そんなには褒めないよ。映画評

ミニシアター系映画レビュー*沈黙する言葉

映画タイトルの50音順メニュー作りました!

おすすめ映画直近の4作品

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ナチュラル・ウーマン

監督:セバスティアン・レリオ

(ネタバレ)ロッカーの中にあったもの、それはマリーナがマリーナであるためのもの

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花咲くころ

監督:ナナ・エクフティミシュヴィリ、ジモン・グロス

(ほぼネタバレ)1992年トビリシ、14歳エカとナティアの二人は確かにその時そこで生きていたという映画

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ソニータ

監督:ロクサレ・ガエム・マガミ

(ネタバレ)ドキュメンタリーとしての問題提起も含めオススメです

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汚れたダイヤモンド

監督:アルチュール・アラリ

(完全ネタバレ)ラスト10分のピエールの描き方が見事

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「ブルーバレンタイン/デレク・シアンフランス監督」早くも今年のベスト登場!

まだ5月、1年の1/3しか経っていませんが、この映画を今年のベストにします。日本語の予告編のナレーションがダサイのでオリジナルにしました(笑)。


元来、こういった男女間のぎりぎりの、うまくいくにしろ、こわれるにしろ、ひりひりする感じの映画が大好きなんですが、特にこの映画で気に入った点を上げると、

  • まず、監督の映像に対する信頼が強い(と思われる)こと

どういうことかと言いますと、結構多いパターンなんですが、言葉で状況や人物の経歴などを説明する、たとえば、観客にある人物の過去を知らせる必要がある場合、わざとらしく本人が喋るのはもってのほかですが、ちょっとましな場合でも、相手に「そういえば、あなたって○○だったわね」などと言わせたりすることがあります。でも、この映画には、そんな説明的なセリフは全くなく、なぜこの2人が、今危機的状況にあるのか、言葉で説明したりはしません。

この映画のような男女間だけではなく、どんな人間関係でも、関係がまずくなる場合の原因なんて、これですと言えるほど、単純ではないでしょう。もちろん、きっかけははっきりしている場合が多いのでしょうが、原因となると、長い間の積み重ねであったり、言葉では説明しきれない(と本人たちが思う)曖昧模糊とした感情であったりします。

この映画は、そのあたりのことを安易に言葉で説明しようとすることなく、ひたすら二人の今を撮り続けることで、そしてまた、気持ちのすれ違いのちょっとした瞬間やふっとひとりを感じてしまう孤独な瞬間などに、二人の出会いから結婚までの回想シーンを挿入することで、本当に普通の実生活にある感覚で、今にもこわれそうな二人の関係を描いていきます。言葉では説明しきれないほど多くのことが映像で語られていきます。映像に力があるのです。

  • カメラワークがとてもいいです

現在のシーンは、バストショットくらいに寄ったカットを多用し、二人を追い続けることで緊張感を高めていきます。一方、過去のシーンは、ゆったりと二人を包みこむような感じの引いた映像を中心に構成されています。その対比自体は目新しいことではないでしょうが、そのバランスがとても良く、過去のシーンの入れ方もとてもうまいです。

撮影監督は、アンドリー・パレークという人で、日本で公開された映画では、「ニューヨーク・アイラブユー」のジョシュア・マーストン監督のパートの撮影を担当しているようです。

体重を増やしたり、髪を抜いたり(と、チラシに書いてあったが、剃ったり?)と、7年の歳月を身体的にも表現しています。まあそれはすごいことではあっても、やろうと思えば出来ることで、そんなことより、アップの映像に映し出される表情には、微妙な感情が読み取れる素晴らしい演技でした。

自らも関わっている脚本は、10年以上も練り上げられたとありますが、それだけではなく、上にあげたことも含め、全てにおいて、妥協せず、自分の思うところをフィルムに焼き付けているように感じます。

今後も注目したい監督です。


といったわけで、素晴らしい映画に出会った連休でした。