかなり困難です。アサド政権と反体制派による政治闘争に始まり、民族闘争、宗教闘争、さらに大国による軍事介入が絡み合っていると言われています。 ただこの映画はそうした政治的、宗教的、民族的立ち位置から描か…

「ジュディ 虹の彼方に」(ネタバレ感想)ジュディ・ガーランドの最後のロンドン公演を描く

名前はよく耳にするのに、具体的にはどんな人かも、顔さえも知らない有名人というのが結構います。ジュディ・ガーランドさんもそうで、「オズの魔法使い」のドロシーの人ということとライザ・ミネリのお母さんということくらいしか思い浮かびません。 そのジ…

「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」(DVD)コメディの味わいを出すべきかと…

まずは、すごいタイトルだなあと目がいき、大森立嗣監督だからと見た映画です。 宮川サトシさんの自伝的漫画が原作なんですね。 母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。(新装版) 作者:宮川 サトシ 発売日: 2018/12/26 メディア: 単行本(ソフトカバー…