そんなには褒めないよ。映画評

映画を見てから読むブログ

「家族の庭/マイク・リー監督」を見て、とことん人生は優しくないと思い知らされる。

「Spring」とくれば、当然、四季をめぐり、「Winter」まで続くのだろう。そう思って見ていると、さすがに春、夏あたりまでは先が長く感じられ、時々眠気がやってきます。

しかし、そんな感覚もそこらあたりまでで、秋以降は結構集中してみられます。先へ進めば進むほど眠気も覚めるわけですから、いい映画なのでしょう。

それにしても、きつい映画で、ダメな人間は徹底的にダメだと思い知らされます。もちろん、それを非難しようと描いているわけではないのでしょうが、希望などありはしません。

ほぼ完璧な人生(ごく一般的な意味でのですが…)をおくる夫婦トム(ジム・ブロードベント)&ジェリー(ルース・シーン)と、片や人生の負け組代表のような二人、メアリー( レスリー・マンヴィル)とケン(ピーター・ワイト)の対比といったら、ないですね。

アルコール依存、たばこ、肥満、精神不安定などなど、現代社会にあって否定されるべき様々な要素が、メアリーやケンに与えられています。

一方、トム&ジェリー夫婦には、地質学者にセラピスト(かな?)の知的労働、休日は家庭菜園での野菜作り、共に料理もうまく、適度にワインをたしなみ、心配事といえば、息子のジョー(オリヴァー・モルトマン)が独身であることくらいという、多分、現代では誰もが幸せだと思える(かな?)人生が与えられています。

さらに、追い打ちをかけるように、「秋」になると、ジョーが恋人ケイティー(カリーナ・フェルナンデス)をつれてきます。落ちこぼれ人間メアリーを完全に打ちのめすために。コワイですね…。

「あなたを見損なったわ」

春、夏、秋と、それまで一見暖かく受け入れて(あるいは、そういったふりをして)きたトム&ジェリーが、メアリーに言った言葉です。最後にドンと突き放すわけですから、ハグ文化ってのは恐ろしいです。

どこまでいっても、結局「人生は優しくない」ということでしょう。

でもまあ、そんな優等生の人生でも満たされないのが人間ですから…。そして、時に落ちこぼれてみたくなるのも人間ですから…。