そんなには褒めないよ。映画評

ミニシアター系映画レビュー*沈黙する言葉

映画タイトルの50音順メニュー作りました!

当サイトおすすめ映画直近の4作品

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汚れたダイヤモンド

監督:アルチュール・アラリ

(完全ネタバレ)ラスト10分のピエールの描き方が見事

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あさがくるまえに

監督:カテル・キレヴェレ

(ネタバレしても問題ない)のでよく知って見るべし。シンプルなのに情感豊か。

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ブランカとギター弾き

監督:長谷井宏紀

(ネタバレ)映画はシンプルなのに物語は深い

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残像

監督:アンジェイ・ワイダ

アンジェイ・ワイダ監督の遺作、心に残る映画です!

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最新記事

映画「ショコラ 君がいて、僕がいる」実在したフランスの道化コンビ「フティット&ショコラ」の友情、そして人種差別

ショコラ」と聞きますと、私はジュリエット・ビノシュとジョニー・デップの映画を思い出してしまいます。映画のタイトル付けもなかなか難しいものです。とは言っても「君がいて、僕がいる」はいただけません(笑)。

こちらの「ショコラ」は、公式サイトによれば、20世紀初頭フランスで活躍したラファエル・パディーヤさんという実在の黒人の芸人さんの芸名で、「フティット&ショコラ」のコンビで笑いの世界に革命をもたらしたもののこれまで埋もれてきた人物とのことです。

 

監督:ロシュディ・ゼム

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今では落ちぶれてしまった道化フティットは、フランス各地を巡業するサーカス団で人食い族を演じる黒人の男に出会い、“白人と黒人のコンビ”で道化師をやろうと提案する。誕生したコンビ「フティット&ショコラ」は話題を呼び、パリの名門サーカス団の専属となる。ある日、不法滞在の容疑でショコラが逮捕されひどい拷問を受ける。成功とその裏に潜む差別の間で、ショコラは苦悩し、酒とアヘンに溺れ、ギャンブルにのめりこんでいく。(公式サイト

 

あえて言うまでもありませんが、「chocolat」ですから肌の色からの芸名ですね。現在から過去を批判しても仕方ありませんが、ただ、現在の我々は未来から批判されるだろうことをやっているという意味においてはきちんと抑えておくべきことだとは思います。

この映画が評価されるべきは、そうした視点を強く持ちながらも、過剰に批判的になることなく、また過剰に同情的に描くことなく、程よいバランスでドラマとして成立させていることです。

 

監督のロシュディ・ゼムさんは、俳優としてたくさんの映画に出演しており、私は最近では「チャップリンからの贈りもの」を見ています。この映画もラストは、主人公のエディとオスマンの二人がサーカス団に道化としてリクルートされるという、何となくこの「ショコラ」を思わせる展開になっていました。

で、監督としてのゼムさん、ウィキペディアによりますと、日本では初公開作になりますが、過去3本監督しているようです。

 

ゼム監督のインタビューがありました。上に書いたことに関わるコメントがありましたので引用しておきます。

──それがあなたの熱意の源でしたか? オマールいわく、あなたの熱は感染する、と。

監督:いくつかの要因があった。ひとつは、パリの転換期とその華やかさを描けること。もうひとつは、ふたりの男の友情の物語であること。それから、人生を精一杯生きた快楽主義者という、ショコラのキャラクターだ。彼は大スターになるチャンスをその手で掴んだ。そういう前向きなキャラクターがいることで、フランスの植民地主義者だった過去を隠すことなく、かつ哀愁を漂わせずに、このテーマを扱うことが可能になる。そこが僕にとってとても重要だった。

 

このスタンスがこの映画を良い映画にしている一番の要因だと思います。

 

友情物語としてもうまいですね。

 

何と言っても、フティットのジェームス・ティエレさんがいいです。鋭い眼差しとその裏に潜む悲しみがショコラ(オマール・シー)との対比でとても生きています。この俳優さん、チャップリンの孫に当たる人ですが、言われてみればという面影が感じられます。「ラブバトル」という映画に出ています。

成功によるショコラの奢りや慢心にも、多少の小言は言ってもじっと耐えている(風に描かれている)様子がなんともストイックで、逆にショコラへの強い愛情を感じさせます。

ショコラへの世間の差別意識に対しても、当然フティット自身に当時の人間に染み付いた差別意識はあるでしょうから、同情させたり、差別そのものに反論させたりしていないのが効果的で、その意味でとても良い友情物語になっています。

 

物語の展開も、中盤までトントン拍子で上手くいく様が心地よいです。

 

ただ後半、あえて言えば、ショコラの苦悩がもうひとつ弱いということと、獄中で出会う黒人の政治犯(?)の件がおざなりになっていることやギャンブルやアヘンで身を持ち崩していく様はもう少し丁寧に描いてほしかったです。

 

公式サイトのショコラさんの略歴を見ますと、当然ながら映画ではかなり脚色されていますし、その死因も、アントワーヌ劇場ので「オセロ」で浴びた差別的罵声による失意やアヘンのせいで結核で亡くなったと描かれていました。およそ50年の人生だったということです。

 

映画の中にも、その撮影シーンが出てきますし、エンディングでその映像が流れるのですが、映画の発明者リュミエール兄弟による「フティット&ショコラ」の実写映像が残っています。実際は小柄な人だったんですね。

 


Chocolat - Le Clown nègre - Films Lumiere

 

ところで、映画の中で、「植民地博覧会」(だったかな?)として、当時フランスの植民地だったアフリカなどの住民を「未開人として展示」する見世物のシーンがありましたが、日本でも同じことをやっていることをご存じですか?

1903年「人類館事件」でググってみてください。

 

ausnichts.hatenablog.com

 

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