家族の灯り/マノエル・ド・オリヴェイラ監督

多分、絵画的な画のつくりや舞台劇的な独白を多用した象徴性を楽しむべきなのでしょう、が…

こういう映画を楽しむのは結構骨が折れます。具体的なことをやっているのに、現代に結びつきにくく、象徴的に見ようにも、あまりにも具体的すぎて想像力が働きにくいという…。(私だけか…)

老夫婦と息子の妻は、8年前に失踪した息子のことを思い続ける毎日です。父親は、息子が何らかの犯罪(強盗?)で逃走したことを知っており、息子を信じる母親のことを思って隠しています。そこへ突然息子が戻ってきます。特に母親は喜びますが、それもつかの間、息子は父親が預かっているお金を盗み、再び遁走します。

といった物語なんですが、多分、この映画はそうしたことよりも、絵画的な画のつくりや舞台劇的な独白を多用した象徴性を楽しむべきなのでしょう。

ただ、それが私にはなかなか難しく、よく言われている家族の問題やら貧困の問題として引きつけて考えることはできなく、あえて言うならば、冒頭の波止場のカットや息子の台詞などから、退屈なる日常(家族…)、そして脱出するも逃れられないカルマのようなものを読み取ってしまいます。